第二十三話『ジャンケンって全世界共通なのかな?』
ちょっと遅れました(;^_^A アセアセ・・・
「ねぇ、あなたは一人で旅してるの?」
「…………」
「ねぇ、もしかしてここに一番近い『ノンスール王国』を拠点に活動してる冒険者なの? でも、そうだとしたらこの森でも見かけるはずよね?」
「…………」
「ねぇ、報酬を渡すと言いましたけど、さすがに私たちの危機を救ってくれた恩人に倒したドラゴン、しかも恩人自ら倒したドラゴンだけなんて釣り合いません。なにか欲しい物などないのですか?」
(あ~、鬱陶しい)
今、俺らは精霊の湖への帰路についている。
ドラゴンを狩って、しばらく俺がアヴァロンと歩いていると後ろからタッタッタッとなにかが走ってくる音が聞こえた。
俺は当然振り返らず、何もないかのように前を向いたまま歩き続ける。
走ってきたものは俺の横に来ると、走るのを止めて俺と歩調を合わせて歩き始めた。
そして、それからずっと俺に話し続けてるのだ。
おいおい、俺ずっと無視してるのにまだ話しかけるか。どんだけ精神タフなんだよ……
俺はとにかくガン無視を決め込む。
と、そこで俺に有益な情報が飛び込んできた。
「報酬は何がいいんですか? お金ですか? あなたに忠実に従う精霊ですか? それとも、わ・た……」
「おい、今『俺に忠実に従う精霊』って言ったか?」
「・し? ……ってどういうことですか? それは精霊王の私よりただの精霊がいいってことですか?」
チラッと視線を女に向けると頬をプクッと膨らませ、潤んだ瞳でこちらを見ていた。いやいや、そこは上目遣いだろ……ってこの前も言ったか。
てか、並んで歩くと本当にでかいな。多分一八五cmくらいはあるんじゃなかろうか? 俺で百七十で見上げてるのだから。
それにほんの少し視線を下げるだけで、足を踏み出すと共に揺れる双丘が……
なんだかんだ言っても俺だって性欲盛りの高校生だ。人間が嫌いでもソッイ形は気になった。
つい視線がソッチにいってしまったので慌てて引き剥がした。そして視線を上げるとニヤニヤした女の顔が目に入った。
「あれ? あなた今私の胸見てました? なんだかんだ言っても男の子なんですね。ほら、存分に見てもいいのですよ」
そう言って女は自分の胸を両手で持ち上げた。
ぐっ、やっぱりあれはG以上はあるな。すごい破壊力だ。
だが、ここで屈するとなんか嫌だ。俺は毒を吐く。
「なにを勘違いしているんだお前は? 俺はただ、こんな馬鹿みたいにでかい乳ぶら下げて邪魔じゃないのか不思議に思ってただけだ。まあ、おおよそその乳に栄養全部持ってかれて脳には栄養が来ないからアホで気づいてないだけだと思うがな」
「はぅう!」
俺が前に視線を移してそう毒づくと、女は立ち止まり身をよじって変な声を出す。
なんなんだよ、こいつは……
アホらしく思えた俺はやや早足になり精霊の湖へと向かう。
我に戻った女はまた小走りで俺に追いつき俺に話しかける。
今回は精霊についてのことだった。ちょうどいいと思い、話を聞くことにする。
「それで、さっきの話の続きですが……」
「俺が精霊を従えることって本当に出来るのか?」
「はい、出来ますよ。奴隷とは少し違いますが、契約をすることで絶対服従になります。まあ、酷いことをしたりさせたりは出来ませんが」
おお! それはいいな。
おそらく魔法を使えるし、最悪使えなくても偵察とかで使えそうだ。それに精霊を従えるとかちょっとした夢だったし。
でも、何よりいいのが精霊たちからは俺が今まで受けてきた嫌な感じがなかったからだ。多分今までのそれは周りの人間が俺に向けた感情だろう。胸糞悪いものでしかなかった。
だが、精霊たちからは感じられない。むしろ反対だ。俺がかすかに覚えている子供の頃に受けていた感じと同じだ。こう、みんなが対等で手をとり合おう、みたいな。ああ! 上手く言葉に出来ねぇ!
