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第十一話『盗賊のアジトを見つけた!』

 厚い木々に覆われて月の光も入ってこない暗闇の森の中。 

 俺は子供たちを近くに集め、ブライ四体を護衛と言う名の盾にして残りの八体で奴隷たちの埋葬をしていた。

 子供たちはすっかり恐怖に染まって今も互いに抱きあって震えている。

 おいおい、こんなんでこいつら使えるのか? 精神に異常があったりしたらどうするんだよ。

 俺は少し心配しながらも周りへの警戒を緩めなかった。

 ブライたちは逃げられたものは深追いしなかったそうだ。だからもう一度仲間を連れて戻ってくる可能性もある。

 仲間がいるのが分かったのは捕虜が簡単に口を滑らしてくれたからだ。

 ブライはほとんど殺して回ったが、ほんの少しだけ生きていたやつがいた。俺はそいつらをここに連れてこいと命じ、ここで吐かせたのだ。


 しばらくするとブライが戻ってきた。全部埋め終わったようだ。

 空は徐々に白んできたからか、森の中の視界も次第にクリアになっていく。

 さて、今ブライは一二体いる。金は持っているが、到底金貨一枚には届かない。

 でもまあ、盗賊相手ならこれで勝てるはずだ。現に昨日盗賊三十人ほどを殺っていたし。

 俺はブライに俺らの盾になれ、と言って歩きだそうとする。


「おい、チビ共。歩け、行くぞ」


 子供、と言うのはなんか嫌だったのでチビということにする。実際そうだしな。

 チビ共は未だにガクガクと震え、立ちそうにない。

 チッ、しょうがねぇ。

 俺は主人の力を使い、少し苦しめる。痛みは、痛いけど頑張れば我慢できる程度に抑えた。

 チビ共は胸を押さえて転がりまわる。

 俺は力を止めてチビ共に言う。


「お前らは強くなれ。お前らの親は弱くて死んだ。お前らまで死んだら俺は目もあてられん。だから立て」


 本当にそうだ。せっかく盗賊十数名分の金を使って村人約五十人も奴隷にしたんだ。なのに旅三日目でチビ共七人になるだと。とんでもないくらいの大損害だ。

 せめてこいつらは死なずに俺のために馬車馬のごとく働いてもらわないと。

 それを聞いたチビ共は立ち上がる。

 おー、チビなのに根性あるな、と思ったが違った。顔が完全に恐怖に染まっていた。さっきとは違う目の前に恐怖の対象がいる感じに。

 立たなかったらまた苦しむと思って頑張ったのだろう。

 ま、それでもいい。最終的に役に立てばいいのだから。

 あ、強くなれって言ったけどこいつらを今のうちから育てていけば臨機応変に立ちまわれる護衛が出来るんじゃないか?

 …………いや、止めておこう。奴隷でも裏切ることはあるのだ。そう簡単に人間に心を許してはいかん。


 俺は自分を戒めて歩きだす。

 チビ共もフラフラとついてくる。いかんなこれだとすぐに倒れる。

 そう思った俺は一体のブライに荷馬車を引かせ、そこに全員乗せた。もちろん俺も乗る。

 乗ったところで力尽きたように倒れるチビ共に「飯を食え。腹が減っては戦は出来ぬ、というから飯を食え」と言うと、すごい勢いで食べ始めた。

 そういえば、よく見るとチビ共はみんな同じような年齢だ。多分十歳ほどじゃなかろうか。育ち盛りで良く食べる。

 やがて満腹になったチビ共は、恐怖で眠れなかったこともあり、すぐさま目を瞑って静かな寝息をたて始めた。


「さて、どうするか……」


 俺は今後のプランを考えている。

 あの、盗賊と思わしきやつらに目のもの見せてやるのは決定事項だが、あいつらの拠点がどこか分からない。

 とりあえずブライに探させるか。

 そういえばあいつら金貨に戻るの嫌がってたな。なぜかしらんけど。よし、一時間以内に見つけて来なかったら戻すって脅すか。

 

「よし、ブライここで一旦止めろ」


 俺は荷馬車を引いているブライにそう言って止めさせる。

 そして、周りにいるブライにも声をかけ、集める。


「よし、全員いるな。今からお前らのうち八体で盗賊のアジトを探してきてもらう」


 ブライたちはがちゃっと頷く。


「なお、これには制限時間を設ける。一時間だ。一時間以内に探して俺に報告しなければお前ら八体を金貨にする」


 そう言うとブライは分かりやすくたじろいた。そんなに金貨になるのは嫌なのか。

 まあ、それでこうなるなら良いことだな。


「よし、じゃあそこからそこまでのやつだな。行け」


 俺は適当に指差して探索隊を選んだ。

 そう言うがいなやブライたちは全力で森の中へと走っていった。おい、そんなに音だしてたら見つかるぞ。

 残った四体はと言うとどことなくホッとしている気がした。やっぱり金貨に戻るのは嫌らしいな。

 

