スタンピード(1)
約300人ほどが南門に向かい、俺達は指示道理に門を出て南東の森の中で身を隠し待機する。
ここからは、かなりの距離が有ったが南門の様子が窺えた。
城門は固く閉ざされ、城門の前には何ヵ所から煙が出ていた、あれが集魔香だろう、城壁の上には弓が前列、魔法を使える者が後列に並んでいる、その中には兵士の弓使いも居た。
「トモヤ、俺達からはぐれるなよ。」
ヴィルの言葉に強く頷き時を待つ。
しばらくすると、【…ドドドドドドドドドドド】遠くから地鳴りが近付いて来る。魔物の群れが姿を現し、集魔香に誘われたのか南門に向かって突進していく。
『攻撃開始!!』の声と同時に矢や魔法が城壁の上から放たれる。
魔物たちは攻撃されたことにより混乱し、矢で頭を打ち抜かれ、火魔法で火だるまになり、氷魔法で凍らされ、突き飛ばされ倒れて踏み殺され数を減らしていく。
およそ半分になった頃、城壁の上から上空に向けライトの魔法が放たれた。
俺達は森から一斉に魔物に襲い掛かり、反対側からも兵士が魔物に襲い掛かった。
「グギャ!」
「ガガ!」
「キャン!」
彼方此方から魔物の悲鳴が聞こえる。
俺も必死にヴィル夫妻から離れないように走り、短剣を振り次々と切って行く。
攻撃が始まってから1時間位で第1波の魔物は討伐された。
俺はゴブリンが4匹、コボルト6匹、ワーウルフ2匹を倒した。
『城門を開けよ!傷付いた者は直に治療するように、尚支援物資が届いておる、軽い飲食を用意した、束の間の休憩だが身体を休めてくれ、更なる応援依頼も出した、3時間後に城門前に集合する様に、以上!』
「思った以上に時間があるな、トモヤ、ナーサの下に行き南門入り口前で待っていろ、俺達はニナに合流した後そこに向かう、軽い飲食を取ろう。」
「はい。」
俺は走ってナーサの下に向かい、一緒に待ち合わせの場所で待ってると。
「お!ガキじゃね~か!ってことはニナも近くに居るのか~?」
勇者のフェブリクが俺達に話しかけてきた。
「今は別行動中だ。」
「ちぃ!役立たずが!…ん~?その子はたしかナーサだったか、胸は無いが~…まあいいか!ガキなんてほっといて付いてこい!ニナの代わりにた~ぷりと可愛がってやる!!可愛がり過ぎて快楽に溺れるかもしれないがな~!!ぐへへへへへへ」
舌打ちをしたあと、今度はナーサに嫌らしい視線を向けながら下衆な言葉を吐いた。
(こいつは!!今度はナーサにまで!)
その瞬間、馬が門の入り口に入ってきて。
「ヒィヒーーーーン」【ドッカ!】「グヘ!」
フェブリクが馬の突進をまともに食らって10m程吹き飛んだ。
同時に馬から崩れ落ちる兵らしき騎手、満身創痍で俺達に。
「伝令を隊長に頼む…第3波確認、数500…トロールが主だが…その後ろに番と思われる・・ドラゴンを2体確認・・・進行方向は・・・・・」
ここで気絶をしてしまった。
「大丈夫ですか!!回復できる人いませんか?!」
ナーサが回復の応援を呼びかけている間に、俺はアイテムBox持っているポーションを5本出し、次々と傷口に掛けていく。
「どうした!」
ナーサの声を聞きつけたのかヴィル達が走って俺達の方へと来た。
「ニナこの人に回復を!」
「はい!」
「ヴィル、実は・・・」さっき、この人が言った事を話す。
「分かった、俺が伝えてくる、その兵を教会に連れていけ、リーリ後は頼む。」
「はい。」




