王都に帰ってからのフェブリク
王都に帰還した次の日の朝、王の呼び出しを受け、謁見の間にてニタニタしたり、激昂の眼差しを向ける多くの貴族達の前で今回の事で叱責を受けていた。
それもそのはず、普段のフェブリクは勇者のスキルにより王から特別な計らいを受けている、それに対し増長してやりたい放題をしていた、特に女にはだらしがなく、貴族達の中には妻や娘がナンパの被害に遭った、との多くの声が上がっていた。まぁ女性には相手にはされていなかったが。
「勇者フェブリクよ、いささかやりすぎたな、普段の行動も今まで目を瞑ってきたが、甘かったようだ。これまでの失態の責として支給している金銭を3か月無しとし、その後は今までの半額に処する。さらに特別な権限を与えていたが、その権限を剝奪とする。それに伴い仲間たちの処遇も同じとする、以上だ。下がるがよい!」
王からの採決が下った際、多くの貴族達から失笑の声が聴こえてきた。貴族達からしたら正に「ざまーみろ!」状態だ。
※失笑=思わず笑い出してしまうこと。おかしさのあまり噴き出すこと。
[補説]本来の意味とされる「こらえ切れず吹き出して笑う」ではなく、本来の意味ではない「笑いも出ないくらい呆れ返る」と使う人が多い、と国の調査で出ている。辞典照会
屈辱に顔あを真っ赤にし体を震わせるが王の前で暴れる訳にもいかず耐え忍ぶフェブリク。女性陣は仕方がないと諦めた様子だった。
「くそ!何もしないクセに俺様を笑いやがって!!」
王城から出て直ぐに鬱憤をまき散らすよう小石を蹴りなら愚痴をこぼす。
「あの子もニナも居ね~し、ちょっくら外で暴れてくる!」
「おい!ちょと・・・」
ミリアが《《待て!》》と声を掛ける間もなく瞬く間に城外に走っていった。
「全くアイツは!…はぁ~…2~3日で戻ってくるだろう。今日は休みにして明日から依頼を受けよう。」
「そうだね。」「ん。」「はい。」
ミリアの提案にアマル、サーニー、キャリンが同意し宿の方へ歩いていく。
その頃フェブリクは城門を抜け適当に走り、見付けた魔物を片っ端から切りつけていた。
一日が過ぎ幾許かの時間が過ぎた頃、切り立った崖の中腹に洞窟が有るのが見えた。
フェブリクは(こんな所に洞窟なんって有ったか?)と思いつつ興味本位で崖を攀じ登って洞窟へと入って行った。
洞窟中を【ライト】の魔法で照らすと蝙蝠が一斉に外に飛び出した、蝙蝠が居なくなって、周りを確認すると人工的に掘られた形跡が有った為、調査をする事にした。
罠などは無くサクサクと30分程度で最深部へと到達できた、そこには高さ2mの不気味なロザリオの石碑が建っており台座には「…十…代…女鎮魂…・……な心……の地」と文字が薄くなってところどころしか読めなかった。
「何でこんな物がこんな所に?ロザリオって事は教会関係だよな。」
触れる一歩手前まで近付くと、邪悪な気配が石碑から放たれた。
「な!」
フェブリクは聖剣を抜き上段切りで対抗すると邪悪な気配は切り裂けていった。
「今の何だったんだい?」
警戒しつつしばらく待ってみたが、何も起こらなかった。
警戒を解きその場を離れて行くと石碑から不気味な声で、「ステータスに追加【邪心の心(種子)】」と、だがその声を聴いた者はいなかった。




