第二十四話『精霊との契約』
お、珍しいな。銀色の精霊って他にいないよな?
精霊たちを見てみると、前に出てきたような煌びやかな銀尽くめの精霊はいない。
その銀色の精霊は俺の方に飛んでくる。その後ろにそれぞれの色の代表らしき者もついてくる。銀色はリーダーなのか。
俺との距離が二mくらいになったところで止まり、ペコリと可愛いお辞儀をする。もちろん精霊たち全員でだ。
こいつらが契約するやつらなんだな。よし。
そう思い俺は、こいつらと契約する、と心の中で言った。
すると、ブライ召喚の時と同じように頭の中に言葉が浮かんできた。
俺はそれを読み上げる。
「え~っと、よし。
【精霊の湖に住む汝らは『俺』を主人として認めるか?】」
本当は『俺』じゃなくて『わし』だったんだけど、嫌だったから勝手に変えた。
少し不安があったが、精霊たちが一斉に頷く……と、急に光り輝く。
数百もの数が発光したのだからそれはもうめっちゃ強い光だった。
その光はいつの間にか夕暮れになっていたオレンジ色の空を白く染めた。
俺は驚いて目を防ぐことが出来なかった。でも、こうして真っ白な空って言う面白いものが見えたからいいか。……ってあれ? なんで俺の目は光で潰されていないんだ?
と、急に脳内で無機質な声が聞こえた。
【あなたの僕に精霊が加わりました(種類多数)】
ちゃんと、かっこかっこ閉じ、まで言葉にして。
まあ、そういうことなら多少は納得出来るな。
僕になったのなら主人である俺に攻撃となることは出来ないからな。
てか、なんだこれ?
俺が光について納得……はしていないが、言い聞かせた時脳に膨大な量の情報が入ってきた。
く、なんなんだこれは?
俺はどんどん入ってくる情報を見てみる。
…………なるほど、これは精霊の強さみたいなものか。
使える魔法や、魔力の量などがあった。
これは別にどうでもいいな。いや、ついて来るやつらだけでも見とくか。
俺はそう思い、確認した。
…………ほぅ、やっぱり精霊ってのは魔法に特化した種族なようだな。見事に魔力と魔法の強さが抜き出てる。
さて、やることやったしもう行くか。
俺がドラゴンを殺した方向からはブライたちがドラゴンと思わしき物を持ち上げていた。おいおい、潰れないのか? てか解体しろって言っただろ。
とにかくもうここには用がなくなったので俺はここを出ることにした。ここは桃源郷のように美しく、まだ見ていたいと思ったがチビ共のことを思い出した。あいつら大丈夫か? まあアヴァロンが何も言わないから大丈夫だろう。
「おい、お前ら行くぞ」
俺は連れて行く精霊とアヴァロンたちに向けて言う。
精霊は赤、青、黄、緑、茶、白、黒、銀と八色で八人だ。カラフルだな。
そいつらはコクっと頷くと俺の頭や肩に乗って来た。
両肩に一人ずつ、頭に一人。乗れなかった五人が悔しそうに乗っているこいつらを睨んでいる。
ちなみに頭には赤、右肩に茶、左肩に銀だ。
そうだ、こいつらに名前つけてやらんとな。ま、歩きながら考えるか。
と、そこで女の存在を忘れてた。
俺はもう一度残る精霊たちに向き直る。精霊たちは悲しそうな目でこちらをみている。
く、そんな目で俺を見るな。しょうがないんだ。
俺は意を決して口を開く。
「それじゃ、俺はもう行くから。女に……あー、スーラにもう行くから、と伝えておけ」
精霊たちはコクコクと何回も嬉しそうに頷いた。命令されることが嬉しいのだろうか?
