準備中4
まただ、赤髪野郎とのPvPになると意味不明な圧力を感じやがる、こいつの実力は底が見えねぇし、見つけたのはいいけど勝てるか?これが相手を飲み込むってことか?
「《黒鬼》じゃねぇ!!今は《黒騎士》だ!!いくぞ!!」
3……
2……
1……
PvPスタート!!
なんでだよ! 意味がわかんねぇ!? 当たるはずのタイミングの攻撃を完全に見切られてる!! 戦技まで避けるとか意味がわかんねぇんだよ!!
紅髪野郎は攻撃をしてこねぇが確実に俺が追い詰められてる!!
ッ!? 何かくる!!
「スラッシュ!! 」
アビリティ【剣】基本の戦技『スラッシュ』で首を狙って切るとHPが全損して終わりだ。野盗狩りで気づいたことだけどな、タイミングとか斬る角度、速度も関係してるみたいだ。そろそろログアウトするか。
「んー全員寝てるよな? 俺も無害煙草吸って寝るか。」
体を伸ばして周りを見ると全員が寝ていた。キッチンで何か飲むか。
あれ氷が無いな? 製氷皿に水を入れて……麦茶? 煎れたのは理々亜か?
そろそろ寝るか、おやすみ。
香が朝食の準備をしている中、隆太が悪巧みをした顔で近づいてくる
「こら、隆太。撮影したら理々亜さんに怒られるよ。理々亜さんの毎度の事じゃないか。」
宗介達が見ているのは別々に寝ていたはずの俺に理々亜が抱きついて眠っているシーンだった。
初めて見た燕は顔を赤くしていたが、宗介達は慣れているのでスルーしている。
(腕が痺れてるから動かしたい…)
「昨日のソロで生産のレシピ本を見つけたから宗介と燕に渡すよ。金は全部貰うからな?あと俺と宗介に必須のアイテム『煙草』も手に入ったぞ。アイテムの名前は『無限の煙草』だった。理々亜と香には魔術書で隆太にはアクセサリーだな。」
全員に渡す物は言ったから朝食だ。
「ちょっと待て、紅、ソロ狩りで何をした!? きっちり吐けーって何を無視していただきますだー!! 」
隆太が煩いが朝食が優先だ。
「ごちそうさまでした。」
◆◆◆
「紅さん、昨日は1人で何をしたんですか?大量のアイテムを手に入れたみたいですけど?」
燕の質問に簡単に返事をする。
「野盗狩りとPvPだよ。索敵センスで不自然に何もない場所があったから探索してたらNPCの野盗のアジトだったから襲撃して貯め込んでたアイテムを奪って、ログアウトしようとセーフティーエリアに向かってたら近くで元《黒鬼》が待ち伏せしてたからPvPしただけだな。」
宗介達が呆れてる。
「まだ紅君に勝つ気なの?β版だと《黒騎士》だよね? 懲りないなぁ。」
《黒鬼》もとい《黒騎士》は過去に俺と別のゲームでPvPしてからつきまとうんだよ。スキルとかの実験台に丁度いいから放置してるけどな。 最初はチートを疑ったりされたけど今はなんだかんだ仲が良いと俺は思ってる。イベントで協力したりするからな。
昨日のソロ狩りで気づいたことを全員に伝えるためにログインをちょっと待ってもらう。
「昨日の野党狩りで可能性、《黒騎士》とのPvPで確信したけど人型が相手の場合だとクリティカルポイントを狙えばダメージ量が増えるけど、リアルでの急所の首を狙えば一撃で終わることもあるな。」
全員が話を聞く態勢になったので続ける。
「状態異常に関しても狙う部位で効果時間も変わるようだな。野盗に毒状態で戦闘したら毒が悪化したりもしたな。あとはアビリティは行動で変化や進化の結果が違うらしいが驚いた事に早速出たぞ。」
俺の一言に全員の頭にハテナマークが出ただろうが隆太が気づいた。
「出たぞって何が出………!イレギュラーアビリティか!? 」
イレギュラーアビリティとは運営が用意していないアビリティでプレイヤーがやり続けた行動を管理AIが新しいアビリティと認めて後に運営がスキルを用意するアビリティ。他のプレイヤーも取得条件を満たせば取得可能のアビリティだが、完全に同じアビリティになるとは限らない。所謂ユニークアビリティの様なものだ。オリジナルのキャラに強化ができるのは楽しいからな。
「ああ、イレギュラーアビリティが出た。戦闘用のアビリティを装備することが条件になるが、多分、攻撃力の増加と戦技の数が増えるイレギュラーアビリティだろうな。」
