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閑話一その②『奴隷になる』

なぜかこんなに長くなってしまった……

次はもっと簡潔に出来るように頑張ります!

 結果、圧勝だった。

 男は途中で俺たちに助け舟を出した。

 敵を倒せば防具などをやろう、という話しだ。

 防具があればそこそこでかい魔物も狩りに行ける。

 そいつらを狩れれば食糧問題も少しは改善するだろう。

 俺は垂らされた糸のように細い希望の糸を掴むことにした。

 

「俺は行くぞ」


 幸い俺は村の中でも若いし、力のあるほうだ。家にある質素な武器でも持って行けば一人くらいは倒せるかもしれない。

 すると、ほかのやつらも口々に、俺も俺も、と言いだした。

 なぜか一人ビンタされたやつがいたが……

 そして、俺たちは縄をほどかれ、解放された。

 俺たちは急いで自分の家へと行く。

 が、途中で村長が俺の元に来た。男からはもう見えない。


「あの人はいい人じゃ。あの人を殺そうなど考えるな」


 俺は首をかしげる。

 そういうことだ? 俺らの村にきて俺らが襲い掛かって反撃されて縄で縛られて……あ。

 俺は気づいて険しくなっていた顔の筋肉を緩める。


「わかったじゃろう。あの方はわしらを殺さなかった。だが、その場合普通は奴隷行きじゃ。にも関わらず、助け舟を寄越した。もう分かるじゃろ?」


 俺は無言で頷いた。

 あの男……いや、あのお方がどこから来たのか、知らない。

 だが、一つだけ分かることがある。

 それは、あのお方が日々衰退していっている俺たちのけつを蹴ったことだ。

 命への執着。

 俺は今死にたくない。激しくそう思う。

 他の村人も同じだろう。助かるならばそれにかけたい。

 俺たちは全員武装をして男の元へと集まった。

 俺と村長はともかくなんで村の全員が集まっているんだ?

 と、村長が俺に目配せをした。

 みんな同じ考えじゃ、と。

 

「で、なんでお前らはここに来るんだ?」


 男が言う。 

 村長が答えた。


「どうか我らに指示を与えてください!」

「は?」


 そう、村長がこの方を上だと認めたのだ。

 力ではなく、器など全てにおいて。

 村長は続けた。


「あなたは我らを厳しい言葉で陥れました。そして、金を奪い、自由を奪い、ましては命まで奪おうとしました。

 しかし、これは全部我らのためを思ってくれていたことに気づいたのです。厳しい言葉で絶望を味あわせ、そこに希望という糸を垂らして生への執着を教えてくださいました。

 最近の我らはどこか諦めていました。近隣の村が奴隷狩りにあい、次は我らだろうとビクビク怯えて暮らしていました。

 そこにあなたが来て我らを救ってくださいました。ですから死ぬ前に感謝の言葉だけでもと思い…………」

「あ~、長いこと喋ってる途中でスマン。もう終わった」


 男は手を振って言葉を遮った。

 もう終わった。

 それは多分戦いが終わったということだろう。さすがだ! 

 こんな短時間で終わらせるなんて。

 しばらく鎧とあのお方は揉めていた。じゃんけんとはなんだろう?

 と、不意にこちらに振り向いた。


「そんじゃ、俺はもう行くわ。また王国軍が攻めてきて、軍隊のことを聞いてきたら、前の軍隊のことなんて知らないと言っておけ。間違っても俺のことを言うんじゃねぇぞ」

「…………ハッ! もちろんでございます!」


 そう言うとお方は踵を返す。おそらくこのまま出て行ってしまうのだろう。


「待ってください!」


 俺は気づいたらお方を止めていた。

 お方は振り返らず言った。


「なんだ? 用件をまとめて簡潔に話せ。五秒以内に」

「私たちを連れて行ってください。お願いします」


 お方は少し考えた後答えを出した。


「断る。信用ならん」


 こ、断られた……

 多分これも俺らのことを思ってなのだろう。

 教えたものを胸にここで新たに生活を営んでいけ、と。

 だが、俺はもうこのお方について行くと決めた。

 俺はなおも食い下がる。


「ならば私たちを奴隷にしてください。奴隷は主人を攻撃することが出来ず、主人の命令は奴隷が本気で拒絶すること以外は絶対です」

「そうか、ならお前らを奴隷にしよう」

「本当ですか?! ありがとうございます!」

「じゃあ、最初の命令だ。俺についてくるな」


 お方が認めてくれた!

 俺は頭を下げた。が、ご主人様は変な命令をだした。

 あ、奴隷はご主人様と呼ばないといけないと聞いたことがあるからお方もこれからはご主人様と呼ぶ。

 俺は拒絶の意思をだした。


「嫌です!」

「お前奴隷だろ? 命令だぞ?」

「奴隷は術式を体に埋め込まないといけません。それにそうだとしても私は本気で拒絶します」


 俺が意思を伝えるとご主人様はなにか困っている様子だった。

 どうしたんだろう?

 

「どうやらお困りのようですね」


 そこで急に声が聞こえた。

 いつの間にか馬車が村へと入って来ていたのだ。

 ぶかぶかで灰色のみずぼらしいローブを身に纏い、フードで目元まで隠している。

 その人物はご主人様に声をかける。


「初めまして。今日はお日柄もよく……」

「御託はいい。面倒だ。簡潔に五秒以内にまとめろ」

「私は奴隷商です。奴隷について困ってそうだったので話しかけました」


 変なことを言い出したと思ったらご主人様が遮って五秒以内と言った。あ、俺も言われたやつだ。

 奴隷商と名乗ったやつは早口に言った。

 そして奴隷商はご主人様に向かって歩いてきた。

 俺は怪しいやつだと思ったのでご主人様との間に入ろうとした。

 が、体が動かない。まるでホーンラビットがバーンイーグルに出会ったかのよう体が動かなかった。

 ご主人様は全く気にしない様子で話し始めた。


 しばらく話してご主人様は俺らを奴隷にしてくれるようになった。

 奴隷商が俺らをご主人様の奴隷として登録するらしい。結構な人数がいるので一列に並んで順番にやっている。

 ご主人様はどこかへ行ってしまわれた。

 そして俺の番がきた。


「ではそこに立って右手を出してください」


 俺は奴隷商の前に立って言われたままに動こうとする。

 が、また体が動かない。なぜだ!? 

 俺が頭に疑問符を浮かべていると奴隷商が‘笑った’。


「失礼。忘れてましたよ。それにしてもあなたは動物的本能が優れていますね。よく働いてくださいね」


 奴隷商が、失礼、と言った瞬間に体が楽になる。

 俺は動くようになった体で右手を奴隷商の前に出す。

 なにやら呪文を唱えて、ご主人様の血を水で薄めた液を俺の右手の甲に垂らした。

 一瞬ポワンと光り消えた。


「はい、これでいいですよ。次来てください」


 俺は列から外れてすでに登録が終わった人たちの輪に加わる。

 よし、これからご主人様のために働くぞ!

 俺は心の中でそう叫んでご主人様が帰ってくるのを待った。












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