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雲をつかめ  作者: 高橋峻
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 永沢先生は風のような人だ。授業を終えると、先生は一目散に職員室に戻る。だが、基本的に先生が職員室にいることは少ない。昨日は理科準備室にいた。屋上にいることもあった。昼休み中に見つけることができるかは不安だった。昼休みが残り十分を切ったあたりで、先生を見つけた。より一層眉間に皺を寄せて、窓から空を眺めていた。

「先生」

「おお。どうした?」

 ぼくは、「雲を掴むような話」をした理由を訊ねた。そうしたら先生は眉間に寄せていた皺を解いて、人の悪い笑みを浮かべたのだった。

「授業をやりたくなかったからだよ。楽したかったんだ」

 先生はあくびをしながら、眠いし、と付け加えた。

「ずいぶん濃い話でしたけど」

「作り話なんだ」

 そう言って、再び空に目をやった。さきほど中庭で見た黒い雲がペーストしたみたいに広がっていた。

 しばらく続きを待っていたが、話し始める様子がなかったので、もう一度理由を尋ねた。

「授業の準備、忘れてたんだよ。だから適当に話した」

「でも面白かったですよ」

 眠たそうな目で、どこが、と返す先生に、いろいろ、と付け加えた。顔色を窺うと、またしかめ面に戻っていた。先生がしかめ面の時は大体、何かを考えている時だ。

「志望校のランクは上げないのか?」

「昨日も言いましたけど、今のままで行きます」

 それから二言三言、同じようなやりとりをした。昼休みが終わる時間が迫ってきていたので、教室に戻ることを伝えた。先生は「ああ」と理解したような仕草を見せたが、何か言い淀んでいるようにも見えた。

 ぼくが待ちあぐねて教室に戻ろうとした時、先生は言った。

「分かっていると思うが、わたしはお前の友達ではない」

 先生はぼくを真っ直ぐに見ていた。だから返事をするのに困ったが、それも数秒のことだったと思う。

「はい、分かってます」

 窓に水滴が付いていた。「雨、降ってきましたね」と言うと、「長引きそうだな」と返ってきた。

 昼休み終了のチャイムが鳴った。駆け足で教室に戻る。一分くらいで教室に着く。まだ生徒は疎らだ。一部のグループはまだ騒がしかった。昼休みが終わっても、授業が始まるまでにはしばらく時間がかかる。特に群れでいる生徒は、集合に時間がかかることが多い。結局、授業が始まったのはチャイムが鳴ってから七分くらい経ってのことだった。


ちょっとシンプルな文章になったと思う。

関連付けが弱い気がする。

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