第50話 発動、クロケルの魔法
この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。
ついに50話です。一応100話は書きたいと思っておりますので、何とか半分来ました。ノープランで思いつくまま書き進めると言う無謀な状況でよくここまで来られたなぁと思います。
そして予想していたよりも多くの方に読んで頂けている様で本当に嬉しいです。読者様には日々感謝しております。本当にありがとうございます!
これからも頑張って作品を投稿したいと思っております。(ほぼ1日置きですが)
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
拝啓、遠い世界で生きる両親へ
いかがお過ごしですが。俺は一度存在が消滅しましたが、何とか蘇生(?)して元気に生きています。
そして今、強くなるために俺は……
異世界のとっても強いヒトにフルパワーで追い掛け回されています。
「ほらほら。逃げてばかりだと意味がねぇぞ。もっと抵抗しろ」
逃げると抵抗しとるわ!これが精一杯じゃボケェ!
そんな言葉を吐きたい気分だが、笑顔で拳を振り上げて追い掛け回してくるヒトにそんな言葉をぶつけるなんて末恐ろしい。絶対ムリ!
と言うかシャルム国王とのトレーニングの時もそうだったけどなんで全力で挑んでくるんだ。優秀なヒトほど意識が高いのはわかるけど、それを凡人に押し付けるのは本当にやめてくれ。
俺は歯を食いしばりながら全力で逃げ回っている。命の危機を感じているせいか陸上選手もビックリなスピードと身のこなしで攻撃から逃れている。火事場馬鹿力とはこういうことを言うのだろう。身を以て経験するとは思わなかった。
ドゴォンと言う大きな鉛玉でも落としたかの様な重い音が後ろで響くと同士に軽く地面が揺れて転倒しそうになる。後ろを振り向けば案の定、地面にクレーターの様なくぼみができていた。
ドス黒い笑顔のケイオスさんの手からパラパラと土が落ちるのが見えた。そう、あのクレーターもどきはケイオスさんの拳によってできたものなのだ。
それを見てしまった俺の血の気が引く。恐怖のあまりチビリそうになって、思わず現実逃避で次元の彼方で生きる両親に心の手紙を送ってしまった。
「何で俺がこんな目に遭わなきゃダメなんだよ、ちくしょぉぉぉぉっっ!!」
アレに当たると確実に命が消し飛ぶ。そう確信した俺は酸素不足で肺が痛く冷たくなって息苦しくなって来たことに必死で耐えながら全力で足を動かす。
「あわわ、ケイオスさん突然雰囲気が変わりましたが、どうされたのでしょうか」
『シルマちゃんは初めて見るんだっけ。あれがケイオスの本性だよ。あれがあいつのデフォルト』
「ええっ!そうなのですか!?あんなに優しい雰囲気の方なのに?」
『あははは。シルマちゃん騙されてるぅ』
「なるほど。胡散臭い笑顔の下から妙なオーラを感じると思ったらそう言うことか」
「あ、流石だねぇミハイル。見抜いてたんだ」
そんな会話が観戦組が見守る方から聞こえて来る。呑気に会話してんじゃねぇぞ。こっちは必死で逃げてんだよ。命の危機なんだよ!
「クロケル、ボクに任せてっ」
シュバルツの声が聞こえてもう一度後方を見る。そこには体にあの淡く黒いオーラを纏ったシュバルツの姿があった。
まさか、助けてくれるのか。と言う想いと、もう魔力回路を使いこなしている……すげぇ。と言う劣等感が俺の心をかき乱す。
「我は影の支配者成り、全ての影は我が力の元に!」
シュバルツが祝詞を唱えると同時にケイオスさんの影が意志を持ち、ぐにゃりと揺れた。
「ん、これは……」
余裕を崩さなかったケイオスさんだったが、流石に自分の影がひとりでに動いたことに驚いて足を止めた。
「影よ、その場で汝の体を拘束せよ!影縛り(シャドウ・リストリクション)!!」
シュバルツが左腕をまっすぐ前に突き出してそう言い放つと、ケイオスさんの影がシュルシュルと音を立てて黒い蛇の様にその足に絡みついた。
「チッ、小賢しい」
瞬間、悪態をついきながらも何とか振り払おうと試みていたケイオスさんだったが、影はしっかりとケイオスさんを絡み取り、尚且つ地面とがっちり繋がっているので影から逃れることは不可能な様に見えた。
「面白い技だが中々鬱陶しいな」
無暗に体を動かすだけでは体力の無駄と判断したのかケイオスさんは体を捩るのをやめてその場でため息をついた。
「やった!クロケル、ボクやったよ。新しい技が使える様になった」
新技の発動が一発成功したことが余程嬉しいのか、シュバルツはその場でピョンピョンと飛び跳ねて喜んだ。
「ははは、すげぇ……」
俺は逃げるのをやめ、秒速で成長を見せるシュバルツを目の当たりにした俺の口から思わず乾いた笑いが漏れる。
シュバルツが技を使ったのは今回が初めてではない。グラキエス王国でシャルム国王とトレーニングした際にも1度技を発動させた。確かシャルム国王とクラージュの影を操ると言う技だった。
カゲボウズと言うモンスターであるシュバルツの本来の能力は「コピー」だ。見た者の姿、能力を自分のモノとする、使い方次第ではある意味チートな能力。
路頭に迷っていたシュバルツに俺が提案し、俺の推しアニメの強キャラ、影の支配者でクールな妖兼男子高校生の「影坊主」を丸々コピーさせた。さっきの技もアニメの中で「影坊主」が使うものだ。
どんくさいことが災いし、コピー先を見つけられず、一族に見放されて孤独に生きて来たシュバルツが初めてコピーした姿なのだが、本物(コピー元)と寸分たがわない力を発揮している。
なんだったらあの時より技の質や発動のスピードも格段に上がっている気がする。より本物に近づいている気さえする。これが魔力回路を開いた影響なのか……?
