第二十二話『ドラゴンの最後』
なんとか書けた……
「アヴァロン!!!!!!!!!!!!!」
その叫びと共にブレスは吐き出された。
クソ! 間に合わなかったか。
俺は金貨袋に手をかけた。
間に合うか分からない。いや、ほとんど間に合わないだろう。
だが、俺は自分の早口に命をかけた。
そうブライ召喚だ。
「【ここにある金貨全てと引き換えに、我が…………】」
残念ながら俺の早口は遅かった。
俺の目の前で炎が蠢いている。
……ん? こっちに来ないぞ? あ!
俺は気づいた。これはアヴァロンの魔法、障壁だと。
炎が数秒障壁に阻まれると空気中に散っていった。
同時に障壁がある空間に亀裂が走りパリンと割れる。
俺は周りを見る。するとドラゴンの向こう側の木の陰にアヴァロンがいた。
アヴァロンは人差し指だけを立てて口へ持っていく。静かにしろとのことだ。だんだん人間らしくなっていくなあいつら……
俺は言われた通り黙ってそこに佇む。
そして、ドラゴンは自分のブレスが防がれた事にイラついたのか咆哮を上げようと息を吸う。その時だった。
ここはやや開けた場所である。
ここには木々がないが、当然この場所から出ればうっそうと木々が生い茂る森の中だ。
その森の中から凄まじい速さで一つなにかが飛んでいった。
そのなにかはドラゴンの硬い鱗に当たると鈍い音がしてその場に落ちる。
ドラゴンは何が起こったのか分からず、攻撃をしてきた方向へと首を向ける。
と、次は逆方向から同じなにかが飛んでドラゴンに命中する。
ドラゴンはなにが起こってるのか分かっていないが、攻撃を受けていることは分かったようだ。
森へと向けてブレスを吐こうとする。
だが、それを許すはずもない。
今度は全方位から、もちろん俺の後ろからも超高速でなにかがドラゴンに当たる。その一つ一つが強力な威力を持ち、ドラゴンの硬いであろう装甲に傷をつけて行く。
中には同じ場所に当たり、装甲がはげている部分も見られた。
ドラゴンはこの猛攻にブレスを吐くに吐けなかった。
こんなすごい武器いつの間に作ってたんだ?
俺はアヴァロンスゲーな、と思いながら地面に落ちているであろう‘武器’に目を向けた。
…………あれ? ない。
俺が目を向けたドラゴンの足元には石ころがいくつも転がっているだけで他には何も見当たらない。
え? まさかこの石ころが?
……なんて原始的な方法なんだ……
だが、レベルアップしてなのかすごい威力だ。
石ころで倒されるドラゴン…………なんか俺の思ってたのと違うけどいいか。
ドラゴンの装甲はだんだんはがされていき、肌らしきものが露になる。
ドラゴンはこの猛攻をおさまるまで待つのか、じっと体を縮こませて攻撃に耐えていた。
どれくらいの時間が経っただろうか。
ようやく石を使い終わったのか石が飛んでこなくなった。
ドラゴンを見ると、ようやく終わった、と防御体勢を崩して攻勢に出ようとしていた。
が、ドラゴンにもうその力は残っていなく、一歩を踏み出すと共にその場に崩れ落ちた。
地面を伝って俺らの元まで振動が伝わる。
ドラゴンの装甲のように硬い鱗は大分剥がれ落ち、その真紅の鱗の隙間から見える肌色の肌には血が滲んでいた。あ、ドラゴンって肌色なんだ。
そして、俺はアヴァロンを呼んで指示を出す。
「アヴァロン! ドラゴンの首を切り落とせ」
「ワカリマシタ」
(わかりました)
アヴァロンはドラゴンの首元に一瞬で移動するとトンッと真上に跳躍した。ちょうどドラゴンの首の真上になるように。
そこからアヴァロンは持っている槍のようなものを思いっきり投げた。
瞬間槍が閃光になり、ドラゴンの首を切断する。と、同時に地面も割れる。すごいな……
ざっくりいかれた首からは血が流れ出て割れた地面へと吸い込まれていく。
よし、さすがにこれだけすれば生きていないだろう。
俺はここでやっと一息つき、周りを見る。
おー、特に損傷はないな。
確かにブライたちが石を投げてただけだし、損傷があるとすればドラゴンが来た時に薙ぎ倒した木々が数本くらいかな。
そして俺は女に視線が向ける。
女は口を金魚のようにパクパクと動かし、これって下位竜だけどドラゴンよね? 石だけで討ちとるって……と呟いていた。
ま、こいつはどうにかなるだろ。
俺はブライたちを呼び、こいつを解体して運び出せ、と命令して先に湖へと歩を進めた。
ドラゴンか…………ドラゴンか!
