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●*Start*●  作者: 蓮美
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第二十五話

車の中では何も話さなかった。

母も気を使ってくれてるのだろうか。

薬のおかげか、不安はいつもよりなかった。


「「ままはまだ早いから車の中に居るから。」」


学校の駐車場に着く。


「わかった。」


雛は一人で車から降りて学校へと向かう。


『雛ー!!』


後ろからクラスメイトが走ってきた。


「おはよ。」


『おはよー!ずっと休んでたけど大丈夫だったの?』


「うん。平気。」


そっかと友達は心配そうに雛の顔を見ていた。

教室に向かう途中担任と鉢合わせになった。


「「雛おはよ。髪よくやってきたなー!!」」


担当は雛の頭をポンと叩く。


「触んなよー!!」


少し笑いながら担当の手をすぐに払い落とす。


「「卒業式しっかりしてろよ。」」


「はいはい。」


こんな会話も今日でおしまいだと思うとなんだか切なくなった。


教室に入るとだいたいの人がもう来ていた。


「雛ー!」


静香がすぐに雛の元に走ってきた。


「大丈夫?」


「うん。」


本当は久しぶりの騒ぎに頭がちょっとパニックになりそうだ。

それを平気なように見せるのに精一杯だった。

「はいこれ。」


静香が雛に渡したのは卒業アルバムだった。


「…。」


アルバムを受け取り席につきパラパラと眺めた。


個人写真では皆すごい笑顔だ。

もちろん雛も。

クラス写真でもほとんどが笑っている。

まだまだ雛が何もわからず元気に過ごしていた頃。

恭介も友達も素直に信用していた頃だ。


懐かしいな…。


一枚だけ恭介と雛が一緒に居るのが小さく載っている写真があった。

体育大会の時のだ。

恭介の上着を着ている。


「…。」


――ガラッ――

先生が入ってきて皆席につく。

先生は卒業式の注意事項など話していた。

いつも熱血系で声を張っている先生も今日は少し小さい声だった。


『さぁ、時間だ。廊下に並べー!!』


いよいよ卒業式本番だ。

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