「そんじゃ残ったお前らは俺らの盾になれ。弓が飛んできたらお前らが受けろ。これ以上俺の損害を増やすようだったらお前らが消えるんだからな。死ぬ気で守れ」


 そう言うと四体のブライはそれぞれ敬礼したり、OKサインを出したりといろんな形で了解した。

 さて、一時間後が楽しみだ。













 あれから三十分ほど経っただろうか。探索隊のブライが戻ってきた。

 

「見つけたのか?」


 そう聞くとがちゃっと頷いた。

 よし、意外に早かったな。それじゃあ行くか。


「おい、チビ共起きろ」


 俺はそう言いながらチビ共を叩き起こす。叩き起こすと言っても暴力はやっていない。今もボロボロだし、これからに支障が出るかもしれないからな。

 チビ共は起きると眠そうに目をこすりながらむっくりと起き上がる。たった三○分ほどしか寝れてないからな。

 俺はそんな状態だが、これからのことを言う。


「おい、盗賊のアジトに行くぞ。死なねぇように気を引き締めろ」


 チビ共はコクっと頷く。絶対分かってねぇよ。

 まあ、いい。俺はブライに「仲間を呼んでおけ。なんならアジトを見張っていてもいいぞ」と言って荷馬車を引かせた。

 



 しばらくすると森の奥の方に洞窟が見えた。

 地面が盛り上がっていて、そこに人為的に掘られたであろう穴が広がっている。

 俺は洞窟から隠れるように荷馬車を止めさせる。

 そしてブライに指示を飛ばす。


「ブライ四体は洞窟までに見張りがいないか確認してこい。五分以内だ。行け」


 そう言うとブライは身を低くして草むらへと消え……はしないけど見にくくなった。あんだけでかいと隠密行動とかは無理だな。音も出るし。

 チビ共はようやく眠気から覚めたのか今の状況に驚いている。

 

「ねぇ、ここはどこなの? あの洞窟はなに?」


 七人のチビ共の中の一人の少女が俺の裾をクイッと引っ張って問われる。

 ほう、こいつはあの子供思いの男の子供じゃないか。みんな俺を怖がっていると言うのに勇気があるな。

 俺は淡々と答える。


「ここはおそらく森の奥だ。あの洞窟は盗賊共のアジトだ。今から攻め込む」

「え……?」


 少女は驚いて目を見開く。口も半開きになっていてだらしない。

 と思ったら後ろにいるチビ共も同じだった。

 ビビッてるのか。まあ、いいわ。行くのは決定事項だし。

 そこで偵察のブライが戻ってきた。一体は脇に盗賊らしき男を抱えて。


「おう、見張りはやっぱいたようだな。そんで気絶させて捕らえてきたのか。お前分かってるじゃねぇか」


 ブライはがちゃんといつもより大きな音を出して頷く。どことなく嬉しそうだ。

 よし、これで洞窟まで行っても後ろの心配はおそらくないな。

 

「よし、洞窟に乗り込むぞ」


 そう言って荷馬車から降りる。

 だが、チビ共は恐怖で体が震えて動けない。顔も真っ青になっていて血色が悪い。

 でも、ここにいてもしょうがない。


「おい、チビ共。別にここで待っていてもいいが、盗賊が帰ってきたら確実に襲われるぞ。洞窟からは見えにくいが、帰って来るやつにはすぐ見つかるからな。あと、人質にされても俺は平気でお前らくらい見捨てるからな。自分の命が惜しい」


 俺がそう脅すと、ガクガクの脚を引きずりながら荷馬車から降りてきた。いや、落ちたってほうが正しいか。

 全く。これじゃ歩くこともままならない。

 どうするか…………そうだ。

 俺はチビ共に近づき、手を伸ばす。

 俺が手を伸ばしたチビは恐怖でギュッと目を瞑った。

 だが、俺は頭を優しく撫でただけだ。そして一言。


「お前らは俺についてくればちゃんと守る」


 そう言ってニッコリ笑う。

 久しぶりの作り笑いだ。前はクラスメイトとか全員騙すほど完璧だったが、今はどうだろう。ちゃんと出来ているか? 高校ではほとんど話すことはなかったからな。

 

「うん!」


 心配は杞憂だったようだ。

 チビはやや、強張っていた体の力が抜けて脚の震えも少しおさまった。

 他のチビ共も同様に歩ける程度にはなったようだ。

 俺は洞窟へと振り返る。


「もう歩けるな。行くぞ」


 そして俺は歩きだす。

 ふっ、所詮はチビ共だな。コロッと俺の偽りの優しさに騙されおって。

 俺はそんなことを思いながら草むらをかきわけ洞窟へと向かう。









読んで頂きありがとうございます!

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なんだかんだいってお気に入りが増えるのは嬉しいです(*^-^)

これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

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