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閑話『アヴァロン』

 昼を示す鐘が鳴り、都市全体に昼だと知らせる。

 ここノンスール王国は最近町が活発になってきた。

 人々はあの苦しい税から解放され、新しい王は不在だが臣下の者たちが王国に来る魔物を排除するため危険もなく解放的な気分になっていた。


 そんな光景を王城の窓辺から見ている者は感情もなくそれを見つめ、クルリと踵を返す。

 町は解放的な気分になった人々のおかげでよく金が回るようになった。

 国を持つものが見れば十分成功したと見えるだろうその光景だが、当の本人は不満そうだった。

 経済も安定している、外からの脅威も排除でき、食料の問題もない。人口も決して少ないわけではない。

 それでもその者はため息をつかねばならぬほど満足していなかった。






「ハァ」


 不思議なほどに音が出ない自分の体で廊下を歩く。

 何度目でしょうか、こうやって人間のようにため息とやらが出てしまうのは。

 ため息とは呆れたり、何かに失敗したりするときにするものだと聞いています。

 私はなにも失敗などしていません。ご主人様の言付け通り国を立て直し、兵士も募り鍛えて自立出来るほどになっています。

 完璧です。

 ではなぜこんなにもため息が出るのか。

 私はご主人様に着いて行きたかった。

 おそらくこれが原因でしょう。

 出来ることならご主人様に着いて行き守りたかった。

 でもそれは叶わぬ夢。私にはもう命令があるのですから。


「アヴァローン!」

 

 赤い、少し汚れた絨毯の上を歩いていると後ろから呼ばれました。


「ハイ、ナンデショウカ?」

(はい、何でしょうか?)


 そう言いながらも用件はわかっています。もう訓練の時間ですからね。

 私はクルリと振り向きご主人様から預かったガンサたちを見る。

 相変わらず無邪気な笑顔です。ご主人様に初めて召喚された時はなにか重い物を背負ったような暗い顔をしていましたから。

 ガンサはその短い赤髪を振りながらこちらへ向かってくる。

 

「もう訓練だよ! 早くしてよ、もっと強くなりたいんだ!」

「ハイ、イマカライキマス」

(はい、今から行きます)


 ここ最近子供たちはすごいやる気に満ち溢れています。

 なんでも早く強くなってご主人様を守って上げたいそうです。分かってますね。

 基本的に男に剣、女に弓を教えています。

 そして、多少魔力の多い子には障壁の使い方も教えています。魔力の多い子、といっても全員ですが。


 あれ? もう行ってしまいましたか。

 少し目を離した間にガンサたちは訓練所の方へと走って行ってしまいました。

 それでは、私も行くことにしましょう。







 城壁の外で私たちは向き合っている。

 基本的に私のやり方は、実践あるのみです。

 剣の握り方、ある程度の振り方、受身を教えたら後はぶつかり合うだけです。

 

「デハ、ハジメマショウ。イツデモドウゾ」

(では、始めましょう。何時でもどうぞ)

「うぉぉぉおおお!」


 私が、どうぞ、と言った瞬間にガンサが五mほどの距離を縮めてきた。

 ガッチリした肉体は伊達ではなく、なかなかの脚力ですね。並の冒険者なら気づいたら斬られているくらいの速さです。

 私は馬鹿正直……オホン、素直にまっすぐ突っ込んでくるガンサをひらりとかわし、首筋に槍の矛先をちょんっ、と当てる。

 着地したガンサの首には小さな赤い点が出来た。これで一回死亡ですよ。

 

ヒュン


 私は後ろから気配を感じほんの少し横へ移動した。

 すると、先ほどまで私の頭があった場所を射抜いた。アリーか。

 と、続けて第二射、第三射と連続で撃って来る。うん、申し分ない連射スピードですね。

 私は同じようにひょいひょいとかわす。


 ここまで来てようやく全員参加するようです。

 弓のアリーとマリは前後から狙ってきている。もちろん互いに当たらないように直線上にはいない。

 剣のガンサ、キリ、トンズの三人は三角形を作り私を囲む。

 うん、ここまではいつもどおりですね。さて、ここからどうするつもりか。


 と、三人が同時に襲い掛かってきた。前からは袈裟斬りを繰り出すガンサ、右後ろには逆袈裟斬りをするキリ、 左後ろからは突きを放つトンズ。

 それぞれ最短距離、最高速度の最高の攻撃を繰り出している。

 よくこの短時間でここまで成長出来ましたね。

 しかし、まだ私には通用しませんね。

 私は前に向かって走り、ガンサの剣を弾いて抜きました。

 と、そのときガンサの口が歪んだ気がしました。あれは……?!


「よっしゃ! 引っかかったぞ!」

「これ一本でしょ?! やった、初めてだ!」


 私は抜けようと足を踏み出したところでバランスを崩した。

 足元を見ると小さな泥沼が出来ていた。

 そこを振り返ったガンサに剣で頭を殴られて私は一本とられました。

 いつの間に魔法を身につけたのでしょうか? 

