第三十九話『アヴァロン小隊編成』
現在我らビルス帝国軍は造幣所に駐留している。
なんでもノンスール王国に侵略に行った軍が半壊状態で帰ってきたのだ。
その軍の大将の報告を聞いて我は唖然とした。
突然の発光から急に現れた千はいるのではないかという鎧の軍団。
完全なるゴリ押しで攻めてくるそいつらに重装備兵が応戦するも次々とやられていく。
こちらの被害が結構な数になってきた頃ようやく魔法使いの極大魔法が完成したのだと言う。
その極大魔法で今度は次々と敵の鎧を貫いていく。
これなら勝利できる、と思った矢先叫び声が聞こえた。
そこには美しい白色をした鎧を纏った者に荷車を引かせ、その荷車に乗っている少年がいた。
少年は腰に下げてあるアイテム袋を逆さにして白金貨らしきものをばら撒いたと思ったらまたも発光した。
光りがおさまりそこを見ると漆黒のローブを身に纏うものがいる。
そしてその者に極大魔法を破られたこと。
大将は軍隊の司令官ということで客観的にこの状態を見て退却の判断をしたそうだ。
そして歴戦の猛者たちが殿を務めるも先ほどの白き鎧が現れて瞬殺された。
なにを言っているんだ、と思ったがこいつがこんな嘘をつくはずがない。
我はこいつの性格を見て今回の大将に命じたのだ。
そこで我はその敵が来るであろう造幣所に兵力の半分を置くことにした。
帝国か造幣所になにかあれば即座に駆けつけれるように。もちろん周りを見て敵の影がないことを確認してだ。囮の可能性もあるからな。
そして我は造幣所にくるであろうと予測して造幣所のほうへと来ていた。
造幣所は山の中腹に作られた銅貨などを造る場所だ。
なにやら‘ろ’と言うものに銅などを入れた鉄の入れ物を入れて熱して溶かすそうだ。
そんなことをしたら鉄も溶けるのでは? と我は質問をした。造幣所に駆けつけたはいいが装備の確認、兵士への指示などあらかたやることはやったので暇をもてあましていた。敵が来ても我は後ろから指示を飛ばすだけだし。我も戦いたい!
っと、話が逸れてしまった。
その質問に対して職人は、なんでもお偉いさんの耐熱の付加魔法がついてるらしくてよ、と自慢げに鉄の入れ物を差し出した。
なるほど、それで高温の‘ろ’と言うものの中で銅のみを溶かすのか。
「大将! 遠方に何者かの影が!」
と、ようやく敵さんのお出ましか。なかなかのんびりしていたんだな。
それとも我らに戦いの準備期間をくれたのか? 面白い。我も全力を持って戦わせてもらおう。
我は指示を飛ばす。
兵士は全員弓を持って山の中腹よりやや下方から弓を射よ。魔法使い部隊は魔法無力化の極大魔法の準備。
山の入り口は森で雑草も生い茂り視界が悪い。よって我らが仕掛けた落とし穴などに引っかかることだろう。
他にも足元に木と木をロープで結んだりと足止めの工作を施してある。
そしてそれに引っかかったものたちを上から油の染み込んだ布を巻いた弓矢に火をつけたもので殲滅する。
当然木々に燃え移りものすごい火事になるだろう。
我らも巻き込まれないように先にこちらとその場所の境目の木は全て切り倒して撤去してある。遠くから見て勘付かれない程度に、しかし確実に燃え移らないように。
さすがにこれで全て倒せるとは思っていないが、多少は削れるだろう。
兵士たちは所定の位置へと付き、弓矢を弓へとあてがう。全員近くに松明を置いてあり、そこから矢に火をつけて射るのだ。いつでも放てる様に準備をしている。
そして突然襲う強い光。
これが戦いの合図か。
兵士たちは混乱で騒いでいる。
「なにをしている! これくらいでうろたえるな! お前らはなんだ?! ビルス帝国の兵士だろう!」
我の一喝で兵士たちの騒ぎは治まる。
全く世話のやけるやつらだ。
そう思いながら我らは来るであろう敵を待っていた。
俺は手から溢れるほどの白金貨と金貨、銀貨と銅か全てを取り出しばら撒く。
そして連続で言葉を言う。
「【ここにある白金貨十枚と引き換えに我が忠実なる魔法騎士を召喚する。いでよ! マイトス!】」
「【ここにある金全てと引き換えに我が忠実なる騎士を召喚する。いでよ! ブライ!】」
「【ここにある金全てと引き換えに我が剣となる戦士を召喚する。いでよ! アブライ!】」
二つはノンスール硬貨で、一つはビルス硬貨で言った。
