プロローグ2
「わかった。その案に乗ることにするよ閻魔様。天国というやつには興味がある。それにこいつはある意味神様転生とも言える。生前から憧れて、やってみたかったことだ。」
「神様転生?ああ、なるほど。今調べたんだが、神様やそれに準ずる超自然的な存在から、特別な力を与えられて転生するってタイプの物語か。確かに該当するね。もっとも、これは遊びじゃない。君には世界を救うという仕事が課せられることは忘れないでくれよ?」
「もちろん忘れないさ。というよりも、これまたある意味こちらも望むところだ。言うなれば世界を救うヒーローになれるってことだからね。俺は凡人だが、凡人だからこそそういう非凡で英雄的な活躍には憧れるものだよ。」
「やる気はあるようで大変結構。」
「ああ、ところで閻魔様。具体的にどういう世界を救えばいいんだ?後どういう力を与えてくれるんだ?」
「それは君がこれから決める。まず転生先の世界についてだが、実のところ、滅亡の危機に瀕した世界というのは山ほどあってね。世界群全体で言えばごく一部でしか無いんだが、元の数が多いから絶対数としては非常に多くなる。そして世界のありようも、滅亡原因も多種多様だ。その中で君が好きな世界を選べばいい。力についても、できる限り君の望み通りにしよう。基本的にはどういう力でも望めば与えるし、別に個数を限定するつもりもない。ああ、能力以外の何らかの加護が欲しいなら、それも叶えよう。」
ありがたいけど、いささかこちらにとって都合が良すぎる気もする。それでいいんだろうか?
「まあ、君の意向を無視してこっちで勝手に選ぶこともできないでは無いけどね。そんなことをしたってこっちには何のメリットも無い。繰り返すけどこれでも僕は人間の自由意志ってやつを重んじているし、またこの試みとしても君にやる気を出してもらった方が都合がいいからね。」
「まあ強いて言えば、ちゃんと「世界を救える力」であることは条件になるがね。まあその辺はこっちでもチェックするから、君は選んだ世界を救う上でどういう力が必要になるか、自分で考えてみてくれ。」
ふむふむ。まあこの辺の知恵も含めて「善行」の一環なのかな?
「然り。操り人形のように、自らの意思で動くことなく、ただ定められた善行を行うなど本当の善行とは言えないからね。援助やアドバイスはするけど、できるだけ自分の頭で考えてほしいところさ。」
「さてではまずどういう世界を望む?君が望む条件を言ってくれれば、後はこっちで探してあげよう。」
うーん。そうだな。異世界転生と言えばやっぱりファンタジーだよな。
「剣と魔法のファンタジーって感じの世界はあるかい?」
「ああ、もちろん。ありふれているよ。そうだな、この世界はどうだい?」
言って閻魔様は一冊の本を渡してくる。
「これは?」
「ガイドブックってところかな?その世界のありようと、滅亡原因について書かれてある。まあ読んでみてくれ。」
ふむふむ。
ガイドブックを読み進めてみる。要望通り剣と魔法のファンタジー。魔王が魔物を率いて人類を攻め立てており、人類は滅亡の危機に瀕しているという実にテンプレートな世界だ。
「この世界の場合、俺の仕事は「魔王を倒して人類を救う」でいいのかな?」
「然りだ。ああ、魔物や魔王の人権とかは考えなくていい。魔王・魔物=悪、って図式は世界群全体で言えば必ずしもあてはまらないんだが、この世界の魔王・魔物は紛うこと無き悪だからね。僕の下に送られてきたら地獄行きは間違い無しさ。それにこの世界の人間たちは魔力を生産して世界に供給する役割を担っていてね。魔物は魔力を糧として生きているから人類を襲っているんだが、人類が滅びれば魔力の供給源が無くなって魔物たちも共倒れさ。僕らが介入しなくてもどっちみち自滅するしか無い種族なんだよ。なら人間だけでも生き延びた方がマシだろう?」
ふむ。まあそれなら滅ぼすしか無いだろう。良心が痛まないのは良いことだ。
「忠告しておけば、楽な仕事とは言わないよ。魔王は強いし、いくら僕が後押しするとは言っても、戦うのはあくまで君だからね。怖い思いや痛い思いもするかもしれない。ついでに言えば戦時下だからね。元は現代人たる君にとっては快適とは言いがたいし、衛生面さえ怪しい。」
「それでも、やるかい?」
確かに怖くないと言えば嘘になる。不慣れな仕事でもある。とはいえだからこそ、非日常というやつには憧れてもいるのだった。
「OKだ。その仕事、引き受けよう。何、頂く能力によってはだいぶ楽はできるさ。そうだな例えばこういう能力はアリかな?」
「ふむふむ。面白いことを考えるね。そのくらいならいいだろう。」
「それから…」




