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社会問題

日本は本当に、景気がいいのか?

作者: せいじ

 2023年4~6月期のGDPの速報値を聞いた時、正直驚きました。

 実質1.5%、名目2.9%成長だった。

 これは年率で換算すると、実質6.0%、名目12.0%成長という、まるで高度成長期か新興国レベルの高水準でした。

 しかし、その割に株価は下がる、円安は進行すると、むしろ逆の結果が出ています。

 少なくとも市場は、この数字を好材料とは受け取っていないようです。

  

 実際、物価高騰は人々の暮らしを直撃し、日々の暮らしに暗い影を落としています。

 

 つまり、この数字は実態を反映していないのではないか、そう思いました。

 だから、公表されている数字から、実態を炙り出せないか検証しようと思います。


 実際、億ションが飛ぶように売れていると聞くので、その方面では好景気なようですから。


 まず、GDP速報値ですが、これは最初に出される数字であって、確定ではありません。

 これから修正値、そして確定値が出ますが、この数字を元に投資などが行われるので、投資家たちは発表を固唾を飲んで見守っています。

 だから、確定値が出るまで、暢気に待ってなどいられないのです。


 だからこの速報値が出されれば、市場は直ちに反応しますが、少なくとも市場は、このすさまじい経済成長をネガティブに捉えているようです。


 少なくとも、手放しで喜んでいい数字ではないと。


 そこで政府発表の数字を検証すると、驚きの数字が見えてきました。


 まず、GDPの内訳ですが、内需が実質マイナス0.3%と出ていました。

 逆に外需は、実質プラス1.8%と押し上げていました。

 つまり、外需によって、マイナスを打ち消したのです。

 日本経済の脆弱性が、明らかになった数字になります。

 

 国内最終消費支出も実質、名目共にマイナスであり、政府支出も実質、名目共にほぼ0%でした。


 民間企業設備投資もほぼ0%に近く、あまりお金が市場に出回っていない、経済が活性化していないことが見て取れます。


 輸出は高い数字を出している一方、輸入は実質、名目共にマイナスであり、そのマイナスがGDPを押し上げる効果になったというのは、皮肉な結果でしょう。

 輸入が減ったのは、景気が悪い国の特徴だからです。


 好景気で需要が旺盛だと、国内生産の供給量を上回り、輸入で足りない分賄うからです。


 今の日本経済は、輸入をしてでも供給量を増やす必要は、無いということになります。

 

 雇用者報酬も意外に伸びておらず、あの高い賃上げの効果は、物価高によって打ち消されてしまいました。


 実質賃金の下落がそれを物語っており、実質賃金の下落の原因とされる雇用の増大だけが理由とは言えないのではないだろうか?


 大企業の雇用調整もあり、ある大企業も希望退職者を募るぐらいですから。


 景気がいいなら、こんなことは起きないはずです。


 労働者の囲い込みが起きているという話しは、どこの話しだろうか?


 消費者物価指数も上昇し、令和5年6月期では、驚くような数字になっていました。


 CPI(消費者物価指数)が3.3%、コアCPIも同じく3.3%、そしてコアコアCPIが、何と4.2%となっています。

 通常、CPIはコアの方が比較すると低く、コアコアは更に低く出るものだからです。

 それが逆転しているということは、それだけ物価高が深刻と言えると考えます。


 企業物価指数は更に問題ですが、それは結果として、メーカーがいかにして値上げを抑えているかが分かると思います。


 可処分所得の減少もあり、家計貯蓄率も年々下がってきています。


 2020年の約12%をピークに、2022年は2.6%と下落し、2023年第一四半期では、1.6%と低下しました。

 その一方で、日本国民の金融資産は増大し、ここでも格差がはっきりと表れています。


 つまり、今の日本には、好材料は何も無い訳です。


 せいぜい、円安でたたき売りが起きていると、それぐらいでしょう。


 おまけにマンション価格はバブル期を越え、ありえないぐらいの高い水準を叩き出しました。

 これは晴海などの高額物件が大量に市場に出されただけの、たまたまの現象と言われていますが、その一方で、東京郊外の不動産価格も同じように上昇しています。


 投機マネーが不動産価格を押し上げているとしたら、まさにバブルの再来でしょう。


 可処分所得や貯蓄率の減少、実質賃金の減少、そして日銀の金融政策の不透明感。


 最低賃金の上昇に伴い、中小零細企業の経営の悪化や雇用の不安定化など。


 しかも岸田政権の増税志向もあり、これでもかと言うぐらい、日本には悪材料が揃っています。


 とは言え、日本の未来は暗いのかと言えば、決してそんなことはないでしょう。

 半導体工場の誘致にも成功し、海外に出て行った日本企業も国内回帰しているので、これは好材料になるはずです。


 ただし、効果が出るにはかなりの時間を有し、それまで日本が堪えれれるのかが問題です。


 特に国民負担率は恐らくは遠からず50%に達し、当然、可処分所得は更に減少するからです。


 簡単に言えば、日本の未来は岸田政権と日銀に掛かっており、これらの数字を正しく認識すれば、何をすればいいか誰でも分かるでしょう。


 数字は嘘を吐かない、扱う人間こそが嘘を吐くから、我々は気を付けないといけません。


 デフレから脱却したら、インフレを通り越してスタグフレーションが起こりましたでは、もう笑えないからです。


 それこそ、無能の証だからです。


 今、何をすべきか?


 少なくとも、増税はありえないと思います。


「国民の一般的な感覚を、ちゃんと頭にいれて政治をやらなきゃ駄目でしょう。理屈ばかり言っても駄目。理想は熟慮断行という議論もあるけどね、熟慮断行もヘチマも無いんです、断行だ。だから私は決断と実行をする。」

田中角栄


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