第5.5話 俺は元より容疑者
俺が蚊になる前は元々犯罪者だ。元々犯罪者になる前には経緯があった。今回はそれを話していこうと思う。
少年時代は裕福な家庭で、親父は天才的な学者、お袋は保育士で子供にはとても優しかった。
三つ下に妹がいて、豊かな家庭だった。
とあるある日、親父は学者として初めて失敗を犯した。
これがきっかけで俺の家庭は崩壊し始めた。もちろん親父の学者としての評価は落ちて行った。
俺は高3で受験生だったのだが、大学への進学は諦めて普通の会社に就職することになった。
「大学行って親父の後を追うんだ~」
この夢は親父の失敗と共に消え去った。
二十歳の春、お袋が何者かに刃物で刺されたという事を妹から聞き、急いで病院に向かって
お袋はメッタ刺しにされていたせいか意識すら無かった状態
「な、なんで・・・誰だよ!こんなことしたのは!」
怒りが収まらなくなり、精神崩壊もした。俺が普通の生活をしなくなったのはこれからだった。
勤めていた会社もやめて、俺がお袋を刺した犯人を殺すという事に決まった。
色々な手段を当てていった。短剣の扱いも修行もしてうまく使えるようになった。
「必ず殺す。お袋のようにメッタ刺しにして殺す。許しはしない。覚悟しろ。」
数週間経った時、母親の刺した犯人の顔、名前の紙が貼り出されていた。
「名前は飯島義男。。。よし、見つけ次第に絶対に殺す。」
もはやどっちが犯罪者かすら見分けがつかない。
町を歩いていると何やら立てこもりが発生していた
行ってみると、そこには犯人の飯島が居た。
「見つけた。必ず殺す」
俺は軽やかな動きで犯人の目の前まで行く
そしてナイフを出して脅す。
「ひぃい・・・お前・・・何者だ・・・」
飯島は怯えながらも俺に問う。
「一年前に女を殺したよな。お前、俺はそいつの息子だ。今復讐しに来た。」
やられたらやり返すのが当然のこと、知らなかった。忘れたじゃすまされない。
「お前のやったことを許せなく自分からそいつを殺す為に動いちまう奴もいるんだ。分かるか?」
どうせ逃げたって追いかけてくる。人間に抑えるという判断は無い。
「俺の親の倍苦しんで死ね。じゃあな」
俺はナイフを飯島の胸に刺す。飯島は苦しそうに俺を見る。
俺のお袋もお前のような痛みを食らって生きてきたんだ。これくらいの痛みを当然だ。
警察は唖然としている。これが警察でいいのかよ?写真撮ってSNSに晒しでもすんのか?なあ人間よ
いつから日本人はこうなってしまったんだろうな
俺はこうして立派な犯罪者の仲間入りになったってこった。