さて頑張ろう10
お久しぶりです
今、PKギルド『死の使い』のアビリティの情報や戦闘動画を見て話をまとめているが結論は弱いプレイヤーしか狙わないチキンPKギルドってことになった。プレイヤースキルは高いプレイヤーも少数いるが、ほとんどはアビリティや戦技を使いこなせてなかったり理解できてないプレイヤーしかいなかった。
「なあ、黒乃。お前達、何で負けたんだ?アビリティリセットしても勝てなくても負けない相手じゃないのか?お前達が負ける理由が見つからないぞ?」
俺は黒乃から負けた明確な理由を聞き出しておく、俺は戦闘なんて準備で70%は勝敗が決まると思っているからな。
黒乃はしばらく思い出すために目を閉じて黙る。……3分程、静かだった黒乃が思い出した内容を説明する。
「スタンや麻痺、毒といった状態異常攻撃だ。動画を見た限りだと低確率で発生する状態異常攻撃だったみたいだな。俺達は運が悪かったのか状態異常攻撃でハマったようだな。」
黒乃の説明が終わると姉貴が明るい声で楽しい発言をした。
「今からログインして襲撃しない?多分、余裕で終わるわよ?依頼主も含めてね。みんなはどうかしら?」
姉貴の意見に反対する意味は無くログインして襲撃することが確定した。
全員がログインして手持ちのアイテムの補充や装備のメンテナンスをして襲撃を開始する。
先ずは『死の使い』のメンバーをプレイヤー検索で探すと王都の北側にある建物の中に複数のメンバーがいる事が判明したので次は王都の酒場にあるクエストボードの横に設置されている賞金首リストで『死の使い』が出ているかを確認すると多数の『死の使い』のメンバーが賞金首になっていたので全員分を賞金首クエストとして受注する。
全員で襲撃時の行動を確認しながら『死の使い』が潜んでいる建物の近くで簡単にだが決めた行動で動き出す。
紅眼達が四人で建物の裏側に周り侵入する。侵入時の戦闘は出来るだけ大きな騒ぎになる様に話をしている。ネズミを全て炙り出すためだ。
紅眼達が裏側に向かって10分程過ぎた時に炸裂音と一緒に警笛が建物から多数鳴り響く。
建物の前に居た見張りらしき警備員達が慌てて建物の中に戻っていく。多分あれは『死の使い』に依頼をした奴の兵士だな。これだけ夜中に騒げば回りの住人が王都の警備兵に通報するだろう。警備兵が来るまでにネズミを狩り尽くす。
正面の入り口から何人かのプレイヤーが走りなから出てきた。ネームが赤、つまりPK達だな。俺達も動き出すか!
逃げているPK達は道が別れている交差点に向かって真っ直ぐに向かっているがそこには後輩達とピスケスとタウロスが待ち伏せている。もう一つの逃げ道の方には俺とアクエリアス以外のメンバーが待ち伏せている裏側からは紅眼達が正面には俺とアクエリアスが待機している。さて、どうするネズミ共?
『死の使い』達は覚悟を決めたのか真っ向から戦闘を仕掛けてきた。一番配置人数が少ない俺とアクエリアスの待機している場所に。
「アクエリアス、この程度で負けるなよ。行くぞ!」
俺が前に立ちアクエリアスが俺が後ろに流したPK達を仕止める。近付いてきたPK達に向かって右手に持ったバスタードソードと左手にマインゴーシュという盾になる短剣を構えてPK達に向かって走って近づいてクリティカルポイントを狙って斬りかかる。
『死の使い』のほとんどが逃げる事に集中しているから狙いやすい。適当にアクエリアスの方にも流してネズミ狩りを続けているとプレイヤーとは違う兵士達が建物が何かを喚きながら出て来たが、先ずは『死の使い』の全滅を優先する。
15分程でネズミ狩りが終わり建物から主らしき太った貴族の様な男が出てきた。首に狙いをつけて右手に握ったバスタードソードを振り抜こうとすると、その場に居た全員の動きが止まった。いや強制的に『とめられた』。その途端に大きな声ではないのに、よく通る声が響く。
「そこまでだよ、英雄の卵の諸君。私は王都アヴァロンの第一警備隊隊長のパーシヴァル。事情を説明する気があるならば全てを話しなさい。私は嘘や虚言に敏感だから素直に喋ることをお勧めするよ。」
俺達は全員が集まって王都アヴァロンの警備隊隊長のパーシヴァルに一瞬で何処かに移動させられた。狩ったネズミ達もいつの間にかリスポーンしてからだろうが集められていた例の太った貴族もいるな。
俺達は嘘偽りなく事実のみを喋るとパーシヴァルは無茶な事は程々にする事、と言われたがギルドホームの場所を伝えて早々に帰る事になった。事実が判明すれば王の名の元に礼と謝罪をするとまで言われた。
