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エッセイ

なろうテンプレってバカにされるけど実際に書こうとすると難しいよね。

作者: 燈夜

四の五の言わない。実践をもって以下に示す。


・主人公

(普通の)少年


・ヒロイン

(美)少女


・敵

社会全体(仮)




例題)俺、息が出来るスゲ━━━━━━ヽ(゜Д゜)ノ━━━━━━!!!!

課題)主人公が日常で当然の事をして周りに褒められちやほやされる。




ex)

「え? あなた呼吸が出来るの? マスクもつけずに! ちょっとこっちに来て! 早く! あなた死にたいの!?」

「この部屋なら大丈夫よ、空気清浄機が生きているから」少女はマスクを外した。

「外は毒ガスでも流れているのかよ」

「あなた……もしかして平気なの?」


●セルフツッコミ 

・普通でつまらん。

・これ以降予想されるキャラクター説明がめんどくさいし難しい。

・着地点どこよ? 木を植える男? 世界はどうなっとるんや。問題が大きすぎないか。人一人の手に余り過ぎないのか。




ex)

「ああ、朝か……今日も俺、生きてるのかよ……」俺は気だるげに息を吐く。

「な、どうしてあなた生きているのよ! 昨日確かに殺したのに! この手で、この手で首を絞めて!」


●セルフツッコミ 

・サスペンスかよ。




ex)

「さぁ、息を吸って。ゆっくりと。ゆっくりとだよ? そしてまたゆっくりと息を吐くんだ」

「え?」少女は少年の言葉に戸惑う。

「息を吸って、ゆっくりと吐く。数を数えながらね。数を数える事に集中するんだ。途中で寝てしまってもいい。気持ちが落ち着く」それは優しい声だった。

「ふーん。変なこと知ってるのね。でもありがと」

 柔らかな微笑み。しかし、それを少女自身が知る事はずっと先のことである。


●セルフツッコミ 

・知識が要る。難しい。日常から推察できない。




ex)

「息のレベルが高い事が分かった」


「え?」少年のいつもの戯言だ。少女は聞き流していたが、

「やってみるから見てろ」


「え!?」少女は耳を疑った。


「ズゥォオオオオオオオオオオオオオオオ!!」少年が息を吸う。

 二人の周囲に時ならぬ砂塵が舞いあがる。二人を取り巻く不良どもは揃って髪を逆立てる。

「えぇっ!?」たまらず少女が色めき立つ。


「クハァアアアアアアアアアアアアアアア!!」少年が息を吐く。

 ゆっくりと。それも実にゆっくりと。周囲を覆った砂煙が消えてゆく。

「な、なによ」混じる怯えの色の数。


「コォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」少年が息を吸う。

 少女の長く麗しい黒髪が舞う。スカートの裾がこれでもかとめくれ上がる。

「あ、あんた何してるのよ、なんだってのよ!」少年はただ息をしているだけなのに、


「ブハァアアアアアアアアアアアアアアア!!」少年は息を吐く。

 空間を切り裂きうねる真空は周囲と地面を抉っていた。塀にぶつかり爆ぜる土くれ、引き千切られた木の葉。これぞまさに神技。少年を見つめる少女の表情は凍り付いている。

 周囲の不良連中も同様だ。

 少年の余りの気迫に空気が凍る。

「お、お前……」不良達が浮き足立つ。


「なんだよ、まだいたのか。まだやろうってのか? この俺と」少年の低い声。

「あ、あんた達、逃げたほうがいいよ……悪い事は言わないから」少女の言葉は早口だ。


「ち、畜生! ●●のくせに! 覚えてろよ!!」

 不良達は蜘蛛の子を散らすように逃げてゆく。

 少年はフッと息を吐いた。



●セルフツッコミ 

・は?

・テンプレにはまだ遠かろう。


●結論

ムズカシイネ


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― 新着の感想 ―
[良い点] テンプレについて色々考えているのが良かったと思います。何気に最後のやつ勢いは好きです。ブックマークはしないと思うけど。
[良い点] 単純にテンプレを描く難しさが分かる [気になる点] でもこれって描く難易度じゃなくて面白く描く難易度なんじゃ… [一言] 面白く、読んでて飽きない。かつ、完結させる難易度は恐ろしく高いと思…
[一言] 一番下の例題がテンプレになってくれるとこの先20年はなろうが安泰になるなw
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