第二十六話
次が最終回になります。読んで頂けたら嬉しいです☆
曲がかかり体育館に入り座る。
校長やら、PTAやら、生徒会長やら長い話しをしている。
体怠…。
話しの途中で少し目を閉じていたら、少し寝ていたかもしれない。
「「雛!!」」
隣から静香が呼ぶ。
ビックリすりと周りは立っていた。
雛も急いで立ち上がる。
「「こんな時まで寝るなよー。」」
クスクスと笑いながら肩をポンと叩く。
「はは…そーだね。」
ちゃんと笑えるかな?
なんか怠いな。
雛は立ってるのもやっとだった。
「「大丈夫?」」
何回か静香がそう聞いてきてくれた。
式は一時間ちょっとで終わった。
周りからはもう鼻をすする音が聞こえる。
全然泣けないや…。
体を保つので精一杯。
教室に戻り、前には先生、後ろには保護者が並んだ。
『卒業おめでとう。』
先生は話しを始める。
あの熱血教師が目を赤くして泣いてる…。
なんだか胸が締め付けられる様になった。
一人一人に先生は卒業証書を渡す。
『次は…雛』
怠い体をなんとか立ち上がらせ、先生の前に立つ。
先生は雛の目を見てニコっと泣き笑いをした。
『雛…、よく頑張ったな。』
ぶわっと目から涙が溢れた。
卒業証書と一緒に手紙も渡された。
3年間の事…。
すべて面倒を見てきてくれた先生。
手紙にはびっちりと文字が並んでいる。
体の怠さなんて忘れる位感動して泣いていた。
『お前ら…これからも辛い事は沢山ある。それでも頑張れよ。』
そう言って最後のホームルームが終わった。
皆で写真を取り、雛はもう帰ろうとした。
「「雛…またね?」」
静香やその他の人達が手を振った。
一時期はうらんだ友達。
信じられなくなった友達。今でもまだ本当は許せてるわけじゃない。それでもこの時思い出したのは3年間の皆の笑顔だった。
そして一緒に笑ってた自分の姿。
ありがとう。
素直にそう思った。
時間が経てばいつか許せる時が来るだろう。
そう信じて、
「またね!」
と笑い手を振返し玄関に向かった。
途中で恭介に会い目が合ったが話しはしなかった。
ばいばい…。
「「今日はご苦労様。」」
玄関では母が笑顔に迎えてくれた。
泣いたのだろうか、少し目が腫れてる気がする。
二人は駐車場まで並んで歩く。
「まま。」
「「何?」」
「3年間ありがと!」
母は少しビックリしていたみたいだ。
「「本当雛は手間かかったわー!!」」
雛は笑いながら母と腕を組み歩いく。
二人とも笑っていた。
今までが何もなかったかのように。
少し暖かい風が吹き始めた3月。
辛い事を一つ乗り越え二人はまた歩き出した。
まだまだこの日が二人のスタート地点だったとしても。
それでもかまわないと思うほど幸せを感じたんだ。




