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第二十九話『神様と再開』

 俺は激痛が走った瞬間振り向いた。

 案の定豚が俺に向かって掌を出してた所だった。

 俺は痛みがあるわき腹を見る。

 肉が抉れ、内臓が顔を覗かせていた。

 後ろでチビ共がギャーギャー騒いでいる。

 が、そんなの気にしている余裕はない。

 俺は痛みに耐えて声を出した。


「アヴァロン! 殺れ!!」


 そう言った瞬間アヴァロンは豚王を細切れにしていた。

 アヴァロンは肩で息をしているかのように肩が上下している。

 俺は豚が死んだしたことを確認して崩れ落ち、仰向けになる。

 くそ、豚のくせに最後の切り札的なのを持っていやがったか。

 さすがに詠唱なしの魔法にはアヴァロンも反応しきれなかった。距離も近かったしな。

 ああ、くそ! いてぇ。

 傷跡は火で焼けてそれが止血になっているため出血多量で死ぬ事はなさそうだ。

 この傷跡からしておそらく【フレイムスピア】だろう。

 これをどうやって無詠唱で唱えたのか。気になるところだったが痛みがその思考の邪魔をする。

 チビ共が俺に近寄ってきてワーワーとわめいている。

 あー、うるさい。今はそれどころじゃないんだよ。

 と、ここで気づく。

 チビ共の声がどんどん遠ざかって……

 そう思うと同時に俺の意識は深い暗闇へと落ちた。

 














 意識が戻った。

 俺は周りを見渡して思った。

 ここはどこだ。

 俺は今上も下も右も左も前も後ろも真っ白な空間にいる。

 俺はこの場所に心当たりがあることに気づいた。

 だが、そこで俺はまるで宇宙空間にでもいるかのように浮遊していた。

 移動しようにも掴むどころなど皆無なため身動きがとれない。

 前と違う感じに顔をしかめつつ出てくるであろう人物を待つ。



…………………………



………………



……



「おい!」


 俺はいつまで経っても現れないやつに向かって怒鳴った。

 すると目の前がポワンと光り、やつは現れた。


「お~、すまぬのう。ちょっと仕事が……」

「それはどうでもいい。で、なんで俺をこんなところに呼んだんだ? 神」


 そう、ここは俺が死んだときにきた空間とほとんど同じだった。

 唯一の違いは床の有無だけだ。

 俺が神にそう問うと、せっかちなやつじゃのう、と言って切り出した。


「久しぶりの再開じゃぞい? もっと喜ばんか?」

「うるさい。知らん。早く帰せ」


 いちいち無駄なことを喋りだす神にイライラしてきて手短に返す。

 すると、やれやれ、とため息をついてようやく本題に移った。


「さて、今回は簡単に言うとじゃな『お疲れ会』みたいなものじゃ」

「早く帰せ」


 俺は即答した。

 てっきり御褒美に新しい能力をくれるのかと思ったのだが。なにもないなら用はない。

 だが、神はニヤニヤしてこちらを見ている。


「なにニヤニヤしている。不快だ」

「いやのぉ、わしが本当にただのお疲れ会のために呼ぶと思うか?」

「思わないから早く用件を言えとさっきから言っている」


 だんだんイライラが増してしてきたぞ。

 俺のイライラを感じたのか神はようやく本当の本題に入った。


「いや、お疲れ会も一応本題なのじゃが。まあ、メインは御褒美じゃ」

 

 俺は御褒美という単語に食いついた。

 神も、食いついてきた、とガッツポーズをしている。

 俺はそれを無視して問う。


「どんなのをくれるんだ?」

「じゃから、そう焦るな。わしはここで暇なのじゃ。いいやつやるから少しくらい話し相手になってくれ」


 俺は、仕事はどうした……と呟いたが、神は気にせず小声で、これから起きることも話さなきゃならんしのぅ、と呟いていた。

 俺は仕方なく喧嘩腰の物言いを止めて話す。


「で、とりあえず世間話でもするのか?」


 やっぱ無理。話すとどうしても喧嘩腰になってしまう。

 だが、神はそんなの気にするそぶりも見せず返答する。


「そうじゃな、おぬしは最近なかなかの活躍をしておるぞい。まさか下位とはいえドラゴンを倒すとは思わなかったぞ」


 そう言って神は嬉しそうにフォッフォッフォと笑う。

 下位のドラゴンなら結構倒せそうなものじゃないのか? と疑問に思ったら神は俺の心を読んでいたかのように答えた。


「普通下位と中位のドラゴンは火山や氷山などの過酷な環境の中住んでおるのじゃ。じゃから、ただ倒すなら意外にいけるのじゃが倒す前にその過酷な環境になれないといかんからのぅ」


