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第三十五話『アブライの性能』

 さぁて、金を剥ぎ取りに行きますか。

 この血と贓物がぐちゃぐちゃにされている光景や、匂いにも慣れてきたしね。

 俺はこの惨状を見ても吐くことはなかった。もう俺の心は真っ黒だ……厨二か。

 俺は魔法騎士のマイトス、アヴァロン五体、エイクとプリル、スーラ率いる精霊たちと一緒にブライたちの下へと歩いていく。アヴァロン五体は護衛と荷車引き。スーラたちは荷車が狭くなってきたので飛ぶか俺に乗っかっている。

 俺はブライたちの元まで行くと立ち上がりみんなの注目を集めた。

 う~ん、多分三割ほど減ったか。三割って……白金貨三枚もかよ!

 俺は城に残すアヴァロンの数を減らそうと思った。

 

「さて、お前ら。今から剥ぎ取りをしてもらう。鎧とかとってもあまり意味ないからな。貨幣を持って来い。行け」


 俺がそういうとがちゃという音が重なる。

 ブライは手分けして見るも無残な姿になった兵士たちの身包みを剥がして行く。

 エイクとプリルはこの光景に慣れていないため荷車から降りて盛大に朝食を吐き出していた。あ、昼食食べてなかったな。ってこんな状況じゃ喉も通らないか。

 一体のアヴァロンはそいつらの世話をしてやっている。気が利くこいつは最初のやつか。

 

 


 しばらくして俺たちがビルス軍の撤退した道の少し進んだところで待っていると、数体のブライがパンパンになった袋を複数個持ってきた。

 俺はそのうちの一つを受け取る。と、ガクンと受け取った手が下がった。

 ぐっ……やっぱ重い……

 が、俺は根性でポーカーフェイスを保ち中身を確認する。

 

「あれ?」


 俺は中の硬貨を取り出して首をかしげた。ついでに腕が限界だったので銅貨銀貨金貨を一枚ずつ取り出して袋を落とした。

 硬貨の中の柄が違うな……

 ノンスール王国の硬貨は中にギルドの看板の一部をとった交差した剣が表に、十字の線が入ったホームベース型の盾が裏に描かれていた。

 対してビルス帝国の硬貨と思われるものは、表には翼を広げた鳥、裏には攻撃態勢の虎のようなものが描かれている。

 とりあえず銅貨、銀貨、金貨があったから価値としては同じ位だろう。ちなみに金貨はブライをバッタバッタと倒していたやつが持っていた。どうやら兵士の強さによって持っている金の多さが変わっていたようだ。

 

「ま、ものは試しだな」

 

 俺はおそらく一枚しかないであろうビルス帝国の金貨をお賽銭を投げるように前へと投げた。今俺は荷車から降りているためすぐに金貨は地面に落ちた。

 そこで俺はいつもどおり言葉(・・)を思い浮かべる。


「【ここにある金貨一枚と引き換えに我が剣となる戦士(・・)を召喚する。いでよ! アブライ!】」


 あれ? いつもと言葉が結構違うぞ。

 と思ったら、金貨は発光し始めた。

 しかしいつもと違う。金貨が発光している色は燃えるような赤色(・・)だ。

 いつもは真っ白な光りなのだが今回は真っ赤な光りに包まれる。

 ほどなくして光りはおさまる。

 そして俺の戦士『アブライ』が現れる。

 光りと同じく燃えるような真っ赤な鎧に身を包み……って鎧が本体だったな。

 余分な飾りなど何もなく、無骨。

 ほとんどブライと変わらない格好であった。違うのは、武器と、鎧の色と、目と思わしき部分の形だ。

 武器は一mほどの長さの長剣。

 頭の目の部分は、ブライは漢数字の『一』のように横一線なのだが、アブライは端が上がっていて攻撃的な目をしていた。いや目とか本当にそうなのか知らないけども。

 立ち姿もブライのようにしっかりとした直立ではなく、少しダラッとした感じだ。剣先を地面へと向け、自然体だ。

 

 俺はとりあえず声をかけてみる。


「アブライ、俺の声が聞こえるか?」


 アブライはがちゃっとブライと同じように頷く。

 言葉は通じるようだな。って考えたら通じないって逆におかしいよな。


 俺はしばらく続々とパンパンになった袋を持ってくるブライを見ていた。

 ブライたちは何を思ったのか、俺が見ていることに気がつくと動きが速くなった気がする。あくまで気がするだが。

 

 そして数十個の袋が集まったところで動くブライは見なくなった。全員直立しておりこちらを見ている。エイクたちは後ろで暇なのか手遊びをしている。鬱陶しい。

 さて、これで全部か。

 結構多いな。いや、これが普通か。

 ビルス帝国の兵士たちは大体半分ほどに減っていたのでおおよそ三千人分の金だろうからな。

 俺はそれらを見て言葉を言う。


「【ここにある金全てと引き換えに我が剣となる戦士を召喚する。いでよ! アブライ!】」


 袋がそれぞれ真っ赤に光り輝き、辺りを淡い赤色に染める。袋に覆われているから色が薄いのかな? 

