2話 担任が来て中間が始まった
人類に魔法が普及して5年。その間法整備は速やかに行われた。魔法学校にも既存の学校法に加えて魔法学校法が適用され運用されている。
その法律の中に、『魔法学校のクラスには必ず担任を付けること』とある。生徒の魔法事故の責任者を確実に据えるための法律であり例外は認められない。
「だからね、ほぼ毎日君に頼んでいるわけじゃん」
『だから毎日言っているが俺には無理だ』
総泉女学園高等部1年学年主任である雪柊神哉は日課になった電話口で毎日電話している相手に愚痴をこぼしていた。電話の相手もその毎日聞く言葉に、毎日同じ言葉で返答を返していた。
『そもそも俺に頼るほどそのクラスは異常な実力なのか?適当なの居るだろ』
「最初に逃げたのがランク7の教員だったんだけど?僕が適当なのをあのクラスに当てるとでも?」
『……7?』
「7。10段階上から4番目の7。だからランク10の君にお願いしている」
深いため息が電話から吐き出される。承諾に近いため息だと長年の付き合いで知っている神哉は顔を上げた。
「やってくれる?!」
『うるさい神哉……ったく……2週間試用からだ。それでいいな』
「うんうんっちょうどもうちょいで中間だし、ほんっと助かる」
再び深すぎるため息が電話口から吐き出される。ちょうどD組戦闘科がテロリストを壊滅に追い込んだ日の夜の事だった。
中間テストを3週間後に控えたある日、朝の朝礼にご機嫌で学年主任が現れクラスメート全員が不審な眼を主任に向けていた。ご機嫌な学年主任は比較的よく見る光景だが今日のご機嫌度合いはいつもより高かった。
「おっはよ~っみんな元気?元気だね」
「学年主任が一番元気じゃん」
「……誰かいる?」
美穂のつぶやきにクラスメートの視線が、主任が入った入口に集中する。確かにそこには黒い影が何かを待ち受けていた。
「喜べ戦闘科の皆ッ担任用意出来たよっ」
「逃げない担任?」
「マジで?」
「じゃあ紹介しちゃうね。衛理っ」
がらりとドアが開かれた。第一印象は黒。漆黒の肩までの長髪に上下ともに黒いシャツパンツスタイルの青年はオーバーリアクションで手招きする神哉の横に立ち、溜息を吐いた。
「はい、じゃあ自己紹介っ」
「俺は転校生か何かか神哉……はぁ……黒風衛理だ。今日からこのクラスの担任をやらせてもらう」
「衛理は僕の古い友達でね。魔法教師ランクが高すぎて担任に付けなかったんだ。このクラスならちょうどいいとず~っとず~っとず~~~~っと担任やってほしいって電話していたんだけどようやく了承を得られましたっ」
「なるほど、学年主任がハイテンションになるだけあるわ」
魔法教師ランクは生徒もよく知る所。目の前で浮かれている学年主任が学園最高峰の9ランク。その学年主任が高いという場合おそらく9ランク程度なのだろう。そんなことを考えながら担任を見ていた真唯は不意に衛理と目が合った。大体真唯は見ればその教員が担任を出来ないと判る。今までの担任がそうだったように。だが衛理は違った。今までの担任として来ていた教師たちと違い恐れが全くない。神哉からこのクラスの話を聞いていないわけでは無いだろうに。その瞳は何処までも穏やか。
「じゃあ衛理の授業は3限目からだから楽しみにしていてね」
そうして朝のホームルームは終了した。2コマ連続の召喚科実技授業の後、D組の生徒達は着替えていつもの戦闘フィールドに向かった。既に衛理はジャージを着てその場所で何やら資料を読み込んでいた。
「来たか」
「何読んでいるんですか?黒風先生」
「お前たちの今までの授業や防衛戦の記録だな。実に興味深い」
「……へぇ」
「なんだ?」
