第四十三話『造幣所が……』
昨日更新出来なかったので……
「なんだ?!」
俺は爆発音に驚きながら回りを見渡す。
山の下腹部から中腹部は焼け野原で爆発なんて起きていない。ということは、上か!
俺はバッと山の頂上付近を見る。
すると視界の端で黒い煙が立ち上っているのが見えた。
あれは……造幣所のところじゃないか?
「エイク、プリルお前らはここで待っとけ。アヴァロンは一体俺を担いで五体俺と一緒に来い。残りはこいつらを守れ。行くぞ」
俺がそう言うとアヴァロンのうち一体は跪いた。俺はサッと肩に乗る。
アヴァロンは立ち上がり煙の立ち上る方向へと走り出した。
いつの間にか敵の侵入でも許していたのか?! あそこにはブライを十体ほど護衛につけていたはずなのだが……
くそ、考えていても埒があかねぇ。
俺はスッと目を細くし、前をしっかりと目的地に到着するまで見据えた。
やがて、やや開けた場所に来た。
うん、ここは確かに造幣所があった場所だ。
造幣所があった場所は地面が黒く焼け焦げており、そこを中心として周りに建物の破片と思わしきものが転がっていた。
俺が感覚を研ぎ澄まして、周りを警戒していると、カサッ、となにかが草をかきわけた音が聞こえた。
俺は前を向いて、表情も崩さないまま小さく口を動かした。
「アヴァロン一体は気配を消して俺が向いている方向から見て右に気配を消して近寄れ。そいつを捕らえて来い」
最小限の言葉で、ささやいた。
ちゃんと聞こえたのかアヴァロンの気配がスッと消えるのが分かった。
俺はそのあとも周りをアヴァロンで囲ませて警戒しながら感覚を研ぎ澄ましていた。
頬を撫でるひんやりとしたそよ風。鼻腔をくすぐる森の匂い。風で揺れる木々のこすれる音。時折聞こえる息を吐く音。
五感を最大限に活用して周りに感覚を溶け込ませていると、ガサガサと自然の揺れではない音がこちらへ向かってくる。
そいつは姿を表すと肩に担いでいた小さなガタイのいい男を地面に降ろした。その体は動けないように見事に縛られていた。
「な、なんでこんなことをするんじゃ!」
「ああ、お前か。敵かと思った。許せ」
アヴァロンがドワーフの長老っぽいやつを縛って俺の目の前に放り投げた。
まあ、味方でもまずは捕縛するがな。裏切ったかもしれないし。
とりあえず俺はギャーギャーと喚くそいつをビンタで黙らせてからこの惨状について聞くことにした。
「お前、これはいったいなんだ?」
「ああ……ここ最近わしらめちゃくちゃ働いていたじゃろ? そのときにのぅ、炉を使いすぎて魔力が暴走してしまったんじゃ」
「ようするにお前らの不手際だと?」
俺がそう指摘するとドワーフの長老? は俯いて黙りこくってしまった。
とりあえずさっきとは逆の頬をビンタして、またお前らで作れ。材料とか設備はなんとかしろ、と無茶を言ってそこを後にした。長老のあの絶望を表したかのような顔は傑作だったな。
特に敵らしき影はなかったし、大丈夫だろう。実はアヴァロンを数体偵察に出していたし。
俺はため息をつきながらエイクたちの元へ戻ることにした。あ~あ、金貨の供給源がなくなった……
俺は戻り道先ほどよりもゆっくりとしたペースで戻っていた。
その道すがらアヴァロンに戦況を聞いていた。
どうやら敵は様々な妨害工作をしながらバルダと戦っているようだ。
魔法でバルダの足元に泥沼を作って沈ませたり、魔法で火と水を交互にかけて装甲を脆くしたり。ってバルダとか普通に金属なんだな。てっきり魔力の具現化とかそういう類のものかと思ったわ。
でもバルダも負けておらず、鎖を振り回して先についている鉄球で敵の前衛を何度も吹き飛ばしているようだ。
ちなみにバルダはその攻撃方法のためか、仲間と距離を置いている。敵さんもこれ幸いと九体を足止めに、残りの一体を全軍で潰す各個撃破をしているそうだ。
あと、敵の被害状況はおよそ一万、こちらの被害は零らしい。
さすが重戦士とだけあってなかなかにしぶといらしい。アヴァロンが、私なら既にやられています、と言っていた。もっとも私たちならもっとスマートに勝てますが、とも言っていた。負けず嫌いか。
ちなみに今は両者とも被害状況に変化はほとんどないらしい。
なんでも遅れて来たかなりの重装備をした兵士が前線に立ってバルダの攻撃を受け止めているらしい。
泥沼で踏ん張ることも出来ないし、装甲もずっと続いている火と水の魔法により大分脆くなってきているようだ。他の九体も同様だ。攻撃が一体に集中しているだけで、他の九体にも泥沼と火と水のコンボは決まっている。
そろそろ限界かな?