ま、喜んでるならいいことか。
俺はまた出口へと向き直る。そして、精霊たちを見ずに言う。
「また来るかもしれないからな。その時までこの湖を綺麗に保っておけよ」
俺はそう言うと歩きだす。
ここの湖は本当に綺麗だ。桃源郷と思えるような場所だ。
実際また来たいと思ったし、契約だけしてずっと放置は可哀想だからな。たまには会いに来てやるか。
俺はそう思い、名前を考えながら歩き始めた。そう、名前だ。
う~ん、俺にネーミングセンスがないのは知ってるからな。ゲームでの名前だって『ポンデライオン』って名前だったし。いろんなところでひそひそと言われたものだ。
だから今回は単純にしようと思う。変な風に考えるから壊滅的な名前が出来上がるんだ。
よし、決めた。色を英語でいうことにしよう。
俺は精霊たちを呼ぶ。すると精霊たちは俺の前に来る。歩きながらなので後ろ向きに飛びながら一定の距離を保っている。
よし、と俺は口を開く。
「お前らに名前を授ける。お前から順番にレッド、ブルー、イエロー、ブラウン、グリーン、ブラック、ホワイト、シルバーだ」
茶色ってブラウンで合ってるっけ? と思いながら俺が一気にそう言うと精霊たちは喜んだ。
名前で分かる通りレッドは赤の精霊、ブルーは青の精霊……と言った感じだ。
喜んでいるところもすごく可愛くて和む。
あれ? そういえば俺前世では人間を見て可愛いとか思ったこともなかったな。ソッチ系は考えたことあるがな。
だが、今俺はこの精霊たちを見て可愛いと思った。どういう心境の変化だ? いや、精霊だからそう思ったのか。
ま、昔のことはどうでもいいか。思いだしても吐き気がするだけだし。
考え事から戻りいつの間にか俯いていた顔を上げるとシルバーが俯いて肩を細かく震わせていた。
俺はどうした? と聞こうとしたが飲み込んだ。
…………こいつからあいつと同じ感じがする。
俺は出そうとしていた手を引っ込め俯いている銀色の精霊を睨む。
次の瞬間、
「ふふふ、あなた驚いた? 私よ。スーラよ」
俺はスーラと名乗った精霊を右手で、ぐわし、と握る。
スーラは、え? と戸惑っている。よし今ならいけるな。俺は後ろを向く。
俺は野球のピッチャーのごとく振りかぶる。上でごちゃごちゃ聞こえるが知らない。
そして俺の渾身の一球(一人?)を精霊の湖の方に向かって投げた。
かなりの速さで湖に戻っていく。飛びながら、えええぇぇぇぇぇ!!!! と叫んでいたが俺は聞こえない振りをしてまた前を向く。
「よし、行くぞ」
俺はそう言うとそさくさと歩きだす。さもなにも起こってないと言うように。
精霊たちはポカーンとしていたがすぐに慌てて俺の元に戻ってきた。ちなみにアヴァロンは常に影から俺を守ってくれている。ナイス!
俺が前を向いて歩いていると頭や肩になにかが乗った。まあ、精霊だろう、と思い見てみる。
「あの強くギュッ! とした感じたまらないの!」
右肩を見ると足を投げ出すように座ったスーラが頬を紅葉させて熱く語っていた。え? 女って言わないのか? 精霊の姿だしこれから女って言うと面倒なことが起きそうだからな。
俺は、はぁ、とため息をつき諦めた表情でスーラに問う。
「お前どうしたんだその格好?」
「体がゾクゾクってね……ってこれ? あなたはあの姿の私は連れて行ってくれなかったでしょ? そこであなたが精霊には甘かったのを思いだしたの。だからこの格好で契約すれば行けるかなって……」
最後は尻つぼみに声が小さくなり、潤んだ目で俺を見てくる。
このっ…………はぁ、もうしょうがないな。
俺はもう一度息を吐き、諦めた。
「ああ、そうだな。この姿ならいいぞ」
「……! 本当?! やったー!」
スーラは勢い良く立ち上がると俺の肩の上で跳びはねる。
俺はスーラを見て思う。
相変わらずこいつから嫌な感じはするな。
だが、この嫌な感じは今までと違って…………良い嫌な感じだ。
自分でわけ分からんこと言って小さく笑う。
俺は嫌な感じはするが、心の底からの嫌悪ではないことに苦笑しつつも宿へと戻って行く。
よし、今日は早く書けたので投稿しました~!
なかなか日刊ランキング5位以内はとれませんが、9位とかとれてて嬉しいです(*^-^)
これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
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