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St. Valentin's Day  作者: 双樹
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――二日目――

 夢を見て、目が覚めた。

 正確には、それは夢とはいえないかもしれない。

 それは過去だ。それも、ごく最近の。

 溜め息を吐いてそれを追い払う。最後の台詞はそれでもこびりついて離れることはなかった。

「……謝るくらいなら、浮気すんなっつうの」

 声にすると、更に落ち込んで後悔した。


 銀座はやはり混んでいる。いや、一層。

 ただでさえハッピーマンデーとか何だとかで三連休が増えているのに、動かない休日までもが土日にくっつくなんて最低だ。

 おかげでちっとものんびり出来ない。

 私はふっと立ち止まった。

 背中に人がぶつかるのを無視し、首を回す。


 いた。


 期待でも、予感でもなくただ確信していた。

 大通りを挟んで向かい側。

 昨日の、少年。

 同じように座り込んで道行く人の流れを眺めている。

 ――誰かをまた、つかまえるのかしら。

 興味はだが、一瞬で消え失せた。

 彼は私を見ていない。


 私は私を見てくれる人でなければ駄目なのだ。

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