第十五話
あれからどの位絶ったかな。
夜には寝れなくて朝に寝る生活が続いた。
曜日も日にちの感覚も全く無い。
『雛。ご飯食べてる?』
母に話しかけられても何も答えない。
たまに
「うん」
と答える位だった。
母やおばあちゃんに話しかけられるだけでイラつく毎日。
イラついてから後悔する事なんて毎回だった。
「何でイラついてんだろ。」
そう思っても感情をコントロールできなかった。
いつから笑ってないかな。もうだいぶ笑ってない気がした。
何も興味も湧かないし、何も楽しくない。そしていきなり起こる発作の恐怖。
何するにしてもその恐怖は無くならなかった。
お風呂入る時
ごはん食べる時
寝る時
精神的にも肉体的にもボロボロになっていった。
熱いココアに指を突っ込み痛さを我慢する。
「痛い…。」
赤く腫れあがった指を見つめて落ち着くことがよくあった。
私頭おかしいかも…。
誰か、誰でもいいから『大丈夫だよ』って言ってくんないかな。
携帯の電源をつけるとたくさんメールがきていた。
和也、学校の友達。
恭介からは来てない。
そーだよね。
もう連絡しないって言ったし。
皆返事を返してない雛を心配している。
静香がの心配するメールが多かった。
「体の調子が悪いからとうぶん学校は行かない。」
そう静香にメールを送ってまた電源を消す。
部屋のソファに座りぼおっとしていると鞄に入ってるプリクラ帳が目に入った。ちょっと前なのに楽しそぅに笑ってる。
これは静香に恭介と愛子ちゃんが浮気してたって聞いた日だ。
「ビックリしたなぁ。」
くすっと笑う。
楽しくなんかないのに。
その前のページには恭介と雛が仲良く写っていた。
“一年”かぁ。
恭介の事忘れたい。
思い出なんていらない。
好きになんかなんなきゃよかった。
一年返してほしい。
雛は恭介と写っているプリクラと写真を全部剥がす。少しためらってごみ箱に放り投げた。
「ばいばい。」
恭介を憎んだ。
なのに夜になるといつも頭に入り込んでくる。
思い出したくないのに。
フラッシュバックみたいに一瞬にして思い出す。
「もぅ忘れさせてよ。お願いだから。」
フラッシュバックは何種類もあった。
恭介と愛子のSex姿
恭介と笑う自分
静香や周りの友達の姿
夢を諦めた瞬間
おじいちゃんの葬式
パニックになった自分
母と父の姿
起きるといつも目は腫れていた。
私こんな涙もろくなかったんだけどな。
全然泣かなかったのに。
目を冷やしながらまた出てくる涙をこらえた。