俺は先ほどまで感じていなかった高揚感を感じていた。
実際さっきまでは必死だったのだ。死と生の狭間にいるようなものだった。
そのせいであまり感じていなかった高揚感が今あがってきた。
ファンタジーの象徴! 全身高く売れる! 故に最強のモンスターの一種!
それを倒したのだ!
俺は自然と笑みがこぼれた。前世でもほとんどしなかった自然な笑みが今ここに起こっているのだ。石で倒した事は忘れた。
俺はドラゴンの素材から生まれるその膨大な金の使い道を考えていた。
う~ん、金額によってはこのまま国を落としに行ってもいいな。
いや、でも相手は国だ。あまり中途半端な戦力で行きたくないな。今回しかり、盗賊しかり戦力の把握ミスで危機に陥ったからな。
てか今思い起こせばアヴァロンすごいな。ドラゴンのブレスを障壁で防いだんだぞ。
「イエ、ソレハテカゲンヲサレテイタカラデス」
(いえ、それは手加減をされていたからです)
「うぉ! 俺の心を読むな!」
びっくりしたな。でも、そうだったのか。ちなみにアヴァロンは俺の護衛のためついてきている。
さて、帰り道暇だしいろいろ聞いてみるか。
「そんであのドラゴンってどんくらいの強さだったんだ? さすがに古代竜みたいに最強種じゃないだろ?」
最強種が石ころで殺られるなんておかしすぎる。いくらチートだからってない。
アヴァロンはコクっと頷いて首肯する。
「アレハオソラク『カイリュウ』ダトオモワレマス」
(あれはおそらく『下位竜』だと思われます)
「『下位竜』か」
いや、それでもあれは脆くないか?
と俺が疑問に思っているとアヴァロンは答えを出してくれた。本当に使えるなアヴァロンは。
「ジッサイノハナシ、『カイリュウ』と『チュウイリュウ』ハ、ソコソコのボウケンシャナラタオセマス。シカシ、『ジョウイリュウ』トナルトカクガチガイマス。『チョウ』ガツクホドノイチリュウボウケンシャジャナイトタオスコトハカナワナイデショウ」
(実際の話、『下位竜』と『中位竜』は、そこそこの冒険者なら倒せます。しかし、『上位竜』となると格が違います。『超』がつくほどの一流冒険者じゃないと倒すことは敵わないでしょう)
なるほど、『下位竜』と『中位竜』は正直そこまで強くないと。
だけど『上位竜』ともなると別格だと。
『中位竜』と『上位竜』にはめっさ高い壁があるってことか。
俺がふんふんと頷いているとアヴァロンはつけたした。
「シカシ、『カイリュウ』デサエ、ランクBボウケンシャヲバランスヨク‘ジュウメイ’ハホシイトコロデス」
(しかし、『下位竜』でさえ、ランクBの冒険者をバランスよく‘十名’は欲しい所です)
「ほぅ」
俺は思わず声を出した。
下位は、ということはさっきのやつはランクB十人分よりも強いってことか。
…………なんかパワーバランスおかしい気がするぞ。アヴァロンとブライ、お前らはランクで表すとどれくらいになるんだ? ……ま、いっか。俺の駒だし強ければ強いほどいいしな。
アヴァロンは続ける。
「ソレニドラゴンノソザイハ『カイ』『ジョウイ』カンケイナク、タカクウレマス。『ジョウイ』ノほがタカイノハアタリマエデスガ」
(それにドラゴンの素材は『下位』『上位』あまり関係なく高く売れます。『上位』のほうが高いのは当たり前ですが)
「OKだ。それが聞けて十分だ。なら絶対あのドラゴンは奪われるなよ。ブライは半分護衛で半分が荷物持ちにしろ」
俺は改めて指示を出すと精霊の湖へと帰るために歩を進めた。
今日は少し遅めの更新でした。
ちょっと新作書いていまして……いや~、思いたったら書かないとやる気がなくなってしまうのでww
これのあとに投稿しようと思います。(投稿しました。タイトルは【異世界で動物ハーレム(仮題)】です。よろしければ見てください)
まあ、あくまでこっちを主体にしようと思うのであっちは不定期更新ですね(こちらも不定期更新になりそうで怖いですが……)