……ってなに一人で思考の海に沈んでるんだよ、俺。
俺は我に戻って女に問う。
「お前報酬があれだけだと足りないとか言ってたな」
「はい! ですから、私を!!!!!」
「いや、精霊と契約させてくれ。言い方を間違えたな。させろ」
俺は、自分を指差しながらグイグイ近寄ってくる女を手で制し、そう言った。
女は一瞬キョトンとした顔になったが、ふふ、と笑みを浮かべると声高らかに答えた。
「わかりました! 精霊の湖に帰ったら契約させましょう!」
「あ、ちょい待ち」
俺は興奮している女に大事な事を聞く。
すっかり忘れてたな。
「精霊って何を食べるんだ?」
精霊の金のかかり具合だ。
寝床は最悪アイテムポーチの中で寝させばいいとして、何を食べるのか気になった。
女は、なにをいってるのでしょう? と言った顔で俺を見るが、ちゃんと答えた。
「人間となんら変わりません。まあ、体が小さいので人間より格段に安上がりですけどね」
「そうか、なら数人契約とってもいいな」
俺はここで、魔力です、なんて言われたら諦めるつもりだった。だって俺魔力ないし。
異世界物小説では、精霊は契約主の魔力を食べて生きる、とかざらだからな(自論)。
でも、普通の食事ときた。これならと俺が契約すると言うと女はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべた。嫌な予感がする……
それからは特に会話もなく、精霊の湖へと歩を進めた。やたらと上機嫌な女が気になったが。
小一時間ほど歩いて精霊の湖へと着いた。
女は着くなり早口に伝えることを言ってどこかへ行ってしまった。
伝えることの内容は、
「精霊は自分が認めた相手にしか従いません。ですから、寄ってくる精霊に契約をしてください。契約の仕方は合言葉を言えば出来ます。合言葉は契約しようとすれば自然と出てきますので安心して下さい。では!」
と、物凄い早口で言って消えた。はっきり言ってかなり怪しい。なにか企んでいそうだ。
と、俺は疑いながら精霊の湖の前にくる。
相変わらず湖はキラキラと光のエフェクトが出ていそうなほど輝かしかった。
その上空にはこれまたキラキラのエフェクトを出しながら(もう出ているように見える)飛びまわっている。
やっぱりここに来ると今までの自分の行いを悔いたくなる。なぜだ、俺に悔いることなどないはずだ。俺は全部自分がやったこと悪いなどと思っていない。当然のことしかやってきていない。
だが、心が自然に悔いる。わけ分からん。
ボーっと湖の前に立っていると、俺の存在に気づいた精霊たちがチラホラと現れ始めた。
そして、何? とでも言うようにどんどん精霊がこちらを向く。おぉ……さすがにこれだけの数に見られると迫力があるな。
すると、精霊たちは何を思ったのか俺の元に飛んできた。
数百の精霊が全て俺に向かって飛んでくる。
「うわ! おい、ちょっと待て! なんなんだお前ら」
俺は目と鼻の先まで来た精霊の大群を止めた。
精霊は素直にもちゃんとピタッと止まってくれた。
そして、俺の質問に答えるかのようにそれぞれジェスチャーをし始めた。
「なんだ? お前ら喋れないのか?」
精霊たちは動きを止めコクと頷く。あ、可愛い。
そうか、喋れないタイプの精霊か。でも、このタイプの精霊は念話とか使えそうなんだがな。
精霊たちはまたジェスチャーを開始し始めた。
しょうがないので俺はジェスチャーから何を言いたいのか読み取る。
それぞれ違う動きをしているのでこんがらがってくる。
え~、なになに……
「私たちは、あなたを? ん? 契約者? OK? 認める、ってことか?」
俺はそこまで読み取ると精霊たちは満足そうに頷いた。
うん、全員が、だ。
いや、待てよ。精霊数百も契約しろってか? さすがに多くないか? これだけいると食費も馬鹿に出来ないし、寝床はどうするんだよ。
正直数人いればいいな、なんて感じで考えていたのに……
俺はさすがに無理だ、と断ろうと口を開く。
「いや、さすがに俺もこの数は……」
無理、と言いかけたところで止まった。
目の前の精霊たちはまるで捨てられた子犬のような潤んだ瞳で俺を見ている。
……………………うん。
「分かった。全員俺と契約しようか」
そう言った瞬間に精霊たちは飛びはね(すでに飛んでいるが)近くの精霊とハイタッチをしたりして喜びを表現していた。
いや、しょうがないじゃん。精霊に頼まれたんだよ? あんな可愛くて純粋な生物(生物?)を見捨てるなんて出来ないわ。
でも、正直こんな数は連れていけない。
「しかし、条件がある。連れて行くのはこの中で一色につき一人までだ」
そう言うと精霊の中でざわめきが広がる。
すると、同じ色が集まって円を作り始めた。なにをやっているんだ?
と、思い一番近くで輪を作っていた精霊たちを覗く。ここは緑色の精霊たちで、湖の上と陸地の間にいたので覗けた。
そこでは…………
精霊A → パー
精霊B → パー
精霊C → チョキ etc......
「お前らもジャンケン知ってるのかよ!」
いかん、思わずつっこんでしまった。
精霊たちは一瞬ビクッとして俺を見てくる。ビクッとして俺を見るときに首をかしげる姿はとても可愛らしかった。
しばらくすると精霊たちが集まった。
やっと決まったか。
そう思い、腰掛けていた切り株から立ち上がる。
精霊はそれぞれの色で勝った者が前に出て、負けた大勢の者は後ろにいる。
と、珍しい‘銀色’の精霊が一歩前に出てきた。
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