ギルドホームに戻るとサンとムーンが暖かい飲み物を用意して迎えてくれた。程々に休憩をして各自が自由に時間を過ごす。強制ログアウトの時間まで約3時間ある。俺達は賞金首クエストの達成を確認してPK達を狩った報酬の経験値をアビリティに振り分けている。
経験値をアビリティに振り分けギルドホームの裏手にある生産部屋で充分に蓄えてある素材を使い消耗品アイテムを作り更に経験値を稼いでいると生産部屋の扉がノックされる。
「ご主人様方、王城から使いの方が来ております。使いの方が仰るには『役職に就いている』方が直接出向いて来ている、との事ですが…おかえり願いますか?」
執事が目を輝かせ牙を剥きながら知らせに来た。
とりあえず全員が生産作業を止めてギルドホームの入り口に向かう。
「………奪われた物以外は何も望まない、ということか?それとも私達からの謝罪を受け取れないと?」
謝罪と礼を渡しに来た『役職に就いている』という、第一警備隊隊長パーシヴァルと寡黙な近衛騎士隊長ランスロット、そして王都アヴァロンを統べる騎士王アーサー・ペンドラゴンが礼を受け取らない俺達に威圧をかけてくる。
威圧に耐えれない仲間はイスから転げて倒れている。倒れていないのは俺とピスケスにスコーピオン、そして紅眼の四人だけだ。
だからこそ俺は騎士王に対しての返答を返す。
「俺達が望んだ事は亡くなった方に『ティーツリーの種』を渡す事だ。だが貴方の返答には一切此方の希望する要素が含まれていない。貴方は…騎士王アーサー・ペンドラゴンは自らが統べる王都の住民より謝罪の場においてもプライドや立場を気にするのか? 死んだ者の蘇生が不可能である以上は俺達が望む礼は無い。謝罪は受けるが、それ以上は俺達に対する侮辱だと知れ。騎士王、俺達は爵位や金銀等ではなく、今回の件で亡くなった商人の家族にせめてもの謝罪をしたいだけだ。話を理解していない訳ではないだろう?騎士王アーサー・ペンドラゴン?」
騎士王は俺の返答に対して瞑目して黙り…そして。
「わかった、確かに死んだ者の蘇生は不可能だ。そして、お前達は謝罪は受けるが礼は受け取らない事もな…そんなお前達に対して受け取れという事は通らない、ならばだ……強制的に送りつける!それを『どう』扱うかは、お前達の自由だ。処分してもいいし活用してもいい。……私はお前達が気に入った!今宵は引くが、機会があればお前達と存分に話、分かり合いたいものだ。……では、失礼する。」
騎士王達が去った事を確認すると運営から【お知らせメール】が来ていた。
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騎士王アーサー・ペンドラゴンに気に入られてクエストをクリアしたので報酬が贈られます。
【報酬】アイテム・装備一種作成の権利
【報酬取得者】クエストクリアメンバー全員
【報酬説明】
アイテムや装備を一種だけですが新規作成できます、一定期間後にはプレイヤー全員の生産の基本設計に追加されます。
※報酬の使用期間は三日です
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報酬を見て、俺は頭を抱える。…だから王族や貴族に関わるクエストは嫌なんだよ…短期間とは言え他のプレイヤーが使えない類の報酬があると思ってた…
とりあえず俺は先にログアウトする。誰がが教えるだろう俺がした嫌な経験を。
レオの不自然で唐突なログアウトに事情を知らないメンバーが不思議に思いピスケスに質問する。
「レオには余り気にしない様に、とは言ってあるんだけどね。過去に遊んでたゲームでのトラウマに近い感じかな。」
後輩組と紅眼達にオレから説明する。
「簡単に言えば『1人だけの特別な強い装備』所謂ユニーク装備で逆恨みからのチート疑惑で掲示板で見世物にされたんだよ。見世物になってからは更に広まって大炎上だ、小学生相手に不特定多数からの嫌がらせだ。運営側が何も対応しない事をいい事に嫌がらせがエスカレートしていってな。」
後輩組と紅眼達にレオが受けた嫌がらせの内容まで詳細に説明すると今回の報酬に対する喜びが驚きに変わった。
「今回の報酬はどう扱うかね…レオのトラウマには触りたくないが見逃すには勿体ないからな。」
全員でログアウトまでの時間ギリギリまで考えても良いアイディアは出なかった。
VRMMOでユニーク装備を幼い子供が手に入れて逆恨みすればトラウマぐらいなりますよね




