第一二話
虚しい気持ち。
ただ恭介を忘れたくて。
がむしゃらに遊んでた。
朝方。
まだ明るくなったばっかりだった。
やけにガタガタうるさく目が覚めた。
『おじいちゃんが…。病院行ってくる。』
母はおばあちゃんを連れて急いで家を出た。
「おじいちゃんが…?」
やばいって事?
それからは眠る事もできず、ベットの上で横になっていた。
『今亡くなったから。』そう電話があったのは昼を過ぎた頃だった。
何やってんだろ私。
お見舞いも行かないで。
最後も見届けられなかった。
『ただいま。おじいちゃん下に居るよ。』
「下に?」
意味が分からなく下に行くと畳の部屋に布団寝ているおじいちゃんが居た。
でも顔には白い布がかぶさっている。
『顔見てあげて。』
母はおじいちゃんの隣に行き白い布を取る。
雛は近づく事ができなかった。
立ったままおじいちゃんを見る。
「…。」
顔を見た瞬間涙がボロボロ流れた。
本当に死んでるの?
寝てるだけじゃなくて?
今にも動きそうなおじいちゃんに近づき頭を撫でる。
「おじいちゃん…?」
いつもなら目開けるのに。私の手握るのに。
動かない。涙が勝手に出る。
線香あげる度に、顔見る度に。
次の日まであまり寝ず線香をあげ続けた。
その度
ごめんね
と言って泣いた。
最低な孫だ。
最低だ。
最低人間だ。
葬式中もずっとそう自分を責め続けた。
大きくなってから兄貴の泣き顔を初めて見た。
父も親族として葬式に出席して雛の傍に居た。
葬式後寝てない雛は倒れる様に寝た。
きっと皆もそうだっただろう。