 まさにあれは奇跡じゃった! と大声で言い、また笑う神。

 そうか、普通はそこから出てくることはないのか。

 ならなんであのドラゴンはあそこに来たんだ?

 う~む……誰かの引き金としか思えない。

 と、思案していると神が、そろそろ話すか、と切り出した。


「それじゃあ褒美じゃ。受け取れ」


 そう言って神は何もない空間から袋を取り出した。

 俺はそれを受け取ると中身を見る。

 が、中が真っ暗で何も見えない。まさかこれは……


「そうじゃ、おぬしが思っている通りそれは時空間魔法付のアイテム袋じゃ」


 そう言われたので俺は徐に袋の中に手を突っ込む。

 すると頭の中に『白金貨五十枚』と表示された。

 とりあえず『白金貨五枚取り出す』と念じると突っ込んだ手の中になにかが滑りこんできた。

 俺は手を抜いて手の中を見る。

 手の中には白金貨貨が五枚握られていた。


「フォッフォッフォ、驚いたかの? もう一つはいっとるから後で見るといい。あとついでに怪我も治しておいたぞい。まあ、神様の気まぐれじゃ」


 神が親指をグッと立ててアピールする。

 俺は当然無視する。


「これから大変になる、だと?」


 俺は耳聡く神の言葉を聞いて繰り返した。

 神は何事もなかったかのように元の姿勢に戻り、今から話すわい、と言って一呼吸置いてから話し始めた。


「今のおぬしはあまりの痛みに意識を手放した状態じゃ。まだそんなに時間は経っておらんからあの子供たちに運ばれているところじゃ」


 は? アヴァロンが運んでるんじゃないのか?

 チビ共に運ばせるとかあいつら大丈夫か?

 俺が怪訝な顔をすると神は話題を変えた。


「そ、それでの、おぬしは小さいとは言え一国を落としたわけじゃ」

「だからなに? 政治とかが大変って言うならお門違いだぞ。俺はそんなの知ったことじゃない。搾り取るだけ搾り取ってあとは放置だ」


 我ながらクズ発言だな。

 まあ、そんくらいしないと生きていけないから。

 俺がそう言うと神は提案をしてきた。


「それは残念じゃのぅ。でも、それだと一回の収益で終わるぞい?」

「……何が言いたいんだ?」


 本当は分かっている。

 だが、それをすることで神になんのメリットがあるのかが知りたかった。

 神は答える。


「じゃから、おぬしは別に政治などしなくてよい。代わりに政治が出来るやつを奴隷にしてやらせればいいんじゃ」

「……それは分かった。それを進めるお前の理由はなんだ?」


 普通に答えられたので単刀直入に聞く。

 神は顔に喜色を浮かべながら答える。


「それはどうせおぬしが国を守るからじゃ。せっかく守ったのにすぐに滅ぼす、しかも自分の手でっていうのは後味が悪いじゃろう?」

「俺が守るとはどういうことだ?」

「それはすぐに分かる。お、もうおぬしは目が覚めるようじゃ。それじゃあ、またのぅ!」

「ちょ! またこのパター……」


 俺は全てを言う前に白い光に包まれて意識が飛んだ。








 

 感想で矛盾というかおかしな点を指摘してくださいました。

 まだまだ俺の考えが浅かったと受け止めております。

 次からは極力気をつけます。

 でも、やっぱそんなに気を張ってたら進むものも進まなくなるので今までどおり気楽に書いて行きます。ちゃんと気をつけますが。

 


 感想・アドバイスお待ちしておりますm(_ _)m

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