#4
「私を想って。優しく思い出して、"さよなら"を言った あの時を
私を思い出して。時々でいいから 私のことを想って、お願い。そう約束して。
いつか 思い直す時が・・・キャー!!!!!!!」
突然、背景が歌っているカルロッタさんの目の前に落ちてきた。
「おい!!道具係はどうした!!!」
「ご、ごめんなさい!!!おらがちょっと離れた隙に・・・・」
道具係のせいじゃない?!
「か、怪人の仕業よ。」
「そうだわ、きっと。」
バレリーナたちはみなおびえ、カルロッタさんは真っ青になって言った。
「もう我慢できないわ!!!この間から私を狙ったとしか思えない事件がたくさん!!
もう・・・もう・・・・今日のオペラには出ないわ!!!!!」
そう言い放つと、彼女はドレスをばたばたと引きずりながら走っていってしまった。
「どうしよう。もう今夜のオペラは中止か?」
「いやはや、参ったどうしよう。」
「プリマドンナの機嫌は直せないのかね?」
「無理でしょう。もう中止にするしか・・・」
「代理は立てないのですか?」
「いや、彼女の代理なんて・・・」
「います。」
突然、マダム・ジリーが口を開いた。
「マダム、それは誰でしょう。」
「クリスティーヌ・ダーエです。」
え?
その場にいた全員が固まった。
私?????
「コーラスガールに歌わせるのですか?」
「彼女は特別な先生についています。」
「その方のお名前は?」
「わけあって申せませんが・・・とにかく彼女の歌を聴けばご理解いただけるかと。」
みんなの視線が一斉に私に集まる。
嘘でしょ?
「さあ、歌って。」
ピアノが流れ、私は歌い始めた。
恋に悩む女性となって
歌っているうちに私は自由になり、歌は羽をつけて羽ばたいた・・・・
「見事だ。」
「彼女に決定だ。」
誰も知らなかった。
彼女の歌を地下で満足げに聴いている者がいようとは。
マダム・ジリー以外、誰も。
短くてすみません(汗