「それ見て、興味深いとまで言ったのは黒風先生が初めてです」
「……そうか」
チャイムと共に授業が始まる。いつも通りの肩慣らし、的当ての準備をしていたD組に声が掛けられた。
「今日は出席番号順にやってくれ」
「え!?良いの?!」
「規格外の炎の力。まず確認したい」
指示通り出席番号順、1番から5番までの生徒が立つ。5番の場所に居るのは真唯。いつも通り距離を離し、防壁を張ったその場所に立つ。
「では始め」
他の水弾や雷弾が着弾するより早く、炎弾が的を破壊した。だが普段は横の的も巻き込んで破壊するのにもかかわらず的の間にも障壁が張られていて5番の的だけ炎上していた。
「ありゃ?」
「威力を聞いていて的の間に障壁を張るのは常識だろう。なるほど、確かに炎の魔力だ。人類未踏。だがそれだけだ。コントロールも威力調整も何もかも甘い。ただただバットを振り回して適当に当たっているだけだ」
「……真唯の力をちゃんと分析してる」
「言われたの初めて」
「神哉にすらか?あいつも甘くなったな。言っておくが俺は厳しいからな」
「それぐらいでちょうどいいです」
「じゃあ次。の前に的直さなきゃか」
指が鳴らされる。瞬間炭と化していた的が片付けられ、新しい的が突き立てられる。他の使用済みの的も一瞬で新しい的に入れ替わった。あまりの鮮やかさに今度はD組の生徒達が茫然とする番だった。
「すっげ、魔法構築早い」
「実験科の結城先生とどっちが早いかな」
「いやこっちっしょ」
「……次の生徒は早めに並ぶように。じゃないと実践授業の時間が無くなるぞ」
「それは拙いね」
慌てて次の出席番号の生徒達が並ぶ。その様子を屋上から神哉が見守っていた。
「やっぱり衛理がぴったりだった♪鴻さんの魔力調整も出来るだろうし、最悪衛理だけで敵対戦力も対応可能。う~ん。我ながら最高の配役だ」
次々と生徒たちが的当てを行っていく。今日の実践戦闘は先日の埋め合わせであるワイバーンの予定だ。
衛理が担任になって2週間が経過した。本人申告の試用期間は過ぎたが衛理は魔法戦闘科の教師を務め続けている。そして、中間テストまで1週間を迎えていた。
「テスト燃やしたい」
「ま~た真唯が言い出した」
「だってさぁ!?召喚すると何か違うの出るし、治癒は1回やったら禁止食らったし、他もなんか上手く行かないしっ」
「それはお前が魔力調整を行っていないからだ」
ホームルームの鐘と共に衛理が入ってくる。すっかり衛理はD組の生徒と打ち解けていた。
中間テスト前1週間は授業が無く、自クラスで各教科の特訓を行う。そして衛理の手には魔力計測器が握られていた。
「まず何より初めに鴻」
「はいっ」
「これを使って1週間特訓してもらう。出来るまで魔法戦闘科の実技特訓は無しだ」
「はぁ!?」
「というかこのクラスに魔法戦闘科の実技特訓は必要ない。他学科の特訓をメインに行う」
「必要ない?」
「もしかして各学科の範囲が簡単なのと関係あり?」
「大有りだ。実技はこのクラスに関しては問題ない。学科は判らない場所、あるいは深堀して聞きたい場所があれば聞くぞ」
「センセー僕は~?」
「あぁ。そうだな。まずは特大問題の鴻だ」
念のためとクラス全員で戦闘フィールドに移動する。他のクラスが戦闘科の練習する端で真唯は魔力計測器を持って立っていた。
「今数値は?」
「んとね、35」
「未発動でそれか……どおりで」
「どゆこと?」
「例えば召喚魔法で今回の中間の課題をクリアするに必要な魔力量は15だ。発動時で」
「20オーバーしてりゃ、違うのも来ますね。しかも発動時ってことは」
「あぁ。鴻、召喚魔法を使う時と同じだけの魔力を流せるか?」
「やってみる」
