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四十八 アルプスの少女
私は射出ボタンのロックを解除しました。
もはや、あの手しかありません。
私は急いでフライトスーツの上半身を脱ぎ捨てました。
目を閉じて、すべての邪念を捨て、
アルプスの少女のような清らかな心もて、、、。
よし、いまだーっ!
私は機体を捨てて、自らを射出。
パラシュートが開くとガクンと落下が止まりました。
サイちゃんが接近してきます。
「おーい!テビルマンのおじさーん!」
テビルイヤーには聴こえているはずです。
「教えてくださーい。」
サイちゃんがどんどん迫ってきました。
「どーしてなのー!」
サイちゃんが私のまわりを旋回しています。
「どーして、おじさんには『チクビ』ないのー?」
サイちゃんはハッとして両胸に手を当てて考え込んでしまいました。
「ヴゲェーーーーーッ!!!」
サイちゃんは絶叫すると胸に手を当てたまま凍り付いて落ちていきました。
観察力の勝利です。
でも何でだろう?




