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第七話『村人懇願』

初めての感想が来て嬉しくなったので投稿です(*^-^)

 がちゃがちゃと鎧の音があちこちから聞こえてくる。

 村人にを見ると、すでに生気はなく、ただ死を待つ死に人と成り果てている。

 俺は十体のブライのうち、七体を敵軍殲滅に向かわせる。三体は俺の護衛だ。正直こんな良い気分になれる人生を捨てたくない。

 

「ブライ七体は敵軍の殲滅。出来れば一体で十以上の数を相手してくれ。あ~、言い方間違えたな。一体で十人以上を相手にしろ。そして勝て。例え脚を破壊されても、腕を落とされても勝て。いいな、行け」


 ブライはがちゃっと頷くとそれぞれ違う方向に走っていった。

 盗賊を数十人をほぼ無傷で相手にしていたやつらだ。腕がとれたりするかもしれないが、勝てるだろう。

 あ、そうだ。


「ブライ、そうだなお前。お前は殲滅部隊が倒した敵の金を集めて持ってこい。それで戦力が増えれば仲間も負担が軽くなるだろう」


 ブライは強く頷いた(ような気がした)。

 ブライにも一応自我とかあるのだろうか? ただ、俺の命令には背けないだけで。

 まあ、いい。情を持ったら終わりだ。最悪俺はあいつらを盾やら爆弾くくりつけて特攻隊やらに使うつもりだからな。爆弾あるか知らんが。

 

 そんなことを考えていると、次第にあちこちから声が上がる。

 悲鳴やら断末魔やらとても気持ちが良い。最高だ。

 村人たちの顔には相変わらず生気が戻らない。う~ん、そうだな、こうしてみるか。


「おい、お前ら。今俺の(しもべ)共が相手を殲滅している。相手は混乱しているし、お前らでも倒せるかもしれん。そこでだ。お前らが敵を倒せばその敵の防具などの半分をお前らにやろう」


 村人の大半は無理だ、と俯くが力に自信のあるやつは少しだけ生気を取り戻した。

 ブライたちが優勢っていう証拠もないのによくやろうと考えるな。もしかしたら、ただ死にに行かせられるのかもしれないのに。まあ、俺はそこまで非道じゃない。死にに行かせるならちゃんと爆弾は持たせる。


「俺は行くぞ」


 村人の中の一人が顔を上げた。ってさっき俺が「そんなの知らん」って切り捨てた若い男じゃないか。

 いいね、俺はそういうの好きだよ。行っても地獄、待っても地獄。なら行ってやろうじゃないか、みたいなやつ。

 すると、次々に顔が上がり「なら俺も行く」「ここで待ってもあるのは地獄だ」「そうだな。悪魔に比べたら王国の軍のほうがよっぽどマシだ」と口々に言い出した。とりあえず最後のやつはビンタしといた。ビンタした俺の手が痛かったので次からはブライにやらせるか、グーで殴るようにしよう。

 俺はブライに命じて縄を解かせる。

 村人は立ち上がると各々の家に向かう。おそらく武器を持ってくるのだろう。

 俺はその様子をぼーっと見ていた。


 と、そこでブライが一体帰って来た。多分金集めのやつだ。


「おう、どうだった?」


 ブライは走ってきて俺の前で止まると半分くらい溜まった袋を開けて見せた。

 おお、銀貨がたくさん。いったい何人の金をあさくったらこんなに出てくるんだ?

 と思ったらブライが右手で五、左手をグーにした。


「五人?」


 ブライは首を振る。周りもがちゃがちゃとうるさいので、鎧がちゃがちゃの音があまり気にならなくなってきた。

 

「じゃあ、まさか五十人?」


 今度は頷いた。

 マジか。もうそんなに倒したのか。王国軍弱すぎだろ。奴隷狩りだから下っ端がやっているのか?

 ともかくこれで召喚出来るだけやっちまうか。

 俺は袋の中身をすぐそこにぶちまけた。


「よし、じゃあ召喚するぞ。

 【ここにある金すべてと引き換えに我が忠実なる騎士を召喚する。いでよ! ブライ!】」


 今度はより強い光が出てきて、周りを照らす。まぶしすぎて目をあけてられない。

 光がおさまり、目を開けるとそこにはブライが二体いた。


「お~、結構銀貨あったしな。二体か、少しずつだが、戦力が整ってきたな」


 俺はふふふ、と不気味な笑みを浮かべる。

 そこで村人たちが戻ってきた。

 各々、剣を持ち胸当てなどをつけている。最低限の装備くらいはあるだな。

 

「で、なんでお前らはここに来るんだ?」


 俺は王国軍を倒してこいと言ったはずだ。

 なのになぜここに来る。ま、考えたらすぐに答えは出るけどね。俺を殺しにきたんだろう。だが、残念ながら今俺の周りには五体のブライがいる。万が一にも勝ち目はないだろう。

 そう思っていたが、村長からは予想外の言葉が出てきた。


「どうか我らに指示を与えてください!」

「は?」


 なにを言っているのか分からなかった。

 何回も言うが、俺は王国軍を倒してこいと言ったはずだ。

 なぜここにきて指示をあおぐ?


