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第十話『またも盗賊しかし今度は……』

 太陽がオレンジ色に染まってきた頃。

 俺らは森の入り口へたどり着いた。

 森は不気味なことに物音一つしない。木々がこすれる音すらしない。

 とりあえず、今日は遅いので森の入り口で寝ることにした。

 森の入り口から少し距離をとってそこで座る。

 荷車からとってきた果実を食べる。今度はみかんのようなものだ。大きさはりんごくらいはあるが。

 俺はそれを食べると眠りについた。








 真夜中だった。

 俺はまだ世界が闇に覆われている時間に目を覚ました。  

 なぜ、目を覚ましたのか。それは音がしたからだ。

 俺が寝るまでずっと物音一つしなかった森から明らかになにかが動く音がしたのだ。

 俺は音を出さないようにゆっくりと森を向いているブライに近づく。

 

がちゃがちゃがちゃ


 あ、俺の護衛のブライを忘れてた。俺についてくるから音がしてしまった。

 俺が気づいたときにはすでに遅く、森で聞こえた音はすぐさま遠くなって行った。

 なんだったんだ? でも……まあいいだろう。

 俺は護衛をもう一度確認のために命令して寝るのだった。













 翌朝。目を覚ますと森を見た。

 森は昨日と変わらず物音一つしない。

 夜のあれはなんだったんだ……?

 ま、なにがあっても返り打ちにしてくれるわ。

 俺は、まだ寝ている子供は荷車に乗せろ、それ以外は森に入るぞ、と言い今日も今日とて歩きだす。

 

 森の中は空気が澄んでいた。

 この世界に来てから常に思っていたが、ここは一段と空気が美味しい。

 前世では「空気が美味しいってなんだよ。アホらし」とか言っていたがここにきて分かった。

 地面には木漏れ日がちりばめられていて芸術的だ。

 俺は珍しく気分良く歩いていた。


「ここはいいところですね」


 子供思いの男が話しかけてくる。名前は……忘れた。

 いつもなら適当に頷いて済ますが、今の俺は機嫌がいい。


「そうだな。ここは空気が澄んでいてとても美味しい」

「はい! 木々も青々とした木の葉をつけてとてもいい土地に思えます」


 俺が返事をしたのが嬉しかったのか声を弾ませて感想を述べる。

 男は俺の斜め後ろをついて歩いてくる。隣はブライがいつでも動けるように俺を挟んでいるため並んで歩くことは出来ないのだ。ブライがいなくても奴隷が主人の横に並んで歩くなど許されないが。

 男はなにやらいろいろ喋っているようだが、あまりに長いので途中から聞いていない。

 

 しばらくして俺はふと思ったことを口にした。


「……なんか長い気がする……」


 早朝に森に入ってからずっと歩きっぱなしだ。今は太陽が真上に来ている。ちょうど昼ちょっとすぎくらいか。

 俺の疑問を聞いたのか男が答える。


「ここは王国の手前にある広大な森ですよ。ずっとまっすぐ歩いても二日はかかりますよ」

「マジか……それならしょうがないな。夕方になったら休むとするか」


 俺は、二日もかかるのか、と落胆する。

 いや、ここでしばらく野宿をして暮らすのもいい気がしてきた。が、今は一刻も早く王国に入っておきたい。もし奴隷狩りから返って来ない軍のやつらを見に行って報告されたら入れないかもしれん。

