第1話 死亡したので、次の道を決めます。
俺は佐藤浩一、40歳の無職っつーかソロの犯罪者だ。今までいろんな犯罪も犯してきた。
セクハラ、盗撮、殺害予告、ストーカー、などなど、まあそんな俺が今8月24日に怪盗の如く新宿の高級店に舞い降りる。
もちろん俺が来ることは警察にも知られている。だから俺は出来るだけ目立たずに盗みを働く。しかし一人の警官が俺のことに気づいた。
「いたぞ〜!捕らえろ!!!」
「チッ、今回は失敗に終わったか・・・」
少しながら悔しい思いで道具を使い、外へ逃げる
警官が追って来ないか外を見渡すと、2人ぐらいの女子高生が帰り道横断歩道を歩いている。
しかし人はなぜかざわついていた。
横を見ると赤なのにも関わらず、トラックが突っ込んで来そうではないか。
「おい・・・まずいんじゃないのか・・・!?」
周りがざわつく、
トラックに気づいた女子高生は恐怖で体が震えて動いていない。
警察は俺を追うのに忙しく、今助けに行ったとしても絶対間に合わない。
「クソ!こうなったら!!」
俺は考える暇もなく、道具を手から離して、女子高生達を助けに向かう。
このまま行けばきっと俺は助からないが女子高生達は助かるだろう。
そして俺は全力で走って女子高生達を押し、トラックに轢かれた。
こうして俺は死んだ、事故死だ。
目覚めた先には黄金のような光が見えた。
「ま、眩しい・・・」
俺は手で目をふさぎつつも、目の前を見た。すると、白い服を着たジジイがいるではないか。
「あれ、アンタが閻魔大王様か?」
思ってたのと違った。もっとこう怖そうなイメージだと思っていた。
「ほっほっほ。ワシは違うぞよ。ワシは神様じゃ。」
「神様?」
頭がハゲて、金色の閃光を放つ人が、神様?
「お前は死んだんじゃ。」
「はあ・・・それは知ってますけど。」
「これからどうするんじゃ?」
「これから?それはまあ天国か地獄のどっちかじゃないですか?」
死んだらみんな天国か地獄に行くものだと思ってる。自殺したら幽霊になるか地獄に行くかの二択だろう。
「そうでもあるが、お主は天国にも地獄にも好かれておらぬ。」
「え?どうしてですか?」
「お主は罪を大量に犯した。本当ならば地獄に行くはずじゃった。だが、最後に人を庇って死んだ。人の為に死んだ者、いわゆる助けたというの地獄には好かれないのじゃよ」
すると、神様は2択の選択を出してきた。
「さて、こうなったらお主はもう幽霊になるか、異世界に行って人生をやり直すしかないのう。」
「幽霊・・・?またやり直す・・・?」
またやり直すとか、俺は来世も犯罪者だろうに...どうせなら幽霊になった方がマシなはずだ。」
「ほほ、お主は異世界に行けるだけマシだと思え。本当なら幽霊になってたんじゃよ。だから一つ罰として異世界では蚊になって活躍してもらうぞ。」
「蚊?人の血を吸うあの蚊ですか?」
蚊ってマジかよ。オークとかのがまだ納得できるぞ。
「そうじゃ。だがお主は人を救ったというプラスがある。蚊ではあるがそう簡単に死なないようにしてやろう。」
「簡単に死ねないとは?」
「例えば、人に叩き殺されるっていうことはもちろんない。速度も他の蚊よりも素早く、もしお主が少し成長したころには人間化も出来るであろう。」
「それが俺のチート能力ですか?」
人になれるのはもちろんありがたいし、強くなれるのは嬉しい。けど蚊って寿命低いんじゃ・・・
「チートかどうかは知らんが、お主が工夫して異世界生活を過ごすのならそれに近いぞ。」
「そうですか。。うーん、異世界・・・転生ですかね...」
「ほう、理由を述べよ。」
「正直来世が蚊っていうのは嫌だけど、幽霊って暇そうだし、幽霊は独り、いつも独りっていうのは僕の経験上じゃ寂しすぎるので。」
「そうか。ならば異世界に飛ばすから目を瞑っておれ。」
「分かりました。」
ピカーン!
「う、うわあああああああああああああああああああああ!!!!」
こうして俺の来世は蚊になった。
―—――他の蚊よりも強い蚊に。