「あなたは我らを厳しい言葉で陥れました。そして、金を奪い、自由を奪い、ましては命まで奪おうとしました。

 しかし、これは全部我らのためを思ってくれていたことに気づいたのです。厳しい言葉で絶望を味あわせ、そこに希望という糸を垂らして生への執着を教えてくださいました。

 最近の我らはどこか諦めていました。近隣の村が奴隷狩りにあい、次は我らだろうとビクビク怯えて暮らしていました。

 そこにあなたが来て我らを救ってくださいました。ですから死ぬ前に感謝の言葉だけでもと思い…………」

「あ~、長いこと喋ってる途中でスマン。もう終わった」


 あ~、長かった。長すぎて聞いてなかったわ。

 命まで奪おうとした、ってとこから聞いてないわ。どうせ俺への不満とかだろう。ブライが近くにいるからって口で攻撃か。その程度前世で味わった地獄に比べたら天国だわ。

 そして、視界の端に映ったブライたちを見て村長の言葉を遮った。

 あ~あ、せっかく安全に稼げるチャンスだったのにな。せっかくなんだから受け取れよ、この俺の優しさ。

 ま、いいわ。これで全部俺のものだな。

 

「よし、ブライ七体で倒れている騎士の…………って集めて戦ってたのか。良く分かってるじゃないか」

 

 俺があさってこいと言う前にブライたちは腰に下げた袋を見せた。

 中身を見るともう二体ブライを召喚出来そうだが、あとは生活費に当てよう。町に入るかもしれんしな。

 って王国に俺のことばれたかな? 俺はブライにもたれかかりながら考えている。

 ここから近い国ってほとんどの確立で襲ってきた王国軍の国だよな。

 あ~、俺はともかくブライはやばいかもしれない。

 俺がこんなに武装した鎧騎士を連れていたら絶対疑われる。

 どうしようか……金貨に戻ったりとか出来ないのかな?


 と、思ったとき俺が触れていたブライが光りだした。

 光がおさまると俺の手の中に金貨が乗っていた。

 …………便利だな。用があるときは呼び出して、用がないなら金貨として持ち歩ける。

 

「よし、ブライ共こっちこい。一体だけ俺の護衛にしてあとは金貨になっていろ」


 俺はそう言って呼び寄せたがブライたちは輪を作ってこっちに来ない。なにしてんだ?

 俺は近寄って隙間から中を覗く。

 

がちゃ→パー


がちゃ→グー


がちゃ→パーetc......


「なにジャンケンしてんだよ!」


 おっと、つい大声が出てしまった。俺そんなキャラじゃないのに。

 ブライたちは一瞬驚いた感じがしたが、すぐにジャンケンに戻る。

 ……あいつら金貨に戻りたくないのか? やっぱり自我があるんだな。

 だとしたら最初のやつは悪いことしたな。いや、別にいいか。

 しばらくして勝者が決まったのか一体だけ残って残りが俺の前に並ぶ。

 なぜか、嫌だと首を振っている気がしたがそんなの知らん。

 俺はどんどんブライを金貨に変えていく。これ一体一体やらないといけないとしたら面倒だな。たくさん出した後が大変だ。また実験してみるか。

 最後に残ったジャンケン勝者はよろしくお願いします、と言わんばかりにお辞儀をした。鎧のせいで礼が浅いが気持ちは伝わった。

 てか今更だがジャンケンってあるのな。俺が召喚したから俺の知識をもってるのかもしれないが。


 ちなみにブライたちが帰ってきて終わった、と聞いた時から村人は呆然とこの様子を眺めていた。

 俺はそんな村人たちに向かい、喋った。


「そんじゃ、俺はもう行くわ。また王国軍が攻めてきて、軍隊のことを聞いてきたら、前の軍隊のことなんて知らないと言っておけ。間違っても俺のことを言うんじゃねぇぞ」

「…………ハッ! もちろんでございます!」


 村長は我に戻り、お辞儀をした。

 よ~し、それじゃ俺は次の町に行くとしましょうかね。

 と、踵を返したところで村人が呼び止める。あの若い男だ。


「待ってください!」

「なんだ? 用件をまとめて簡潔に話せ。五秒以内に」

「私たちを連れて行ってください。お願いします」


 急な無茶振りに対応して見せた。なかなかやるな。

 じゃなくて、こいつら俺についてきたいと言ったか? 

 なぜだ? 俺に復讐するためか?

 なら当然答えはNOだ。人間は狡猾な生き物だ。ブライの目を掻い潜って俺に止めをさすやつがくるやもしれん。


「断る。信用ならん」


 俺はまたもばっさりと切り捨てる。

 まだ会って間もないやつを信用出来るかボケ。

 だが、男も引き下がらない。


「ならば私たちを奴隷にしてください。奴隷は主人を攻撃することが出来ず、主人の命令は奴隷が本気で拒絶すること以外は絶対です」

「そうか、ならお前らを奴隷にしよう」

「本当ですか?! ありがとうございます!」

「じゃあ、最初の命令だ。俺についてくるな」


 またも俺はばっさりと切り捨てた。

 ここは異世界だ。小説では奴隷の首輪とか術式を体に埋め込むとかやらないと奴隷にならなかった。多分ここもそういうのだろう。

 だから今の俺の命令は聞かなくてもいい。でも、こいつらアホだから大丈夫だろう。

 と思っていたら男は言い返してきた。


「嫌です!」

「お前奴隷だろ? 命令だぞ?」

「奴隷は術式を体に埋め込まないといけません。それにそうだとしても私は本気で拒絶します」


 うーん、なかなかしぶといな。仮に奴隷にするにはどこかの町までいかないといけない。その道中にやられたらたまったもんじゃない。

 かと言って無理矢理逃げてもこいつらは追いかけてくるだろう。復讐するために。

 俺がどうやってこいつらを切り離そうか考えていると声がかかってきた。




「どうやらお困りのようですね」

 これからは適当なタイミングで投稿していきますね(これから‘も’ですねw)

 たまにつまったりするのですが、そこらへんはとりあえず適当に見繕って俺が書きたいところを中心に書いているので変なところがあったら教えてくれるとありがたいです(*^-^)

最後に、感想・アドバイスお待ちしておりますm(_ _)m

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