第十八話『ちょっと確認するか』
今回は俗に言う説明回ですかね?
さて、下で朝食を食べた俺たちは自分の部屋に戻っていった。
が、なぜか数分もしないうちに全員が俺の部屋に集まっていた。
いくらチビ共が小さいとはいえ、俺含め人が八人もいると狭い。大人二人で少し窮屈だと思うほどの狭さなのになぜ来るんだ?
それに、落ち着いていろいろ確認しにゃならんこともあるのに。
俺はこいつらを追い出すことにした。
「お前らいい加減にしろ! 二人部屋になんで八人もいるんだ! 少しは考えろ!」
つい大声で怒鳴ってしまった。柄にもない。
チビ共はピタッと動きを止めてこちらを見ている。
俺が全員を睨みつけるとチビ共はトボトボと部屋を出て行こうとした。
チッ、その姿を見てるとイライラするな。クソ!
「あー! お前ら少し外で遊んでこい。昨日主人からお小遣いもらったんだろ?」
俺が、お小遣いもらったんだろ? と言うとチビ共があからさまに動揺した。
ああ、普通奴隷は金銭を持たせてくれないのか。それに奴隷が稼いだ金は全て主人の物だしな。それがばれたからお仕置きされると思ったのだろう。
俺は、はぁ、と息を吐いて喋りだす。
「別に少しくらいならお前らが使ってもいいぞ。それより絶対迷子とかになるなよ。あと、変なやつに巻き込まれるな。最後に金を落としたりスられたりするな。この三つは俺に迷惑がかかる。これ以外にも俺に迷惑がかかるようなことはするな。分かったなら行け」
「「「うん!」」」
チビ共はそう言うやいなや部屋を飛び出して行った。
俺はどたどたと廊下から来る足音が小さくなるのを聞いて、部屋にいるブライを呼んだ。
「確かまだチビ共の護衛は続いてるよな?」
ブライはがちゃっと頷く。
よし、ならいいな。
「一応もう一度言うが、絶対にチビ共を守れ。これ以上損害が増えたら……」
とそこで言葉が止まった。
……ブライ一体で一万キュールだ。それに大してチビ共はいくらくらいだ? 有能なチビでも五千キュールすらいかないんじゃないか?
奴隷といってもそこまで高いと売れないし。もしかしてチビ共よりもブライの方が価値が高いんじゃないか?
とそこであの言葉が脳裏をよぎった。
『なら……娘たちを……村の子供、を……お、ねがいし、ます……』
…………うん、護衛はさせよう。
俺は汚い心の人間は嫌いだが、心が清らかな人間は嫌いじゃない。
それに俺が簡単に約束を破ったらあの汚い人間と同じになる気がする。
そう思い、俺はブライに護衛を任せた。
さて、ちょっと今日は考え事をするか。
まずギルドカードの確認だな。
俺はポケットに入れていたギルドカードを取り出した。
ちなみに今の俺の格好はこの世界に来た時からずっと一緒だ。神様は俺をこの世界の住民と同じ服装で送り出したから一応不自然さはない(はず)。
俺は取り出したギルドカードをベッドの上に置いた。
大きさは横七cm、縦十cm、厚さ五mmほどだった。
ギルドカードは薄い金属で出来ており、その中に文字が書いてある。
金属は特殊なものらしくて、特定のモンスターを倒したりすると勝手にランクが上がり、書き変わるそうだ。ランクとは強さのことで、最弱がFで、最強がSSSだそうだ。全部主人から聞いた。チッあの受付お粗末な説明しやがって。
俺はそこに書いてある文字を確認する。
-----------------------------------
・ランク…………F
・職業…………魔術師(ゴーレム使い)
-----------------------------------
下は少し空白がある。
こんなんで国境越えれるのかよ、と思ったが主人曰く、これに使われてる金属は特別でな、ギルドしか入手方法知らないんだぜ。それに昔俺もこれで国を渡り歩いたから大丈夫だ! と言っていたので多分大丈夫なのだろう。この主人が妄想の中の出来事をべらべら喋ってる可能性もあるが。
それにしてもお粗末な作りだな。俺はもっとこう、免許証みたいにしっかりしているやつだと思ったのにな。いや、逆に冒険者ってのは素性とか関係無しに実力のある者を大切にするとかそういう方針なのか? ギルドに有益ならある程度の待遇を与えるし、無益どころか損益を与えたものには死を与えるってことか。それなら少しは納得。
あ、そういえば俺この世界の文字とか言語分かるじゃん。
まあ、そこらへんは神様のおかげってことか? ろくな説明もせずに俺を放り出したやつだしな~。
とりあえずそういう異世界トリップ特有のことは置いておこう。
ギルドカードはいろいろ言いたいことがあるが、保留だ。
あ、ギルドカードについては聞いたけどギルド事態については聞いていないな。後で聞こう。
さて、次行こう。
次はレベルだ。
すっかり忘れてた。
最初のレベルアップの時になんとなく分かるとか言ってたけど正直全く分からなかった。まあ、それは俺に余裕がなかったからかもしれんがな。
ということで久しぶりにステータスを見てみる。
「『ステータス』」
俺がそう言うと目の前に半透明な画面が出てきた。そこには様々な項目と数値が書いてあった。
え~っと、なになに……
ステータスをまとめるとこんな感じだった。
--------------------------------
・レベル:二四
・魔力総量:零
・筋力:百二十
・スタミナ:百十一
・瞬発力:六十
・動体視力:百七
etc......
