友人の遊びのお誘いと疑念
数日後、学校でいつものように三人で話している時だった。
司が唐突に言った。
「なぁ、今度の土曜日空いてるか?」
僕とレミィは顔を見合わせる
「うん、大丈夫だけど」
僕が答えると、司はニヤッと笑って答えた。
「じゃあさ、俺の家に遊びに来ないか? レミィさんが興味ありそうな幽霊話が残ってる古い土蔵とかあるよ」
「えっ!?」
突然のことに驚いていると、横から声が聞こえた。
「Wow! Really? Really??」
声の主はもちろんレミィだ。
「もちろん本当本当、レミィさん喜ぶと思ってさー」
と、調子のいいことを言いながら、チラッと僕を見る。
レミィは目を輝かせていた。
「Really?? You sure?」
「Yes Yes Sure」
「Okay okay」
二人はすぐに決めてしまったけど・・・、僕は正直オカルトとか苦手で近づきたくないな。
「えっと・・・僕も行かなきゃだめ?」
恐る恐る聞くと、二人ともキョトンとして言う。
「何言ってんだよ、当たり前だろ」
「何言ってるのよ、当然でしょ・・・。 私が司に取られてもいいの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど・・・」
すると、今度は二人が顔を見合わせて笑った。
「冗談だよ、冗談」
「冗談に決まってるじゃない」
そして、僕に向き直って言う。
「お前にもちゃんと教えてやるから、安心しろって」
「そうよ、教えてあげるんだから感謝しなさいよね」
二人の異様に息があった仲の良い態度にちょっと違和感と興奮を覚えてしまった。
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「なぁ、レミィさんがお前と別れて司と付き合ってるって本当か?」
教室移動の時、クラスメイトに突然そんな事を言われた。
「はぁ!? そんなわけないじゃん!」
思わず大声で否定してしまった。
慌てて周りを見回すと、何人かがこちらをチラチラ見ていた。
「あ、ごめん大声出して」
「いいよ、気にすんなって」
そう言って、そいつは気にするなというジェスチャーをした。
「でも、何でそんな事聞くんだよ」
そいつはキョロキョロと辺りを見回してから
「最近、レミィさんと司が二人で親しげに話してる所を見てるやつが何人もいるんだよ。 お前もしかして、あの二人に担がれてないか? 本当はレミィさんと司付き合っていてさ」
「そ、そんなわけないだろ! だって、この前レミィの家で一緒に遊んだし、それにレミィが僕のこと好きなのは知ってるし・・・、そ、その・・・レミィが司となんてありえないって!」
ついムキになって反論してしまう。
「お、おう、すまんな。
そうだよな、お前がそんなことしないよな。
変なこと聞いて悪かったな」
そいつは慌てて謝る。
「・・・ううん、こっちこそ大きな声だしてごめんね」
そう謝っているとチャイムが鳴ったので、急いで次の授業の準備をした。
(レミィが本当に司と付き合っているなら・・・)
そう思うと不安になると同時に、僕の
「やっぱりね」という気持ちもあった。
実は僕とレミィが付き合う前から、司はレミィはふたりとも学校でのカーストは高い。
僕が告白した時、二つ返事でOKしてくれた時。
その時は嬉しくて舞い上がっていたけれど、今思うと少し変だったかもしれない。
だって、あんなに可愛くて人気者の女の子が
「こんな地味な僕なんかと?」
って思うのは普通だと思う。
きっと、最初から司と付き合っていて。 僕のことを知っててからかうために付き合うフリをしているのかもしれない。
そんなモヤモヤを抱えながら、司の家に遊びに行く土曜日になった