初イベント2
PT対抗戦の朝。
「お…はよ…ぅ…」
隆太が早朝に自分で起きた!?
「宗介!今日の対抗戦はヤバい、隆太が自分で起きるなんて何かの前兆に決まってる!?」
パニック状態の俺に宗介はオレンジジュースを渡してくる。
「紅君、どれぐらい慌てているの?」
「ケチャップを買いに行ってマヨネーズを買ってくるぐらいだ!!」
ーーーボケるぐらいだから冷静だな。というかトマトじゃないんだーーー
全員の考えが一致した。
「朝食を食べたら、ログインして紅葉さん達と合流するんだから早く食べよう。」
理々亜が朝食のオムライスとサラダをテーブルに並べる。
朝食を済ませてから俺と宗介は無害煙草を吸いながら対抗戦の戦略を練る。
「アヴァロンの中での時間制限を付けた拠点を守りながらのバトルロイヤルなら、姉貴とカルマ、理々亜を拠点に残す方がいいと思うけど宗介の意見は?」
宗介が少し悩んで案を出す。
「僕は紅君の単独の無差別乱戦が効果的だと思うよ。紅君が乱戦の中心で僕達が外から徐々に削る、その間に隆太も単独行動で拠点を落としていく。とかどうかな?」
俺は宗介の意見に賛成したいから全員の意見を聞く。
ログインしてから対抗戦の最終確認をする。
「レオが作戦の『第一』の要だよ乱戦にして他のプレイヤーの注目を集めて継続して戦闘を倒れない様にね? 私とカルマは2人で拠点の防衛に徹するからね。スコーピオンも気を抜かないで拠点を落としてね、ソロで拠点を制圧するからスコーピオンが『第二』の要だからね、気をつけて。さぁ、これがスタートだからね。絶対に勝つよ!!」
生産組は全員の装備の最終メンテナンスとアイテムの確認をしている。
俺は乱戦用に用意した自作の大量のアイテムを確認する。かなり数を作ったけど、最後のハッタリの戦技になるかな。ブラフも戦術だから途中で使ってもいいか。
全員が緊張感を出してガチガチに固くなっていたので近くの小さな喫茶店に入った。緊張感は大事だけど程々な緊張感が良いからな。
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『英雄達の伝記』の正式版、第1回イベントを開始します。参加登録をしたPTは10分以内にPT共有マップの印のあるポイントに移動してください。印のあるポイントが拠点になります。
15分後にPT対抗戦を開始します。不参加の方々はアヴァロンの中央広場に移動してください、また中央広場で観覧が可能です。
イベント開始までのカウントを始めます。
参加PTは迅速に移動してください。
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喫茶店でゆっくりしていると運営のイベント開始のアナウンスが入った。緊張もほぐれていい感じだな、頑張ろう。
マップにあるポイントに移動してアビリティの最終確認をしていると時間になったのかメニューウィンドウがアイテムボックスとチャット以外は強制的に閉じられて周りの景色が歪んだ。
「ここは…アヴァロン…別サーバーか?」
俺達は周りを見渡すが景色は変わっていないがNPCは周りには居ない。
「みんな〜拠点の印はこの旗みたいだよ〜。さてイベント終了まで全力で頑張ろうね〜。」
アリエスが拠点の印を確認すると全員が作戦通りに動く。
アクエリアスは全員にバフスキルを使いステータスの底上げと生産組が作ったアクセサリーで効果を延長する。
ジェミニとサジタリウスは拠点の周りに大量のトラップを仕掛けている。
俺は回復アイテム等の消費アイテムの量を確認。
〜そして、イベントが始まる〜
俺は一番目立って乱戦になっても大丈夫な中央広場の真ん中で待っている。俺の同類や乱戦に便乗して勝ちを狙うプレイヤー達を。
アビリティの【索敵】を使って周りを探る。
「殆どがPTでの進軍か…移動ペースが遅いな。『コレ』使うか。」
アイテムボックスから出した物のピンを抜いて上空に投げる。
《大型手榴弾改》
手榴弾を大きくして爆発後は中に仕込まれた《状態異常手榴弾》を周囲にばら撒く。
《状態異常爆弾》
爆発すると周囲にステータス異常の粉末をばら撒く。
30分程《大型手榴弾改》をばら撒くとステータス異常に罹ったプレイヤーが中央広場に突撃してきた。ステータス異常の原因の俺を見つけたからか偶然かは不明だが突撃してきたPTと待ちに待った大乱戦を始める。
「テメェェェ、用意したポーション類を使いきったじゃねぇガフッ!?」
突撃してきたプレイヤーの顎を容赦無く蹴り上げる、これを切っ掛けに大乱戦が本格的になった。
様々な武器、スキルで狙われた俺はアビリティ【見切り】で回避、避けられない攻撃はパリィで回避。それでも回避できない場合はポーションで回復する。
先ずは狙い通りになったな。
ーーーイベント当日の朝食後ーーー