------------------------------------
まだまだたくさん項目があったが、ありすぎて見るのを止めた。
ここは一応ゲームじゃないのでHPとかはないようだ。頭をかち割ば死ぬし、心臓を貫かれれば死ぬ。
だからこの世界ではレベルアップで筋力などが上がるようだ。あまり感じられないが……
あと、なんでそういう世界なのにレベルというものが存在してるのか気になったが、そこは神様クオリティってことで納得した。いや、納得してはいけないのだろうが、考えても無駄なので。
レベルアップは、多分生き物を殺せばそいつが持ってる身体能力の一部を奪えて、それが一定数溜まるとレベルアップと共に溜まった分が加算されるとかじゃないのか? 本当はどうか知らんがな。
さて次行こうか。
次は暦だ。
正直どうでもいい気がしてたが、一応聞いておく。急にギルドで「何日に来てください」とか呼び出されたら困るからな。
これも主人に聞いたところ、
『一年は四個に分かれていて、それぞれまた九十に分けられているぜ』
と、答えてくれた。
なんだこいつ? みたいな視線と共に。
まあ、ここは四月構成の九十日なんだな。
ちなみに四季もあるかと思い聞いてみたが、
『しき? なんだそりゃ』
と返って来た。ま、それは体感で感じればいいだろう。ちなみに時間も日本と同じだった。
さて、次行こうか。
次は魔法だ!
正直職業に魔術師が書かれていたときはテンションが上がった。
もしかしてこれって魔力があるってことじゃね?! みたいにはしゃいでいた。
ところが主人に聞くと、
『やっぱお前からは魔力感じられねぇぞ。なんでギルドはこいつを魔術師にしたんだ?』
と言われた。
神様疑ってスマン。許せ。
まあ、魔法の知識だけでも持っていたいから主人に聞いてみた。
『あ? 魔法について教えろってか? そりゃ無理な話だ! 俺だってまだ第四位までの魔法しか使えねぇからな』
とのことだった。
でも、とにかく情報が欲しかった俺はその、第何位ってのを聞いてみた。
『魔法ってのはな、強さによってランク付けされてんだよ。最弱が十位、最強が一位だ。まあ一位なんてこの世界に数えるほどしかいないがな』
へぇ~、と頷くと共になにか引っかかった。
あれ? それだと四位ってまあまあ高いじゃん。てか絶対上のほうだ!
おい! まあまあ魔法使えるじゃんか! てか冒険者って本当なのかよ!
と詰め寄ると、
『金払うなら教えてやらんこともない。あと本当にってどういうことだ?!』
と言って来たので渋々下がった。
魔法に興味はすごいあるが、それで戦力低下は否めない。そもそも俺魔力ないから使えないし。良く考えたらアヴァロンが教えてくれるし。
俺はそこからまた少し魔法について話をしてから部屋に戻ったのだ。
内容をまとめると、
・魔法の属性は四つ。火、水、風、土だ。だが、稀に時空や空間属性の魔法使いも出るそうだ。
・魔力はその人の才能らしい。よく小説である、魔力は使った分だけ増える、とかはないそうだ。仮に子供のときに増えるとしても、もう俺は一七歳だ。無理だな。そもそも一と零じゃ全く違うからな。
・最後に異空間につながってるアイテムポーチ的なものがないか聞いてみた。結論あるそうだ。なんでも、昔空間魔法使えた人がそのアイテムポーチを作りまくって大儲けしたらしい。それで世界中にアイテムポーチは点在している。よく森とかでも落ちているらしい。持っていた冒険者が死んだりしてね。俺がギルドでもらったのは普通のアイテムポーチだった。
ここまで聞いて俺は満足げに部屋のベッドに腰をかけ、チビ共が乱入してきて追い出して今にいたる。
少し魔法に興奮しすぎてこれだけしか聞けなかった。俺の馬鹿やろう。
とりあえずギルドのことを聞くために俺はもう一度主人の下へと行くことにした。