ふわりと召喚魔法用の魔法陣が真唯の前に現れる。とたんに魔力計測器から警報音が響き渡った。
「へ?何?何??」
「……数値は」
「……500で赤くなってる」
「……はい。そういう訳だ。まず鴻は何もして居ない時の魔力量をせめて20になるよう魔力を押さえる特訓をしてもらう。他の生徒は……櫻井と糸川は召喚魔法の実技で調整が必要だ。藤宮と鈴鹿は研究科の実技の調整をしておく。他にも自己評価で調整が必要と判断したなら言ってくれ。この特大問題児の合間になるが指導できる」
「は~いっ」
こうしてD組の特訓は始まった。ほとんどの生徒は指示された調整や自己申告の調整を速やかに行い、戦闘フィールドの端で学科の勉強を行ったり、別クラスの友人に請われて戦闘科の実技指導を行ったりしていた。問題児は真唯だけ。抑えようと意識すると逆に数値が上がる。あまりにも上手く行かな過ぎて拗ねそうになった真唯に衛理は組手を申し入れ、大喜びの真唯と戦闘フィールド端で組み手を開始した。
「センセーも結構力あるじゃんっ!?どうしてるのさっ」
「俺はお前ほど賑やかでも元気でもないからなっ」
「どゆこと?」
「つまり落ち着きをもって心を凪いで静かに居れば力も落ち着いてくれるってことだ」
組み手をしながらの会話。周りは驚愕の視線を向けていた。真唯の戦闘能力に衛理は着いていけている。神哉ですらなんだかんだと組み手を避けたのにもかかわらず衛理は自ら申し入れた。そして今拮抗して組み手の実力に落ち着いている。
「てかセンセーこんなに強かったんだっ」
「強くはない。ただこの程度なら対処が可能なだけだ」
「珍しいけどねっ兄ちゃんも僕と対戦してくれないし」
「兄が居るのか?」
「うんっ大学生っ」
真唯の蹴りが衛理の首を狙う。だが腕で防御し、そのまま上に吹っ飛ばした。1回転して着地した真唯はもう一撃と前を向いたが目の前にいる衛理が魔力計測器を持っているのを見て固まった。
「息抜きは此処まで。特訓再開」
「ぎにゃぁぁぁっ」
斯くして1週間の特訓期間はあっという間に過ぎていった。
そしてやってきた中間期間。1日目の魔法基礎科と召喚科、実験科のテストが終わると帰りのホームルームの為に衛理はD組の教室に立ち入った。其処に広がっていたのは何やら殺気立つD組メンバーと燃え尽きている真唯の姿。
「……どうした」
「先生、何あの簡単すぎる学科と実技のテスト」
「そんなにか?まぁ範囲を聞く限り簡単そうではあるが」
「めっちゃ簡単。真唯以外」
「鴻はそれ燃え尽きているだけか」
「でも真唯にしては頑張った方だよ実技っまともだったっ」
「そりゃよかった。訓練の甲斐があるってものだ」
「明日もこんなのなんだよね?」
「治癒、詠唱、研究だったか。まぁ、そんなもんだな。一番ヤバいのは戦闘科のだがな」
「3日目の?丸1日だから竜種ぐらい欲しいよね」
「期待しすぎるな。落差で鴻が爆発する」
ホームルームで生徒たちが帰宅する。教室での作業を終えると衛理は迷わず学年主任室へ向かった。其処には数名の1年担当教師たちもすでにそろっていた。
「げっ衛理まで」
「当たり前だろう。何だあの幼稚園児のお遊びみたいな実技はっD組の奴等殺気立っていたぞ鴻以外っ」
「でも今回鴻ちゃん成績上がるよ?ちゃんと指定範囲の召喚できたし」
「アイツの日に日に殺気が増してく組み手の相手した甲斐がある」
衛理がしみじみと言えば周りの教師たちは納得の声を上げてくれる。その中で今日テストだった実験科の担当教師は神哉の机ににじり寄った。
「ではなくっ学年主任っあの実技科目では全クラス正しい成績を出せませんっ鴻のように特異な生徒以外全員S成績を付ける羽目になるっ」