全員がイレギュラーアビリティの出現に驚いている。が自分も取得しようとやる気にもなっていた。
「伝える事はこのぐらいか。さてログインするか。」
◆◆◆
ログアウトしたセーフティーエリアから始まるが索敵すると他のプレイヤーが近くにいる事がわかる。
「この辺りに他のプレイヤーも来れる様になったか?」
セーフティーエリアの近くから戦闘をしている音や声も少し聞こえる。
「大丈夫だ。索敵アビリティでわかる範囲なら戦闘場所はセーフティーエリアを目指す程度の場所だ。俺たちのやってるゴブリン狩りは無理だろう。」
昨日と同じゴブリン狩りに向かいながら採取もする。
「そろそろ湧き出るだろうからパーティーは解散しないけどフォローは極力無しでソロ風の狩りだな。レオは大丈夫だろうけど全員、気を引き締めて狩りだ。」
スコーピオンの言葉通りゴブリンが湧き出して戦闘を開始した。
ゴブリンが最初から武器持ちのゴブリンで大群だ。
ーーー狩り尽くす!!ーーー
全員が何度か登録したセーフティエリアに死に戻りしたが今のところデスペナ(死亡による罰)は無いようで安心して経験値稼ぎを続けている。
一度、満腹度の回復とドロップアイテムの鑑定にセーフティーエリアに戻ってきた。
「一度ログアウトして昼食にしようか。少し情報を集め…」
理々亜の話の途中でAIの音声が入る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エリアボスが討伐されて王都アヴァロンが解放されました。
アップデートのため30分後に全てのプレイヤーを強制ログアウトします。お近くのセーフティーエリアや町でログアウトしてください。
繰り返します……
ーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ずいぶん早かったな、エリアボスを倒すとアナウンスが出るのか。王都って事は拠点にして活動しやすそうだな。」
俺の感想にスコーピオンが残念がっている。
「エリアボスの最初の討伐ボーナスが!? まだ時間があると思っていたのに…」
詳しく聞くとエリアボスの討伐ボーナスは討伐順に下がっていくらしい。特に最初は経験値も多く、強い又は使い勝手がいい装備を貰えるらしい。話はとりあえずログアウトしてからだな。
ログアウトして昼食を済ませて全員が掲示板を見ている。
「王都アヴァロンまでの道を解放したパーティーが豪華だね。β版の貢献度ランキングの上位9位~2位のパーティーか。1位は行方不明の様子か。」
理々亜が情報を纏める。
「運営の公式発表だとね~共有生産スペースの解放に~ギルドの立ち上げとホームの購入等等のアップデートの為に約5時間のアップデートらしいな。」
全員で情報を集める予定だったが新しい情報が無さそうなので全員でアビリティ構成の公開をすることになった。
◆◆◆
「まずは俺からか?こんな感じだ。」
隆太 (スコーピオン)
【槍Lv8】【握力Lv5】【蹴りLv6】【物理軽減Lv6】【自己回復Lv7】【ダッシュLv8】【跳躍Lv5】【索敵Lv5】【採取Lv5】【眼力Lv5】
「こんな感じだな。とりあえず話は全員が公開してからな。次は宗介にパス。」
宗介 (ジェミニ)
【槌Lv8】【斧Lv5】【握力Lv5】【物理軽減Lv5】【自己回復Lv6】【採取Lv8】【鑑定Lv6】【眼力Lv7】【武器生産Lv1】【防具生産Lv1】【細工Lv1】【生産の心得Lv7】
「僕はこのぐらいだよ、次は燕ちゃんね。」
燕 (サジタリウス)
【弓Lv6】【付加Lv3】【鷹の目Lv5】【動体視力Lv7】【自己回復Lv3】【眼力Lv5】【鑑定Lv7】【採取Lv9】【薬品生産Lv1】【アクセサリー生産Lv1】【細工Lv1】【生産の心得Lv10】
「私はこのぐらいです。香さん、どうぞ。」
香 (アリエス)
【本Lv5】【魔力Lv8】【魔法才能Lv9】【黒魔法Lv8】【火魔法Lv5】【水魔法Lv6】【風魔法Lv7】【闇魔法Lv4】【自己回復Lv6】【体術Lv5】【詠唱省略Lv5】【眼力Lv7】【ターゲットLv6】【採取Lv4】【魔術士の心得Lv8】
「こんな感じだよ~理々亜ちゃんにパ~ス~」
