第五話『盗賊たちとの旅』
盗賊の数はおよそ二十名。内三名が死亡。
まあ、しょうがないわな。俺に危害を加えようとしたんだから。やられたらやり返す。前の世界でどれだけこれをやりたかったことか。力が、権力がないためにいつも返り討ちにしかあってなかったのが懐かしい。
俺は盗賊に聞きだした金庫の部屋まで行くと、錠をぶち壊し(ブライが)中へと入る。
中はそこまで広くない。ていうか宝もそんなにない。
う~ん、宝石が数個。銅貨銀貨の山。これは金貨何枚くらいになるんだろう? まあ、小さくても山は山だ。二百枚くらいは余裕で超えてるな。
てか、これ全部使って召喚出来るだけ召喚とか出来ないのか?
と思ったら頭の中に言葉が浮かんできた。
「え~っとなになに……
【ここにある金すべてと引き換えに我が忠実なる騎士を召喚する。いでよ! ブライ!】」
銅貨銀貨の小山が光を放ち、あたり一面まばゆい光で埋め尽くされる。
光は一瞬でおさまり、目を開けれるようになった。
目を開けると、目の前には新品のブライが四体いて、かなり減った銅貨銀貨が下に落ちていた。ちなみに宝石は減っていない。金じゃないとダメなのか。
俺は盗賊からくすねた道具袋を後ろのブライに渡し、残りの物を集めさせる。
新しく出てきたブライはとりあえずの命令を出しておく。
「一体は薪を拾ってこい。残りの三体は今晩の飯になる肉と果実をとってこい。行け」
それだけ言うと四体のブライはがちゃっと頷き走り出す。
ついでに金とかを集めていた二体のブライも集め終わったようだ。袋がパンパンになっている。
俺は「よし、行くぞ」と言うと踵を返し、部屋から出る。
盗賊たちのいるところまで行くと、ほとんどの盗賊が治療を終えていたようだ。最低限喋れるようにはなってくれた。四肢がないやつは……ま、しょうがないわな。
俺は一際ガタイのいい、リーダー的なやつに話しかける。もちろんある程度距離は保ったまま。間にはブライも入れてるし、横も後ろもブライが見張っている。安全面ではばっちしだ。
「お前らさぁ、今日で壊滅だな」
「ああ、そうだな」
お、案外大人しくしてるぞ。
とはいっても目が死んでいないので油断はできないな。
「奴隷って知ってるか?」
「……ああ、もちろんだ」
「お前らを売る……ってことは出来るか?」
「………………俺らには強力な後ろ盾がいる。そいつらが黙っては……」
「そんなの知らん」
俺が一言で切り捨てると、男は無言になる。
だが、目だけはしっかりと俺を見据えている。
「そんじゃ、お前らを売ることにしたわ。金が必要なんでな。ブライ! こいつらを縄でしばって歩かせろ!」
ブライは頷いて盗賊が持っていたロープで盗賊を縛った。
盗賊はほとんど体力が残っていないためロープを切ったとしても逃げれないだろう。
そう思って俺は盗賊たちのロープを使った。
俺はブライ二体に盗賊の管理を任せ、一体を俺のそばに置いておいた。
ずっと歩いているといつの間にか夕方になっていた。ブライ探したり、盗賊をいじめたりしたらいつの間にか時間経ってたな。
俺は適当なところで休むと言って、場所を探した。
ちょうど木がある程度なくて、休めそうなところに腰を降ろした。
盗賊たちも腰を降ろし、息を吐いていた。
よっぽど疲れていたのか。まあ、しらんけど。
でも、あまり無下に使うと価値が下がるかもしれない。今でも十分低いとおもうが。
だからここで夕食を食べさせてやることにした。
「おい、ブライ。森で作業してるやつを呼べ」
ブライは頷く。
しばらくすると三体のブライが、最初に出会った大きな熊を三匹引き摺って来た。あれ? こいつずっとここにいたよな。ま、いっか。
一体で薪を拾っていたブライはなぜか丸太を十本ほど持って来ていた。
「おい、薪拾い。なんで丸太なんだ?」
それを聞くと薪拾いは丸太を置いて斧を振りかぶった。
勢い良く斧を振り下ろすと丸太が真っ二つに割れた。
なるほど、これを使えと。
夜は寒いし、火で暖をとろう。
「…………って火を起こせねぇじゃん」
俺がはぁ、とため息をつくと盗賊の一人が喋った。
「おい、俺火魔法使えるぜ」
「魔法?! 魔法あるのか?!」
「お、おう」
マジか! そういえばここ異世界だった! 異世界といったら魔法だよな!
