11/33
二十七 武装解除
それから2時間、、、。
「トラちゃん、お酒がなくなっちゃった、たはは。」
「アミダさまの好きな赤ふたのダカラ焼酎25度をすぐ求めて参ります、少々お待ちください。」
2時間も酒を酌み交わせば誰だって仲良くなります。私の数万年の人生のエピソードを少々披露しましたら、すっかり信者になったようです。
強がる人ほど、かわいらしいのものです。
「アミダさま、赤ふたのダカラ焼酎25度をお供えします、ナムナム、、、。」
「トラちゃんよ、私が貴方を極楽浄土に送ってあげるから、もう何も悩むことはない、お眠りなさい。」
「阿弥陀さま、ナムナムナム、、、。」
「あー、運転手さん、ちょっと臭くて申し訳ないんだけど、このおっさんを葛飾柴又まで運んでください。チケット渡してあるからねぇー、お世話様でーす。」
私の頬がタクシーのテールランプで赤く染まっているような気がして、なんか寂しい別れとなった。
「さようなら、トラちゃん。」
いまどき、チケットなんか使えるわけないだろ。