理々亜 (アクエリアス)
【杖Lv8】【ナイフLv5】【魔力Lv9】【魔法才能Lv8】【白魔法Lv6】【聖魔法Lv4】【治癒魔法Lv7】【解呪魔法Lv2】【自己回復Lv5】【詠唱省略Lv5】【眼力Lv4】【採取4】【僧侶の心得Lv9】
「私はこのぐらいだな。紅が最後だ。」
紅 (レオ)
【剣Lv12】【大剣Lv1】【双剣Lv1】【刀Lv7】【短剣Lv5】【格闘Lv7】【索敵Lv7】【筋力Lv8】【握力Lv7】【眼力Lv10】【見切りLv8】【斬Lv3 (イレギュラーアビリティ)】【闘神の心得Lv12】
「こんなところだな。アビリティ構成の話は個人の好みもあるから自由だろ?それよりアップデート後の行動を決めた方が良いだろ。」
◆◆◆
「とりあえず方針は装備を整えて狩りだな、エリアボスを倒さなくても王都アヴァロンに行けるはずだしな。宗介と燕に素材を全て渡して、生産と戦闘に分かれて行動。これで大丈夫か?」
隆太の真面目な発言に驚きながらも了承する。アップデートで自由時間ができた。 『英雄達の伝記』に入れない自由時間ができたので聞いてみたい気になることを話す。
「みんな攻撃の繋がりに違和感がないか?」
全員の視線が俺に向く。
「燕はいなかったけど前にやってた、『D・ファンタジア』なら『攻撃力』と『素早さ』が高いとスキル無しの連撃もスムーズだったけど『英雄達の伝記』だと違和感があるんだよ。みんなは気づかなかったか? 俺は連撃を狙うと違和感が気持ち悪くてな。」
全員が悩んでいると宗介が可能性がある解決策を教えてくれた。
「もしかしたら、生産系のスキル取得すると良いかもしれないよ。『英雄達の伝記』だとステータスを見ても数値じゃなくてアビリティのレベルだけだから確認はできないから正解だと言い切ることはできないけど所謂『器用さ』が必要かもしれないね。僕の場合は一撃必殺の攻撃だけど動きの繋がりに違和感は無いよ。」
全員で俺の話をキッカケに、必要な行動のステータスにジャンル違いのアビリティが関わる事を前提に話を進める。
30分程の話し合いで目処がついたから個人で自由にする。
俺は夕食の下拵えをしてから無害煙草を吸って考え事をする。生産系の取得センスを考えながらタブレットPCで情報検索をしていると俺の電話のコール音が聞こえてきた。
名前を確認せずに通話を開始する。
全員が簡単にアップデートの内容を確認して動く。
「みんな、もうすぐログインの時間だけど、王都まで行っても大丈夫か?俺だけで行っても大丈夫だけど?」
全員に理由を話す。
「いいじゃん、俺は賛成するぜ!!『D・ファンタジア』のギルド『サーベル・ダンス』が揃うことは嬉しいからな!!」
燕が頭の上に疑問符を浮かべているので宗介が説明する。
「身内だけのギルドで今のメンバーに紅君のお姉さんの紅葉さんと作ったギルドだよ。紅葉さんは『英雄達の伝記』のβ版の貢献度1位って聞いたよ。」
燕が納得したので話を続ける。
「姉貴が知り合いを1人誘ったから紹介してくれるって言ってたから、ログインして会いに行こう。」
ログインすると村の広場の中心に大きなクリスタルが出現していた。村の人に聞くと神王からの贈り物で英雄の卵が試練を乗り越えた証だそうだ。
「最初の村から転移クリスタルで王都に移動する。王都の転移門で待ち合わせしてるから行こうか。」
「ここが王都アヴァロンか。姉貴はどこだ?」
転移門の周りを見渡すと誰かに集団が群がっていた。俺達が引きながら固まっていると誰かが後ろから声をかけてきた。
「久しぶりだね、今はレオかな? スムーズに見つけれて良かったよ。ボクの事は覚えているかい? あとで紅葉と一緒に合流するから王都の黒猫と言う宿屋で(NOKIN)とパスで使って部屋で待ってててくれ。」
見覚えがあるような気がする謎の男は用件だけ言って走っていった。
補足
PvPには勝利条件を設定できます。
1対1 (初撃ヒット勝利) (HP半分にすると勝利) (HP全損させると勝利)
複数対複数 (HP半分にすると勝利) (HP全損させると勝利)
PvPの時間制限は無制限。HP全損で負けるとデスペナと所持経験値の一割が勝者側にわたされます。