俺はそう言った男をブライ三体でガチガチに固めながら縄を解いた。これで変なことを考えていても対処できる(はずだ)。
だが、男は特に抵抗などせず、指先にライター……より大きく、ガスバーナーくらいの大きさの炎を出した。こいつらも寒かったから唯単に温まりたかっただけなんだろうか。
「おお!」
思わず驚きと感動が混ざった声がでる。
すぐに薪に火はついて、男をもう一度縄で縛る。
俺は二体のブライに「熊を解体して肉を焼け」と言って作業にとりかからせた。
俺はその間特にやることもなく、ただぼーっとしていた。もう日が沈むな。
しばらくすると、肉の焼ける香ばしい匂いがしてきた。肉は、鉄板などないため、細く切った木に串刺しにして焼いている。結構でかいため中まで火が通っているか心配だな。
それに、調味料がないが……まあ、それはしょうがない。鉄板はちょっと良いこと思いついたが今日はもう疲れた。
「よし、お前らにも食べさせてやる」
俺はそう言ってブライに「食べさせてこい」と命令した。
ブライは焼けた肉を持って盗賊たちへと歩み寄って行った。
ブライが肉を男の前に差し出すと男はすぐにかぶりついた。よっぽど腹が減っていたんだろう。
ブライは次々に男に肉を食わせて行く。俺もその間に食って行く。
俺が食い終わり、男たちもたらふく食って満足したとき、男たちのリーダーが話しかけてきた。
「なんでこんなことするんだ?」
そう言う顔は疑問でいっぱいと言う感じだった。
「ガリガリだと奴隷商に高く売れないだろ。少しでも利益を上げるためだ」
俺は当たり前だとでも言うように言った。
男はそれを聞くと目を丸くして、笑った。
「ははは、そうか。それなら納得だ」
男はそう言うと黙りこくってしまった。
闇夜の森に生物の音はしない。
火がパチパチと音を立てている。
「それじゃ、寝るか。ブライ、三体は俺の警護。二体は森で果実をとってこい。残りの二体はこいつらの見張りだ。変なことしたら迷わず殺せ」
俺は一通り指示を出し終えて草の上に寝転がった。
あ~、寝袋とか欲しいわ~。草の上とか寝れんわ~。
そんなことを思っていたが、疲れているためか、すぐに睡魔は襲ってきて俺の意識を刈り取った。
朝、小鳥のさえずりを聞きながら起床する。
やや開けた場所にあるため、日が良くあたる。
火はすでに燃え尽き、灰となっている。
「おはよう。気分はどうだ?」
「おはよう。すまないが、小便させてくれないか?」
男たちはもじもじと必死に我慢している。
盗賊ってそんな気にしないと思ってたが……俺盗賊を偏見で見すぎか?
とりあえず、茂みでブライに監視させながら便を済まさせる。他のやつも同様にやっておく。
戻ってきたところで行軍を開始する。
昨日かなり歩いたのだからそろそろ人が住んでいるところにでてもおかしくないだろう。
俺は朝ブライが取ってきたりんごのような果実を食べながら歩いている。甘いなこれ。
男たちにはブライが監視ついでにやっている。昨日たらふく肉を食って多少は血色がよくなったようだ。
そんなこんなで歩いてようやく人の集落が見えてきた。よ~し、金を稼ぐか。
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
お気に入りが6件に増えていてめっさ嬉しいです!
まだ5話しか投稿していないのにこんなに来てくれて嬉しい限りです!
あと、評価がすっごいです。俺なんかにこんな大きな点数……過大評価してる気がします……
だけど、やっぱり高く評価されるとむっちゃ嬉しいです!!!!!!!
もうお気に入りが増えるよりも断然嬉しいです!!!!!!!!
もうじゃんじゃん来てください!感想もお待ちしております
長々とすいません。このあとランニングに行ってから続きを書こうと思います(また無駄な報告が入って長々と……ってこれもry)