「それは僕が一番痛感している。さっき基礎学の解答見たけど満点ばっかりだったよ……これでもさぁ?学校側にも担当省庁にも掛け合ったんだよ?でも駄目だって。指導要綱通りのテストを行うこと。はぁ……衛理。D組キレたら解き放っていいから」
「それはさすがに止める」
学年主任室に沈黙が落ちる。新任の衛理以外神哉と同じく中学から3年以上この異質学年を見守ってきた。教える内容と彼女たちの実力が見合っていないことは痛感していた。
「とにかく明日明後日も学校側の指示通りにお願いする。明日の生徒達の様子によっては明後日の戦闘科のテストに校長と教頭と適当なお偉方呼ぶから」
「そうしてくれ。今からあの内容を伝える俺の心境を考えてくれ。鴻に消し炭にされかねない」
あぁと室内の全員から納得され衛理は苦笑いを浮かべた。彼ら彼女らはD組を、真唯を理解している。聞けば中学で戦闘科を担任していたのは老教師で中学卒業と同時に定年退職し高校では新任の教師が当たったという。それ故にあの異質のクラスに対応できなかったようだった。
殺気立つほど簡単な2日目のテストを終え、3日目。戦闘フィールドに実技着で降り立った戦闘科一同は茫然とした。其処にはワイバーンも竜種も、それどころか幻想動物種レベルも存在していない。ただ毎日の手慣らしである的が3倍並んでいるだけだった。
「……言い辛いが、魔法戦闘科1年1学期中間試験は的当てだ」
全員の殺気が衛理を襲う。中でも強いのはすでに炎弾を準備している真唯。憂さ晴らしが出来ると思えばこの仕打ちに何処へこの炎弾を撃ち込んでくれようと準備を開始した。ぶち込まれるまで予想し防壁を張っていた衛理はため息の後D組メンツを集めた
「他の実技試験と同じく、他のクラスが全員終わってからうちのクラスだ。見ての通り的は15個。順番の指定はない。12名ずつ出て、最後に」
「なるほど」
「何々?何ごと?」
判っていないのは真唯だけ。友人代表爽子とクラス代表悠華は真唯の肩を両側から叩いた。
「最後、1人であの15枚の的相手にして良いって」
「本当!?」
「あぁ。それに」
ちらりと衛理が見た先。既に始まっている実技試験を見ている校長と教頭、後見たことのないスーツの人間が数名、学年主任と共に屋上から見物していた。
「スーツのは魔法省のお偉方だ。12人も斉射で度肝抜いてやれ。とどめは鴻な」
「了解」
「どゆこと爽子さん」
「んとね、この簡単なテストを組んだのがあの上で見ている偉い人達、学年主任以外かな。で、思いっきりぶっ放して期末テストに竜種用意する必要があることを証明しなきゃダメな訳」
「証明できなかったら期末も的当ての連弾だぞ?」
「それは良くないっせめてでもワイバーン。もしくはウルフスライム系っ」
真唯が準備体操を始める。その姿を屋上の学年主任は満足げに見ていた。なお、校長教頭は他学科の戦闘科テストの結果をリアルタイムで閲覧し青ざめ、この日の為に呼んだ魔法省のそこそこのお偉方も量産されるS+の成績に顔を青くしていた。
「こ、こんなに」
「だ、だが学年成績は」
「それはあくまで平均した数値だと……あぁ。戦闘科の番か」
下で戦闘科の面々が一列に並んだのを確認し、神哉は防壁を2枚追加した。先ほど障壁を張った時過剰防衛だと笑った魔法省の役人が何か言う前に15枚の的が12人の生徒により一斉に粉々にされた。
「……今のでぎりぎりだから……足りるかな障壁……」
「な、なん、いまの、は」
「そりゃ全員S+になりますよね。的当てって担任から聞かされて殺気立っていたぐらいですから」
間髪入れず再び別の12人が的をすべて破壊する。再生する的。その15枚の的の前に立ったのは真唯。その姿に、下からの視線に、神哉は大人しく速やかに防壁をさらに3枚追加した。
