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第十三話「リィゼ 中編」2

 連れていかれた場所は、分かってはいたけれど、カルテナ教団の施設だったわ。

 石を掘削して積み上げたお屋敷は、お世辞にも綺麗な造りではなかったわ。けれど、とても大きなそのお屋敷は、どっしりと腰を据えていて、立派なものだった。

 森の中にひっそりと佇むものだから、魔女でも出てきそうな雰囲気があったわ。以前、お母さまにおはなしをしてもらったことのある魔女を想像していたら、思い描いていたような女の人が出てきて驚いたわ。

 ミリアさんはその人に頭を下げると、わたしを紹介したわ。

「例の村の生き残りです。他に生存者はおりませんでした」

 すると魔女のおばさんはこちらを見て、ニタァっと口角を上げたの。その上がりようと言ったらなかったわ。まるでおばけが笑っているみたいになっていたのよ。わたし驚いちゃった。

 おばさんに名前を聞かれたので、「リィゼ・ハートです」と名乗ると、またニタァっと笑うものだから、思わずミリアさんを見てしまったの。だけれど、その時のわたしの表情が、怯えた顔になっていたのなら、失礼だったかもしれないわ。魔女のおばさんの名前は「クルエラ」と言っていたわ。

 その後奥間へと進むと、若い人たちに交じって、おじいさんがいたわ。顎に長いおひげを蓄えた、まるで村長様みたいな人よ。この人はクルエラさんとは違って、とても優しいお顔をしていたわ。

 あ、クルエラさんが、優しくなさそうって意味じゃないのよ。

 そのおじいさんは、カルテナ教団で一番偉い人みたいで、「そうすい?」とか「げいか?」とか呼ばれていたわ。何の事かしら、わたしには全然わからなかったのだけれど、きっと、「王様」みたいなものなのだろうなと、勝手に解釈しておいたわ。

 ミリアさんがわたしを紹介してくれたのだけれど、その時、見つけた時の状況を詳しく付け足しながら紹介していたわ。クルエラさんの時にはそうしなかったのに、何故かしら。

 するとその人は、「マルディス」と名乗ったわ。そして妙なことを聞いてきたの。

「リィゼ、君は、拷問に興味はあるかね」

 “ごうもん”? なんて言葉は初めて聞いたので、何のことだか分からなかったのだけれど、意味を聞いて、全身にあの時の高揚感が一気に駆けたわ。何でも、生きた人を殺さないギリギリのところでいたぶり、秘密を喋らせたりするのだそう。

 しかも、それが仕事としてあるのだというのだから、こんなに驚いたことはないわ。わたしの知らないところで、そうやっていたぶられていた人がいたのかと考えただけで、全身の毛が逆立ちしていたわ。そしてこう思ったの――「素晴らしいお仕事だわ」って。

 けれど、同時にこうも思ったわ。「秘密を喋らせるのが目的じゃなくて、わたしは、ただ意味もなく、そのひとを追い詰めたい」と。だってそうでなくちゃ、その人がいたぶられて絶望しないじゃない。絶望に満ちた顔を見たいのに、痛みに耐えるような顔をされても、てんで愉しくないわ。それに、耐えられたら喋らないだろうし。

 それならよっぽど、“その人にとって大切な人も捕らえて、目の前でいたぶったほうが効果的だわ”、そう思ったわ。そしてそれを、今会ったばかりのマルディスさんにそのまま伝えたの。そうすると、彼は目を爛々と輝かせて「それはいい考えだっ」と言っていたわ。どうやらわたしは、とても気に入られたみたいだった。

 マルディスさんは、わたしに部屋を与えて下さったわ。とてもいいお部屋よ。この時が夜だったから分からなかったけれど、このお部屋は北向きで、日中はしっかりと光が入るの。それにオシャレなカーテンまで付いているのよ。フリルのついた可愛いカーテンよ。

 そこには満足だったけれど、やっぱりお父さまとお母さまの顔が浮かんで、夜はいつも泣いていたわ。

 するとミリアさんがお部屋に来てくれたの。夜の遅い時間によ。ミリアさんだって眠らなきゃいけないだろうに、わたしのお話相手になってくれたの。


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