 そして、一瞬強く光り視界が一瞬だけ途切れ、次に視界に映ったのは真っ赤な鎧の集団だった。

 俺はすぐに数を数えた。

 …………ちょうど五十体か。戦力としては申し分ない。

 個々の戦闘力を調べたいのだが……木剣とかないからなぁ……

 よし、困ったときのアヴァロンだ。

 俺は荷車を引いていたアヴァロンに声をかける。


「おい、荷車を引いているアヴァロン。ちょっと森の木でアブライが持ってるような長剣とブライが持ってるような斧を作って来い」


 俺は、いちいち呼ぶ時が面倒だな。ずっと一緒にいるやつは名前考えるか、と思いながら命令した。

 アヴァロンは何も言わずコクッと頷くと走って森に行った。

 よし、あとはこっちで戦うやつを決めるか。

 そう思った俺はアブライたちを一体一体じっくり見る。

 ……うん違いなんて分からん。挙手させるか。別に誰でも良いわけだし。


「アブライ、今からお前らの中で一体がブライ一体と戦ってもらう。やりたいやつは手を挙げろ」


 そういうやいなや全員がバッと手を挙げた。

 しかもそれだけじゃ飽き足らず自分を売り込むようにグイグイと迫ってくる。

 こいつら……戦闘狂か? どんだけ戦いたいんだよ。

 とりあえず俺は適当なやつを選ぶ。違いなどないから本当に適当だ。

 選んだやつはガッツポーズをとり、自分の相手は誰だと言わんばかりにキョロキョロし始めた。なんかいろいろ違うな。ブライと。

 ブライは召喚したばかりは俺に忠実な思考を持たないやつなのにこいつは最初から動きまくる。思考があるかどうかは知らないがかなり動きまくる。

 そして俺はブライからも一体選ぶ。

 なんとなく懐かしい感じがしたやつをだ。

 懐かしさが気になったので、最初に召喚したやつか? と聞く頷いた。なんかよくわからんがすごいな。


 そして選んで少ししたらアヴァロンが戻ってきた。

 両手に木で出来た長剣と斧を持って。

 

「よし、刃がついた剣と斧を置け。代わりにこの木の剣と斧でやれ。本気でやるのだが、止めはさすな。分かったらアヴァロンから武器を受け取れ」

 

 俺がそう言うとブライとアブライはアヴァロンA(適当な名前)から木の武器を受け取った。

 そして互いに少し距離をとる。

 ま、いいかな。と思ったところで俺は試合開始の声をかける。


「始め!」


 俺の声と同時にアブライが飛び出す。さっきからうずうずしていたもんな。

 かなりの速さで飛び出したので目を見張った。まあレベルが上がったおかげかかなり動体視力がよくなってきてるおかげなんだけどね。

 アブライは素早く腕を振り上げると力一杯剣を振り下ろした。

 ブライはというとすでに対応していて下から斧を振り上げていた。

 木の武器は激しくぶつかり、両方弾かれた。

 おいおい、こんなんじゃすぐに壊れるぞ……

 と思ったのもつかの間、弾かれてやや体勢が整っていないブライにアブライはすぐに飛びかかった。

 ブライは反応してやや不安定な体勢だが斧を振る。

 が、アブライに剣で叩き落される。幸い斧は手から離れていない。

 アブライは剣を横薙ぎにする。

 ブライは両手で斧の長い柄を持ち、両手の間で剣を受け止め……ることが出来なく、力負けして倒される。

 そこに素早くアブライは詰め寄り剣を振りかぶり振り下ろす。

 あ、と思ったがそれは杞憂のようでアブライはブライに当たる寸前にピタッと剣を止めた。

 

「止め!」


 完全に勝負が決まったので俺は止めの声を出す。

 ほほぅ、アブライは攻撃的だな。まさに攻撃こそが最大の防御とでもいうようだ。

 両者が弾かれたときアブライも体勢が崩れていたが無理矢理体をブライに近づけた。

 戦闘面ではアブライの方がいいかもしれん。言ってしまえばアブライはブライの亜種のような感じか。名前もそんな感じだし。

 

「そんじゃビルス帝国に向かって行きますか」


 俺はそう言うとアヴァロンAに荷車を引かせた










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