俺はそう思い、戦場へ向かうことにした。
エイクたちの元に戻ると、どうだった?! とか、大丈夫お兄ちゃん? と心配そうに俺を見上げるエイクたちが近寄って来た。
「すぐに行くぞ。お前らもアヴァロンの肩に乗せてもらえ」
俺がそう言うとエイクたちは頬を綻ばせ、ありがとう! と言ってアヴァロンにピョンと乗った。
なぜ礼を? 俺はさっさと行きたいだけだったのだが。
そう思いながらもエイクたちがニコニコしながら乗ったのを確信すると、行け、と言って走り出した。
あ、スーラたちを呼び戻さないとな。
「スーラ! 戻って来い!」
俺は大声で森向かって叫んだ。
すると、どこからともなくスーラたちが戻ってきた。
「どうしたの?」
「これから戦場に行く。あと、ここはもう使えそうにないからな。多分戻って来ない」
スーラが首をかしげて問うてきたので、そう返してやると、え~、と不満の声が上がった。声はスーラのみだが、他の精霊たちもここは離れたくないそうだ。
やっぱり森とか自然が多いところはスーラたちも過ごしやすいんだな。ま、そんなことしったこっちゃないけどな。
スーラたちは俺の服にしがみつくようにして休み始めた。遊び疲れたのか……
俺はその様子を見てスーラ以外の精霊を撫でてやった。スーラがやや不満そうな顔をした気がした。
軍は森の中を進んでいたらしく、森の中で戦っていた。
だが、辺りの木々は何かによって中ばから折られており、火がついて燃え盛っていた。
てか、これ森って言えるか?
そのくらい山脈と荒野の間の森は一部消滅していた。ちなみに造幣所は荒野の森とは反対側の山岳地帯にある。
敵はこの燃え盛る炎の中どうしてるのかと思えば何か薄い青色の幕みたいのがあった。あれって障壁か? 味方をちょうど囲むように展開させている。
バルダはというと、泥沼に嵌って見事に足止めさせられており、苦し紛れの鉄球は大盾を持った重装備部隊によって止められていた。さすがに何人も束になって、しかも障壁があったら貫けないか。
俺はこの様子を遠くのまだ森が生きている場所から見ていた。
木の天辺までアヴァロンを動かしてそこで見ていた。木の枝が折れないか心配だったが、アヴァロンは器用にもつま先を木の幹に突き刺していた。
さて、ここからどうするかな?
このままだとバルダが負けそうだし、造幣所がなくなった今下手に白金貨をなくしたりしたら大幅に戦力ダウンだからな。
俺は思案した後、スーラたちを見た。
「お前たちであそこにいる敵を一掃してこい。さっきので鬱憤溜まってたりするだろ? 思いっきり解放してきていいぞ」
「本当?! やった~!」
スーラたちは万歳をしたりハイタッチしたりして喜びを表していた。
こいつら結構強いからな。遠距離から魔法ぶっ放せば相手も反撃しずらいだろう。
「ねぇねぇ、久しぶりにあれやっちゃう? 魔力も全回復したしね!」
スーラがいたずらっ子のような悪い笑みを浮かべて精霊たちに提案した。
精霊たちはそれぞれ、いいね! とか、やろうやろう、とジェスチャーしている。
あれってなんだろう?
俺は背筋に嫌な汗をかくのを感じた。
すいません。昨日は文化祭&空手で、帰ってきたのが九時半ということで書けませんでした><
かわりに今日は暇なので二話(もしかしたら三話?!)投稿します。
そういえば閑話『アヴァロン』にて女の子の名前が『サリン』と『マリ』ですが、最初の方で『アリー』という女の子の名前が出ていたのをすっかり忘れていましたσ(^_^;)
ですので、『サリン』→『アリー』と直しました(あんまり関係ないですが一応)
最後に、感想で本当にたくさんの意見を下さりありがとうございます!
全てを採用するつもりなのですが、矛盾が起きそうなのはどちらかにと言う感じでやります。
これからもどしどし御提案お待ちしております
感想・アドバイス・御提案お待ちしております




