第十四話『ようやく王国だ』
あれから俺らは王国への道を進み始めた。
盗賊のアジトは、金の宝庫だった。
今までどれだけの商人や旅人を襲ってきたのだろうか? 合計で金貨二十枚にもなるほどの金額で驚いた。
ちなみに数えたのはチビ共。
そういえばチビ共があれからやたらと俺を慕うようになってきた。
特にあの狼風の少年なんて「兄貴!」と呼ぶ始末。まあ、不快にならないのでその呼び方は許している。だが、俺に少しでも馴れ馴れしくしたら力を使うぞ、と脅しておいた。
あとは、俺に戦い方を教えてくれ、と言って来たことくらいか。
当然俺は戦い方なんて知らない。そう言ったらアヴァロンが「ワタシガオシエマショウカ?」と言ってきたので許しておいた。男は剣術、女は魔法と両方教えていたのを見た時は心底驚いた。
性能違いすぎるだろ……これなら一億キュールの鎧はどれだけなんだよ……
ちなみに女は三人、男は四人だ。全員同い年くらい。離れても二つしか違わないそうだ。
こんな感じで道中いろんなことをしながら王国へと向かっていた。
そして、数日後。
森を抜けると、また草原が広がっていた。だが、少し遠くに白い建物が見えた。いや、あれは建物じゃないな。壁だ。
つまり王国がようやく見える位置までこれたんだ。
「ようやくつきましたね兄貴!」
「そうだな。お前ら余計なことするなよ。王国に入れなくなったらお前らを売り飛ばすからな。戦闘もある程度出来るようになってきたしさぞ高く売れるだろうな」
「…………(ウル)」
髪の色は銀色で、ウルフカットというのか少しやんちゃな感じがする髪型をしていた。瞳は金色でその瞳は狼のようだった。
そんな狼風の少年『エイク』が涙目・上目遣いで俺を見てくる。身長も一三五cmくらいで小さいからな。普通に見ても上目遣いになる。
ふん、残念だったな。俺にそれは通用しない。
「そんな顔しても無駄だ。数日だけだが、俺と行動してきただろ」
「そうだな! 兄貴だもんな」
俺は力を使った。まあ、拳骨程度の痛みだ。
「イタタタタタ! 兄貴ごめん! ごめんなさい!」
エイクは荷車の中でゴロゴロと転がりながら俺に謝ってくる。
全く、こいつは……
「よし。いい加減学習しろ。馬鹿なのかお前は?」
俺が心の中で許す、と言うとエイクは大人しくなった。
さて、こいつは無視して王国へ行くか。
幸い今はまだ昼前だ。普通に行っても夕方までには着くだろう。
……って、あ! どうやって入るんだっけ? 考えてない……
俺が少し俯いて考えていると少女が話しかけてきた。
「あの~、王国に入るなら村から来たと言えばいいのではないですか?」
「おお、そうか。それで、冒険者になるために王国へ来たとか言えば……なんとかなるか?」
提案してきたこの少女はあの正義感強いあの子だ。子供思いの男の娘。
名前は確か……『プリル』だった気がする。
名前の通り、とても可愛らしい子だ。少々背伸びをして大人に見せようとしていることろがまた可愛い。ま、所詮は人だがな。
くりくりした目に、肩にかかるくらいの長さのブラウンの髪。
ほかのチビ共の名前はまだ覚えとらん。別に覚える必要ないけどな。
てかなんで異世界ってのは美男美女ばかりなんだ? チビ共ももうすでにその片鱗を見せてきているぞ。
さて、話を戻そう。
村から冒険者になるために王国に来ました~、ってそんなんで通れるのか? そこまで甘くないだろう。
あ、そういえば……
「王国って奴隷狩りをしているんだよな」
「うん、そうだよ。お兄ちゃんに助けられる前にもあの近くの村が襲われてたの」
「それなら村人って言って入ることなんて出来ないな。すぐさま捕まって奴隷行きかな」
一応盗賊の一件で増長するのは懲りたんでもっと圧倒的な戦力(金)を持ってから国は落とそうと思う。
それにしても、その戦力を集めるためにどこか国に入らないといけないのに……
とりあえず賄賂でどうにかしてみるか。無理だったら時間かかるけどほかの国に行ってみよう。
俺はそういうことにして王国までの道のりを静かに過ごしていた。
とうとう壁が目の前に見えるまできた。
壁はとても高く、目測で十mはあるんじゃなかろうか。
真っ白で神々しいと言えるほどの純白だった。
「止まれ! 王国内に入るならば身分証明になるものを出せ」
俺たちはまだ門まで十mは離れているところで門にいる兵士に止められた。そんなに怪しいか?
