第十六話
一日に一回携帯の電源を着ける。
日に日にメールの数は減っていった。
遊びの誘いを断り続けると連絡はこなくなる。
体で繋がっていた人は特に遊べないと知るともう連絡はこなくなった。
和也もその一人。
初めは『心配』と言ってたがもう一週間連絡きていない。
もう皆いらない。
数人はまめに連絡をくれるがそれ以外は携帯のメモリーから消した。
『雛。ちょっと買い物行かない?』
母のいきなりの誘いに戸惑った。
外なんてもうずっと出てない。
近い買い物場といっても車で10分は乗らなきゃいけない。
それだけでも不安だった。
『もし発作起きそうになったら車止めてあげるから。』
「うん。」
迷いに迷って行く事にした。
久々に母とのまともな会話。
車に乗るが不安が酷かった。
久々の外。
気づかないうちにだいぶ寒くなっていた。
買い物といっても軽く物を買うだけだった。
きっと母もそんな用事も無かったんだと思う。
塞ぎ込んでる雛を外に出すためだろう。
『明日何食べたい?』
母は運転をしながら質問してくる。
「カレー」
すぐに答えた。
それの日の夜は母と一緒に横になりながら体について話し合った。この時テニス止めた理由も初めて話し、母は全部
「うん。うん。」
と聞き入れてくれた。
母に感謝した。
ただ聞いてくれただけでも優しさを感じ、胸が温かくなる。
『無理はしなくていいよ。』
そう最後に母が言って二人で寝むった。
この日から何度か話し合いをしたりした。
雛も感情のコントロールはまだできなかったが、機嫌が良い時は母と話し少しづつ笑う様になった。
それから毎日の様に母は
『何食べたい?』
と聞いて雛の言った物を作った。
きっとママなりに元気づけてくれてるんだな。
そう思うと静かに嬉しさが込み上げた。