 ともあれ私から一本とれたことには変わりありません。約束どおり魔物狩りに連れて行きましょうか。


「約束覚えているよね?!」

「ハイ、モチロンデスヨ。イッショニマモノカリニイキマショウ」

(はい、もちろんですよ。一緒に魔物狩りに行きましょう)


 私がそう言うと子供たちは万歳をして喜んだ。

 それでは早速行きましょうか。

 私はガンサたちについてくるように言うとカンカンと地面を照らす日の中歩き始めた。


















 夕暮れ時。

 太陽が半分以上沈んだ頃。

 私たちは魔物狩りの帰り道を歩いていた。

 子供たちは今日あった魔物の話で盛り上がっている。

 あの熊すっげぇでかかったよな?!

 でもめっちゃ簡単に倒せたな。

 だな! でも、こんなこと言ってるとアヴァロンさんに怒られるから手を抜かないようにしないとな!

 確かにそうだな。アヴァロンさんもあまり調子に乗るなって言ってたしね。


 こんなやり取りを聞いていて、つい雰囲気が緩みました。

 いや~、本当に強くなられた。この子たちには才能がありますね。

 確かあのスブリベアーはBランク相当の魔物だったはずです。それをほんの三分ほどで倒してしまうとは。五人といえど、まだ十歳ほどの子供なのに。

 私はそう思いながらも周りへの警戒は怠らない。

 

 と、そのとき仲間のアヴァロンから連絡がありました。念話です。


『ご主人様がお呼びです。私たちのうち五人ご主人様の元へ来い、と』

『本当ですか! 私が行きます!』

『いや、ここは公平にジャンケンでいきましょう。みんな行きたいのです』


 私はこの報告で一瞬警戒を怠ってしまった。

 嫌な気配を感じた私はすぐに感覚を周りへと巡らすと、いつの間にか子供たちのすぐ後ろにガロウウルフが。

 しまっ……!

 そう思ったときにはすでに時遅く、私の移動速度を持ってしても間に合わない距離まで近寄っていた。これは障壁も間に合わない。 

 私は間に合わないと直感しながらも駆けた。次の瞬間。


「お前ら、油断するなってアヴァロンさんに言われただろ。外にいるときくらいは緊張感を持てよな」


 両手を腰に当て、足を肩幅に開いて男の子二人を睨みつけるガンサの姿、そしてその横にはガロウウルフの首と胴体が切断され真っ赤な池が出来ている。

 どうやらガンサはずっと周りを警戒していて反応出来ていたらしい。

 と、二人を怒っていたガンサは不意に私に振り向いて口を開いた。


「アヴァロンさんは俺たちに緊張感を持てと言いたかったんですね。分かりました!」


 そう言われた私はなぜか胸にチクッとなにかが刺さる感じがした。肉体など無く、痛みも感じないこの体でわずかに痛みを感じた気がする。

 こう、心に来る感じ…………覚えておきましょう。出来ればもう味わいたくないですが。

 ふと他の子供たちにも視線を移すとみなさん申し訳なさそうな顔で私を見ていた。先ほどよりも強い痛みが私を襲う。なんだろうか、実際痛くないのだが……上手く言えない。


 とりあえず私がご主人様のところにいくのは止めておこう。子供たちをこんな雑魚からも守れないようではご主人様のところで足手まといになるかもしれない。

 そう思って落ち込んでいると念話が飛んできた。


『あ、終わりましたか? 言い忘れてましたがご主人様はあなたをご所望でしたよ』

『……え?!』

『ですから早く後の四人と合流してご主人様の元へ。どうやら少し大変な御様子ですよ』


 私はそれを聞いて走り出そうとしたところで子供たちのことを思いだした。

 子供たちを見ると全員満面の笑みを浮かべて手を振っていた。


「行っていいよ。ここからなら私たちだけでも警戒さえ怠らなければ十分行けるから」

「アヴァロンさんがそんなに驚くなんてなにかあったんだろ? 早く行ってあげなよ」


 私はそれぞれ言葉をもらって、走り出した。

 確かにあの子たちの実力なら森の踏破も問題ないだろう。警戒さえ怠らなければ。

 そう思い、子供たちを置いてきた。

 最後にもらった言葉の数々。


 今までありがとうございました!

 いつかはアヴァロンさんに勝ってみせるからな!

 ご主人様によろしく言っておいてくださいね!

 出来るだけ早く戻ってきてくれよ!

 絶対死ぬなよ!


 なんだか胸の奥がジーンとしみた。心地いい感じだ。覚えておこう。

 

 しばらく走ると仲間と合流した。

 私たちは感覚でご主人様についているアヴァロンの気配を感じてそれに向かって走り続けた。

 

 閑話って難しい……

 てか、今後の展開がちょっと……

 ま、頑張ります(*^-^)励ましの言葉がほしry



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