「紅君、大乱戦の前に状態異常手榴弾を使って他のPTのポーション類を消費させるのはどうかな?僕達は毒、麻痺の耐性アクセサリーがあるから無差別攻撃でも問題無いから全部使ってPTのポーションでの回復回数を減らせば楽でしょ?」
状態異常をばら撒く…他のプレイヤーの最悪が自分にとっての最善だな。他にも隆太の単独の拠点狙いも隆太がやる気になってるから大丈夫だろう。
俺達は宗介の提案を基本に中央広場で《大型手榴弾改》をばら撒く様にした。
俺が目立つ場所から大量の《大型手榴弾改》を、周りに隠れているメンバーは見つからない様にパーティボイスチャットでタイミングを確認しながら《状態異常爆弾》をばら撒く。
結果は上々だな。ポーション類を消費してステータス異常に罹ったままで飛び出てくるプレイヤーを撃破していく。
イベント中のデスペナルティは一回の復活毎にステータスパラメーターの1割減少。イベント中だけの減少で助かった。復活地点は拠点に復活する。
そう、拠点が‘‘あれば’’だ。
「突き突き突き突き突き!!!」
レオが大半のプレイヤーを集めたか?拠点の守りが薄いな。楽に拠点を制圧できるから良いけどな。もうちょっと拠点探すか、自分達の拠点に戻るか。
「よし、とりあえず六ヶ所を制圧だな。」
ちょっと頑張りすぎたか疲れたな。オレは一度、リーリアに報告と休憩に戻るかな。
「カルマ、暇だね…偶に攻め込んでくるプレイヤーがいるけどジェミニとサジタリウスのトラップで撃破するし…」
カルマは困ったように腕を組みながら周りを見渡すが2人以外のプレイヤーは居ない。
「頼もしいと思うが…確かに暇だな…」
リーリアは座りながら警戒をして、アイテムボックスから煎餅を出してバリバリと音を立てて食べる。
カルマが注意しようとするとリーリアの横に影が見えた。
「ただいま戻りました。ってカルマ、どうした?」
カルマが呆然としながら、スコーピオンに確認する。
「スコーピオン、どこから飛んできた?周りは何も無いのに…?」
スコーピオンは20m程の距離のある建物に指をさす。
「アビリティ【跳躍】って便利だよな!!」
スコーピオンがカルマにドヤ顔で言った。
「次は誰だ!どうした掛ってこいよ!囲むだけなら勝てないぞ!」
俺を囲んではいるが怖気づいたのか誰も挑んで来ない。周りには乱戦状態の場所もあるのに、少し考えてから武器をアイテムボックスに戻す。
「これなら、怖く無いだろ?」
素手でファイティングポーズを取る。
露骨な煽りだが乗ってくるプレイヤーもいる。
近いプレイヤーからアビリティ【格闘】の、ノックバック効果と中々のダメージがあるスキル【寸勁】で距離を離す、もしくは撃破する。
「レオが苛々してるね、相手が弱いからか? 」
僕はアクエリアスからのPTチャットを見ながら中央広場に目を向ける。
「確かに荒れてるね。β版の上位ランカーは様子見かな? 」
「装備を見る限りだと上位プレイヤーもいると思います。レオが強すぎるからじゃないですか? 」
サジタリウスは装備品で上位プレイヤーだと判断したんだね。
「そろそろ私達も参戦しようよ〜」
アリエスも混ざりたいみたいだね。
「よし、僕達も参戦しようか。ただしレオの相手は狙わない様にね。」
囲んでいるだけで挑まないなら、狩り尽くす簡単な仕事だな。
俺は一度飛び上がり、アビリティ【多段ジャンプ】で空中で再度飛び上がり隠し玉を見せる。
「『サウザンドナイフ』!!」
上空から地上に千本のブロンズ製のダガーナイフが飛んでいく。
サウザンドナイフは生産系アビリティ【ナイフ作製】と【投擲】のアビリティが必要なスキルで自分で作ったナイフを使ってナイフの弾幕を張る。
このスキルで気をつけないといけない事は二個ある。スキルに必要な本数を自分で用意しないといけない事もう一つはスキルで使ったナイフはアイテムポーチから無くなる。今、使ったのは『サウザンドナイフ』つまりナイフを1000本消費した。
でも、ブロンズナイフなら痛く無い。アビリティの経験値稼ぎに大量に作ったからまだ余裕がある。
「これで打止めだな『サウザンドナイフ』!! 」
周りのプレイヤーを一掃して見回すと何人かはガード系スキルで生き残っていた。倒そうと走り出すと運営からのアナウンスが入る。
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PT対抗戦お疲れ様でした結果を集計します。参加者の皆様を元のサーバーに移動後にPT毎にイベント結果を連絡します。
集計中はログイン不能です。アップデートも同時に行います、およそ12時間のアップデートになります。追加更新もあるため時間は目安です。
10分後に全プレイヤーを強制ログアウトします。
繰り返します…
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イベントは無事に終了だな、かなりのプレイヤーを倒したから楽しかったけど……けどな…もっと強いプレイヤーはいないのか? 多分ログアウトしたら『くる』よな…