「さ、さすがに過剰防衛だろうったかだか女子高生の的当てで」
「いいえ?的当てじゃありませんよ。あの子の場合」
そして真唯は3つの炎弾を発生させる。今までのうっ憤をすべて詰めるよう、練り上げて大きく、大きくしていく。魔力の調整はこの1週間で嫌というほど行ってきた。その応用で今魔力を3分割している。これは真唯にとっては大きな変化だった。
「っし。1年D組5番、鴻真唯。やれ」
「了解っ」
特大の炎弾が3つ、それぞれ5枚ずつに分かれたエリアへと向かう。着弾と同時に巻き起こったのは爆風。衛理が生徒側に張った対魔法防壁ですら6枚の内4枚が割れるその威力は再生し続ける筈の的を再生不可能なほど消し炭にするほどだった。
「S++……あと3個ぐらい付けたいなプラス。それは学年主任に相談するか」
「わ~いっ」
「よくやった真唯っ」
賑やかなクラスが功労者をたたえるその頭上、屋上ではすべての障壁が割られ、神哉が緊急展開の防御結界を発動させてかろうじてお偉方の命だけは守っていた。服装や髪がぐちゃぐちゃになり一部焦げてすら居るのはこの際範囲内。命には代えられないだろう。
「……魔法省御用達の防壁を確か僕は何枚張りましたっけ?10枚ですよ10枚。それでも破られて、緊急の特別製防御結界で防ぐ必要がある。それのどこが過剰防衛だと?」
「……な……なんだ……これは……化け物じゃないか」
「……これで理解していただけましたね教頭、校長。今年の1年生は総じてレベルが高い。直ちに特例の指導要綱適用の申請をお願いします。魔法省の奴らはさっさとその無様な姿を見せてその申請を受け付けろ」
「てめっ神哉覚えてろよっ」
捨て台詞と共に魔法省のお偉方は階段から降りていき、身を寄せ合っていた校長と教頭もふらふらしながら階段の方へ消えていった。ひしゃげたパイプ椅子を直して備品置き場に転送した神哉はそのまま減速魔法を使って屋上から飛び降り着地した。
「おう神哉。どうだったようちのクラス」
うちのクラス。すっかり担任が板についた親友に神哉は笑顔で応じた。
「学年主任的に花丸大合格っ全員にプラス6個ぐらい付けたい気分ですっ」
「え、マジで貰える?」
「でも学校成績表的にはプラスは2つまで。お兄さん悲しい」
「お前……お兄さんって年でもないだろ」
「それ言わないでよ衛理ぃっ」
こうして波乱に満ちたテストは終わりを告げた。なお校長は速やかに特別指導要綱の適用申請を魔法省に提出し、魔法省側は一度渋ったものの戦闘科解き放つぞという神哉の言外の脅しに負けて許可を出していた。
テストから1週間後。テスト結果がまとめて返却される。ほとんど全員がSランクの成績を貰う中、返却された悲惨な学科のプリントの上、総合成績を震える手で持つ真唯の姿があった。
「センセー……C判定……この僕がC判定っ」
「学科は悲惨だが、他学科の実技が上がった結果だ」
「い、やったぁぁぁぁぁぁっ」
くるくると踊り出しそうな勢いで喜ぶ真唯にクラスメートたちも笑みをこぼす。だが1人冷静な衛理は再びあの魔力計測器を取り出した。
「だがまだまだ魔力制御の特訓は必要だ。これから戦闘科実習の前に鴻には毎回魔力調整の特訓を申し付ける。学年主任の許可は得た」
「い、嫌だぁぁぁぁっ」
「目標は期末でB判定だからな」
くるくると変わる真唯の表情に誰ともなく笑いをこらえきれず吹き出す。その笑いはクラス中に広がっていった。
その声を控室で聞いていた神哉は笑みをこぼす。
「今日も、戦闘科クラスはにぎやかだね」
テストも終わり、季節は梅雨へと向かっていた。




