三十九 誰かが「そっとお休み」をリクエスト
「どうも、ご無沙汰してます。」
「あら、サイちゃん昨日もいらしたじゃない。」
「そういうときには話を合わせるのが接客業なんですよ。」
「私がプライベートで使っている店です、ちなみにママはオカマさんなんです、、、。」
「ボク達は料理ができるまでお仕事の話をしていますからね。」
「それでは、酔う前に本題に入ります。お勧めプランの件ですが、こちらにありますように、、、」
「素晴らしーい、すぐ契約します。」
「あの、まだ説明していませんが、、、」
「いや、もうカタログ見ただけで満足度100%、予想通りで参りましたなぁ。」
「で、一応料金ですが、、、」
「それでOKです、貴方にお任せします。」
「えっ、、、」
「さ、乾杯しましょう。」
カンパーイ。
「私の知り合いでね、ヤマダっていうのが、英語ダメでね。」
「えっ、本当ですか?」
「ええ、今度一緒に飲みましょう。」
「それは是非お願いしますよ、アミダさん。」
「バクライとタラコの半焼きですけど、お口に合いますか。」
「大好物なんです。それじゃあ、タラコの歌やりまーす。」
「見ぃあ~げて、ギョら~ん、夜の~ほ~しを~。」
「そうだ、忘れないうちに契約書を書きますよ、ママさーん、朱肉有りますか?」
「お肉ならありますよー、最近、ぜい肉痛がひどくって。」
「あ、ハンコ忘れた、拇印でいいですか?」
「ボインもありますよー、シリコンですけど。」
「サラリーマンは、焼鳥屋で上司の悪口か、スナックで歌っているときが一番楽しいですね。」
それから、常連さんに、お姉さんたちも合流、乾杯の大奔流となり、アニソン合戦になり、サイちゃんはデビルマンを熱唱、サイちゃんサイコー。
誰かが「そっとお休み」をリクエスト、スナックの閉店の合図です。
サイちゃんは口を開けて眠っています。
契約書を彼の上着のポケットに入れて、ついでにワイシャツに付着した毛髪を回収しました。
もう正体はわかってしまったけど、一応鑑識にまわします。