まあ、いいか。でもこの距離だと、銀貨をこっそり渡して通してもらおう作戦は使えないな。
さて、どうするか。
俺がこうして思案しているとプリルが喋り出した。
「私たちは旅をして国を回っているのですが、道中で盗賊に襲われてしまいました。幸い私たちは大人の死体に紛れて命からがら逃げてくることが出来ました」
おいおい、それはちょっと苦しくないか?
この荷車はどう説明するんだ? って荷車なら取られなかったとか言えるか。ちなみにブライたちは金貨に戻して、俺とチビ共だけだ。荷車は男らに引かせてる。
でも、王国だろ? そんなので騙されるほどちょろくないだろ。
「よし、なら通行料を払ってから通れ」
いいのかよ!
思わす声に出そうだったがなんとか心の中に抑えることが出来た。
てか通行料か。
「通行料っていくらだ?」
「それはお前の気持ち次第だな」
兵士はニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべてそう言った。
なるほど、そういうことか。
通りたければ俺に金寄越せってことか。腐ってるな。
まあ、いいだろう。盗賊に襲われたのは本当だけど、逆に襲って壊滅させたから金はたんまりある。
それにこれがこいつの単独での犯行で俺から金をせびろうとしてただけならそれ相応の報いを受けてもらうだけだ。国絡みだったら……結局落とすから同じか。
俺は銀貨が入っている袋を取り出してそこから銀貨を五枚取り出す。
俺はそれを掌に乗せて兵士へと歩み寄る。
「ほら、これでいいだろ」
兵士はギョッとしてこちらを見る。
いや、俺の後ろを見ているのか? …………あ。プリルの話と矛盾してる気が……
だが、兵士はすぐに厳つい顔に戻るとビシッと背筋を伸ばして立った。
「確かに通行料はもらった。通れ!」
あれ? いいのか?
ああ、こういうやつは金さえもらえりゃなんでもいいのか。
とりあえず通れることになったから通るか。
俺はチビ共に手招きをして先に門を通る。
ここで果てしないクズならチビ共の分まで金をせびろうとするな。
と、思っていたが大丈夫だったようだ。てか、銀貨をすっごい見つめていた。ちょっと払いすぎたか。あいつは死刑確定だな。国落としの時待っとけよ。
門は幅五m、高さ三mほどの木の門だ。
俺がその前に立つと、兵士はハッとした表情になって、
「開門!」
そう言ってまた銀貨を見つめていた。
門は奥にギギギっと木がきしむ音を出しながら開いていった。
少しずつ向こう側の景色が露になっていく。
「おお~」
俺は感嘆の声を上げた。
そこは教科書で見たような中世ヨーロッパの町並みが広がっており、門の向こう側の大通りにはたくさんの人が歩いていた。
ちょうど今は夕暮れ前だ。買い物の帰りとか仕事帰りの人っぽいのが歩いている。
「わあ~! すっごい人がいるね!」
「うぉお! でっけー剣が売ってるぞ! かっけー!」
「キャアー! あの服すごく可愛い!」
「なんだあの鎧! めっちゃかっけーぞ! アヴァロンの方がカッコイイけどな!」
俺が中で止まっていると荷車に乗ったチビ共がすぐ後ろまで来ていた。
今にも荷車から降りんばかりの勢いで町並みを見ている。
「おい、うるせぇ。静かにしろ」
俺がそういうとチビ共はしゅんっと分かりやすいくらいに縮こまった。
なんだお前ら。露骨に落ち込めば俺が遊んでこいとでも言うと思ったか? あいにくお前らは俺の奴隷だ。働いてもらわにゃいかんのだ。
「ねぇ、プリル」
「なに? アリー?」
アリーと呼ばれるふっくらした、緑色の髪と目をした少女がプリルに離しかけている。
「私ね、この王国に入るのがずっと夢だったの」
「そうなんだ。実はね、私もなの」
二人はチラチラとこちらを見てくる。
ほぅ、そういうことか。お前らは俺に同情させようとしてるのか。
全く、今はそれにかまっている時間はないんだ。もうすぐ日が暮れる。
「おい、行くぞ」
俺は無理矢理終わらして歩きだす。
後ろからはぁ、とため息が聞こえる。ちょっと奴隷としての自覚が足りないんじゃないか? あとで全員説教だな。
俺は今日泊まる宿を探して歩きだす。
荷車はそこまででかくないので人ごみを分けるとかはしない。
チビ共は荷車の中から俺にばれないように(バレバレだが)店を見てたりする。
俺は早歩きになって宿を探していた。
なんか急激にPVとか増えて恐ろしいです……
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