 と、そこで俺は気づいた。

 あれ燃やしたりしとけばよかった……と。

 まあ、過ぎた事は仕方がない。早く王国に侵入しよう。

 俺は気持ち歩く速さをあげる。なんか急に早く行かないといけない気がしてきたからだ。

 その様子を見ていた男は俺のわずかな変化を見抜いた。


「ご主人様、どうかしたのですか?」

「なにがだ?」

「いや、急にわずかですが歩く速さが速くなったので」

「は? お前分かったのか?」


 俺は本当に気持ち、ほんの気持ちだけ速くしたつもりだったんだが。そんなに表に出ていたのか。

 男はニッコリとして言う。


「はい! ずっとご主人様から目を離していませんでしたから!」


 なに子供を見守る親みたいなことしてんだ。

 俺は一瞬主人の力とやらを使い、男を苦しめる。

 男は一瞬だけたじろいだが、一瞬でおさまったため倒れずについてきた。

 自分でやっといてなんだが、特に興味もなく、前を向いて歩きだす。

 さて、歩くか。













 夕方になった。

 少し肌寒くなり、料理もするために焚き火をした。

 俺は焚き火の両隣に二つ五十センチほどの高さの石を置いた。

 そして、その上にブライを仰向けに乗せて熱する。

 次に荷馬車に向かう。荷馬車から解体した熊の肉をいくつか持ってくる。ついでに奴隷にも食わせてやるために持ってこさせた。

 

 ブライが熱せられているところにいくと俺はブライに手をかざす。

 

「よし、これくらいならOKだな」


 俺はそう呟くと持ってきた肉をブライの鎧の上に敷いた。油は肉の脂肪を使った。

 ジューと音を立てて香ばしい匂いが当たりに立ち込める。

 そう、今俺は新しいブライの使い方を試していた。

 しばらくして俺は肉をナイフを使ってひっくり返す。

 ちなみにちゃんと鎧は綺麗なので大丈夫だ。ブライは穴が空いたりした状態で金貨に戻すと戻った金貨にも穴が空いていた。血がついていた時も同様だ。だからあんな大きいまま洗わなくても金貨にして洗えば少しの水で済むためそれで洗った。だから大丈夫のはずだ

 俺はそれで、森の中でBBQを楽しんでいた。

 奴隷たちも驚いていた。こっちにはBBQはないのか? と思ったが、多分俺のブライの使い方に驚いているのだろう。

 

 そんなことは無視して俺は焼きあがった肉を口に運ぶ。

 口に入れた途端熱くて出しそうになったが、なんとか耐える。

 そして、熱いのを我慢しながら肉を噛む。

 すると、肉はまるでプリンのようにたやすく切れた。なのに舌でつぶそうとしても形は崩れない。

 そして、驚くほど溢れる肉汁。口が肉汁でいっぱいになる。どこから出てくるんだというほどの量だ。

 そして、それを飲み込むとなんとも満たされた気分になる。

 俺はそれに満足してそのまま倒れるように寝てしまった。

 あとで気づいたのだが鉄板代わりにしたブライはあのままずっと熱せられていたらしい。俺の命令を忠実に守って。











 真夜中。月の明かりもほとんど届かない森の中では視界は最悪の物となる。

 そんな中なにかが動く音がした。その音で俺は目が覚めた。寝たまま俺は思考をめぐらす。

 チッ、昨日もいたな。ったく俺の安眠を妨害しやがって。

 俺は寝た振りしてしばらく様子を見ることにした。

 すると、音は次第に増えていく。十、二十、いやそれ以上だ。

 音はどんどん多くなっていき、半端ない数の足音が聞こえてきた。

 あ、囲まれた。

 やばい、と思った時奴隷が音で目を覚ましたようで、叫びだした。


「おい! なんだこれは?! 魔物か?! っ! …………」


 小さいうめき声を上げて立ち上がって叫んだ奴隷は倒れた。

 なんだ?! ブライはちゃんと護衛しているんじゃないのか?

 もしかして飛び道具とかは反応できないんじゃ? なら俺もやばいな。

 俺は気づかれない程度に動いてそばにいたブライ(鉄板)に命令した。

 

「……おい、今すぐお前ら十体で周りの敵を排除してこい。殺してもなんでもいい。とにかく俺と奴隷を殺させるな。あとの、二体は俺を守れ。よし行け」


 俺がほんの小さく口を動かして伝えるとブライは立ち上がって同じブライの元へと走っていった。立ち上がったときカーンと甲高い音が聞こえた。やっぱり飛び道具として弓を持っていたか。ブライには効かないが。

 俺は焚き火をしていたところへと逃げ込む。石が二つ、まあまあ大きいので空いているところにブライがくれば矢くらいは防げる。


 と、逃げたところで奴隷たちが騒ぎに気づきだす。

 だが、立ち上がったやつから弓の餌食になっていく。くそ! 俺の所有物を勝手に殺しやがって! まだ働かせて金稼いでねぇぞ! 飯食わせただけだぞ!

