第二十四話
久しぶりの制服。
最後なのでYシャツに丁寧に自分でアイロンをかける。
これで最後なんだ。
先生との対立、母への反抗、彼氏との付き合い、別れ、友達との出会い。
色んな事があった。
辛い事もあったはずなのに今感じるのは自分が幸せだった気持ち。
笑っている自分を思い出す。
明日…
私は高校を卒業する。
――チュン…◇――
カーテンから差し込む光りで目が覚める。
時計を見るとまだ6時前だった。
寝たのは覚えてるかぎり3時頃だった。
眠…。
目をこすり寝返りをする。
「「ひな、起きなさい。」」
6時半に母に起こされた。
もうそんな時間?
意識はなんとなくあったはずだけど、少し寝てたみたいだ。
「おはよ。」
「「おはよ。」」
母は台所に立って朝ごはんを作っていた。
この部屋から出た時、台所からする匂いと包丁で何かを切る音。
高校行ってた時この音を朝毎日聞いていた。
そんな前の事でもないのになんとなく懐かしく感じる。
「「先に準備しなさい。」」
「うん。」
今日は素直に反応する事ができる。
先にシャワーに入り髪を乾かして黒スプレーで髪を真っ黒にする。
そしてセットしてから朝ごはんの並んだ食卓につく。
「「なんか見慣れないから…。そんな髪見たのいつぶりだろ。」」
母は少し薄笑いした。
「最後だからね。」
雛も少し照れ気味に笑い返す。
箸を持つがなかなか進まなかった。
緊張してんのかな…。
結局あまり口にしないで制服に着替え始めた。
もし卒業式中に発作が起きたらどーする?
いや大丈夫だよね?
今日は薬がある。
きっと大丈夫…。
鏡に向かって何回もそう言い聞かせた。
――ゴクッ――
薬を飲む。
これで大丈夫…。
ソファーに座り心を落ち着かせる。
「「雛、そろそろ行くよ。」」
「うん。」
玄関で靴をはき外に出る。もう日差しが温かくなっていた。
暖かい…。
朝から外に出るの久しぶり。
「「雛!!写真撮るから玄関の前に立って。」」
「あぁ。うん。」
玄関の前に立つ。
母はカメラをかまえてシャッターを押した。
――カシャ――
顔がひきつってたのに気づいたのは、現像した写真を見た時だった。