辺りは眩い淡いピンク色の光に包まれる。白と赤の光が混ざってピンクか。
なんて考えていると光りがおさまったので目を開ける。
荷車に乗っているため俺はやや高い位置にいる。
そこで見た景色はすごいものだった。
当たり一面を埋め尽くす鈍い鋼の色。
全て同じ格好でビシッと揃っている。
……いや、少しだけ違うのがいたか。
最前列の少し後ろでは真紅の鎧のアブライがすでに剣を持って俺に指示を煽っている。どんだけ戦いたいんだよ。
山の方からは突然の光に驚いてなにやらパニックに陥っている様子。だがすぐに喧騒は消える。おそらく兵士の中でも上のやつが情報を元にこれが俺の仕業だと判断したのだろう。
まあ、そうじゃなくてもパニックになっている人を落ち着かせるのは上の役目だと思うけどね。
俺は攻撃される前に指示を出す。先に攻撃しないとね。
「指示を出す! アヴァロンはこの中のブライを二百五十体選べ! そいつらはお前の駒だ! 上手く使い敵を蹂躙せよ!」
アヴァロンたちはコクッと頷くと念話で指示を飛ばし始めた。
少しするとブライががちゃがちゃと動き始める。
やがてブライはアヴァロンの前に整列した。横十体縦二十五列が九個出来る。
目の前にこうしてごつい鎧が整列しているのはなんとも言えない感覚に陥るな。なんかすごい。
と、後ろではぶられているブライ数十体と五十体のアブライがいた。
アブライは素振りをし始めて殺る気満々だ。
俺は新たに指示を飛ばす。
「残ったブライは俺の側近アヴァロンAと共に俺の護衛だ。死んでも俺たちを守れ!」
ブライたちはそれを聞くと喜々として、だがどことなく残念そうな雰囲気を出してアヴァロンAの前に整列した。そこだけ列が短いな。気になる……
と、アブライがこちらを凝視しているのに気づく。
よし、あいつらは……
「アブライ! お前らは景気付けに五十体で突撃して来い! 建物と職人と思わしきものは壊すなよ! 兵士のみを殺せ! なんならお前らだけで壊滅させてきてもいいんだぞ?」
俺がそう言うとアブライはオォォォオオ!!! ……とか言わないが剣を高々と上げ、そんな雰囲気を出した。
そして俺が最後の一言、行け、と言うとアブライは山に向かって駆けて行った。本当に職人とかは殺すなよ。建物はもっとだ。山を手に入れても作る機械が壊されちゃ意味ないからな。
そして残ったアヴァロンたちに再度指示を飛ばす。
「それでは今から国盗りの下準備を行う! こんなところで躓いている暇はない! 最小限の被害で敵を殲滅して来い! 行け!」
俺がそう言うと全員が各々の武器を頭上に掲げやる気を見せる。鎧だから声が出ていないのが迫力に欠けるな。
っと忘れてた。
俺はスーラたちを手招きで呼び寄せる。アヴァロンたちはすでに動き始めていて、ブライのがちゃがちゃの音で声が通らないからだ。
スーラが俺の耳元に来ると、なに? と聞いてくる。
俺は出来るだけ精霊たちを近寄らせて喋る。
「お前らは各隊に一人ずつ付いて後ろから援護射撃をしろ。ブライを倒すようなやつらを優先的に排除していけ。多少ブライを巻き込んでも構わん。だが、建物は絶対に壊すなよ。分かったな、行け」
スーラは、分かったわ! とその今は小さな胸をトンと叩く。
そして精霊たちはニコニコした顔で飛び立った。
今度はマイトスだ。
俺はマイトスを呼び寄せる。
「お前らもどれかの隊に付いて後ろから援護射撃をしろ。各隊に魔法使いは一だ。精霊たちがいない隊に付け。そして援護射撃はブライを倒すようなやつを優先的に殺していけ。ブライと近接しているというなら多少ブライを吹き飛ばしても構わない。が建物には気をつけろよ。分かったらすぐに追いつけ」
すでにアヴァロンたちは山に入ろうとしていた。
すっかり忘れていたせいでこいつらの戦場入りが遅れてしまった。くそ、なんてミスを……
ま、そんなに気にしなくても大丈夫だろう。なんとかなるさ。
俺はそう楽観的に考えアヴァロンAに、進め、と命じて荷車を進める。
この荷車が進む道のりは今までと違ってストレスでなく興奮が募ってくるな。
そう思い、実際に進むたびに興奮を増しながら俺は進んでいた。
なんかこれでいいのか心配になってきました……
改稿とかしたらすいませんm(_ _)m
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