 俺はイライラしながらブライが来るのを待った。

 そして来た一体に「奴隷を守るやつも三体くらいつけろ。これ以上好き勝手させるな。全力で、死ぬ気で殺しまわれ」と伝えろと言った。

 ブライはがちゃっと頷くと俯いた。なんだ? と思ったが多分念話みたいなのをやっているのだろう。そう思って納得させた。

 とにかく俺はいつ攻撃が来ても大丈夫なように身構えて隠れていた。


 ところどころで喧騒が聞こえる。ブライたちは順調に狩りをしているようだ。悲鳴がさっきから止まない。

 そして、しばらくすると喧騒はピタリと止んだ。

 俺はブライに「終わったか?」と聞いた。ブライはがちゃと頷く。

 よし、と立ち上がると悲惨な光景が広がっていた。

 帰って来たブライは全身血に染め、闇夜も相まって不気味なオーラを放っていた。

 あたりには血の匂いが立ちこめ、吐き気がする。

 それを我慢しても視界には無残な死体が多くある。おそらく奴隷たちのだろう。立っているものはいない。

 

 と、そこでなにかがもぞもぞと動いている。

 すると奴隷の死体の中から少女が出てきた。

 頭から血にまみれ、少女は親と思わしき人物に縋りよっている。

 そして所々で同じようなことが起きる。奴隷の子供ら七名全員親に守られて生きていたのだ。

 と、そこであの男の姿を見かけた。

 俺はそいつに寄って行く。

 胸が少しだが上下している。男はまだかすかに息があるようだ。

 

「おい、生きてるな。どうすれば助かる?」


 俺は聞こえているか分からないが近くで単刀直入にそうたずねる。

 ついでにまだ息があるものをここに連れてこい、とブライに命じる。

 男は焦点の定まらない目で俺を見る。


「……ぁあ……ご、主人、様……俺、もうダメ、です……」


 男はそう告げる。


「そうかなら仕方ないか。なにか言い残すことは? 多少なら聞いてやらんこともない」


 特に思い入れもない……と言ったら少し嘘が混じるが、ダメならしょうがない。それくらいの付き合いだ。

 でも、今回は俺が敵に気づいていながらも放置していたせいで囲まれたのだ。

 こっちがブライによる奇襲でもしていれば多少は助かったかもしれない。

 それに肉を焼いたりしていたら普通に見つかる。俺のせいだ。

 

「なら……娘たちを……村の子供、を……お、ねがいし、ます……」

「それは当たり前だ。お前らが何もせずに死んだおかげで大損害だ。こいつらにはしっかり育ってもらって馬車馬のごとく働いてもらう」


 今回の被害は大きい。大人は多分全滅だろう。チッ、働き手が。

 だからその分この子供らに稼いでもらわにゃならんのだ。

 だが、男はなぜか満足そうな顔をする。


「はい……じゃあ、おねが、いします、ね……」


 そう言うと満足そうな顔をして力なく目を閉じた。

 なぜだ? 俺はお前らを見捨てて自分の保身を一番に考えていたんだぞ。そんなやつになんで安心して預けられる。

 俺にはやっぱり人間が考えることは分からん、と思い。周りを見る。

 ブライは全員手ぶらで帰って来ていた。全員死んでたか。

 俺は立ち上がり、新たな目的を立てた。


「目には目を、歯には歯を、俺の所有物を奪ったお前らの罪は重いぞ」


 俺は上を見上げてそう呟いた。











 

今日は早く帰れたので投稿です(*^-^)

遊ぼうかと思ったのですが、なんせ四時まで外出禁止で先生が見周りに来てるんですよ……全く、仕事があるから帰らしたんじゃないのかよ!

と、愚痴はこれくらいにして、読んで頂きありがとうございました。

感想・アドバイスどしどしください!

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