何にせよ、とりあえず助かったのか?いや、でもこっからどうすればいいんだ。この鍛錬の最終目標は「俺の魔術でケイオスさん攻撃すること」だよな。つまり、それができないとこの鍛錬は終わらないと言うことになる。
その事実に気がついた瞬間俺は血の気が引いた。ダメじゃん!現状で詰みじゃん!い、いや待てよ。俺には(あまり使ったがことがない)剣が一応ある。魔法は使えずともこれで峰打ちすれば目標達成扱いにしてもらえるかも。
ケイオスさんは今、シュバルツの術で体の自由が利かないわけだし、非常に気が引けるし申し訳ないが一本取らせてもらうしかこの地獄のブートキャンプを抜け出す方法はない。
「よしっ!」
俺は覚悟を決めて剣の柄を握った。峰打ちでも下手をすると骨が折れるって言うし、ここは軽く、本当に軽く打つだけにしよう。
ヒトやモンスターとの戦闘経験が浅い俺はいざ武器を抜くとなると緊張と恐怖で手が震えてしまう。こんなのでこれから先どうするんだと我ながら情けなく思うが、やっぱりすんなりと剣を抜くことはできない。
柄に手を置いたまま、もだもだとする俺を見据え、やれやれとため息をついた後にケイオスさんが言った。
「チャンスだぞ。攻撃しないのか」
「わ、わかってますけどっ」
無理だ、やっぱり抜剣できない。もたつく俺にケイオスさんが呆れた口調で言った。
「お前の生きていた世界はよっぽど平和だったんだな。武器1つ扱えないなんて情けなすぎるぞ」
「うううっ」
そんなことは分かっている。俺は二次元の世界やゲームセンターのガンシューティングぐらいでしか武器を扱ったことのないヘタレだ。
平和な町で日々アニメやゲームを見たり遊んだりして一喜一憂していただけの一般人だ。この世界に転生してからそれは痛いほどその事実と向き合わされた。
だが、あえて言おう。一般人の何が悪いんだよ。いいじゃねぇか普通で!いいじゃねぇかのうのうと暮らす一般人で!凡人万歳だっての。
この世界で、いや、俺のステータスでヘタレ凡人は良くないことは理解できるが、俺は魔法騎士である前に1人の人間じゃい!怖いもんは怖いんだよ。正論突きつけんなバカー!!
内心で散々文句を垂れていると、中々行動に出ない俺に痺れを切らしたのか、ケイオスさんがドスの効いた声で言った。
「俺が影を縛られているからって油断するなよ。影が邪魔なら消せばんだよっ」
ケイオスさんは影が伸びている地面に向かって己の拳を叩きこんだ。同時に地面が盛り上がった。いや、盛り上がったと言うよりかは浮いたと表現した方が近いのかもしれない。
拳が1発叩きこまれただけなのに、地面が稲妻の如くジグザグにひび割れ、ケイオスさんの影ごと地面が吹き飛んだ。
「ひぃっ」
あまりの光景に俺の口から情けない悲鳴が上がる。あばばっ、寒くもないのに体も震えて来たぞっ。
な、なるほど、影を消せば自由に動けると言うその理屈は間違っていない。実際にアニメの「影坊主」も影が消えてしまう闇夜では力が使えないと言う弱点はあったし。
しかしこんな力技で突破するかね。アニメに出て来た敵でもこんな対処はしなかったぞ。影を物理で消すなよ。ずっと思っていたけどこのヒト見た目に反してなんで脳筋なんだよ。
「ふう。これで自由に動けるな」
これだけ地面を壊滅させておきながらケイオスさんは首をコキコキと鳴らして平然とそう言った。
「あんためちゃくちゃだな。ここ一応学内ですよね!?」
「後で整備するから平気だ。お前が気にすることは何1つない。さあ、鍛錬の続きを始めようか」
「まだやるんですかっ」
絶望をしている間もなくケイオスさんは拳を振り上げて俺に向かって来た。
「マジで勘弁して下さい!シュバルツー!!ヘルプぅぅぅぅっ」
せっかく成功させた術を強引に突破されたことにショックを受けて呆然としているシュバルツに俺は必死で助けを求めた。
「あっ、うっうん。今助け……」
俺の言葉で意識を取り戻したシュバルツがもう一度俺を援護しようと構えたその時、俺の後ろを追いかけていたケイオスさんの姿が消えた。
えっ、なんでいないんだ?まさか諦めてくれたのか。などと吞気なことを考えていたらシュバルツの悲鳴が聞こえた。
「うわっ、クロケルーっ」
「シュバルツっ!?ってゲッ」
悲鳴に反応して振り向いた俺は固まった。そこにはいつの間にかシュバルツの背後に移動してその首根っこを掴み、子猫でもつまみ上げる様に軽々とシュバルツを持ち上げているケイオスさんの姿があった。
なんでそんなところにいるんだ。ハッ、瞬間魔法を使ったのか?
嫌な展開に体が冷えていくのが分かる。特に背中と腹の辺りが冷たくてぞわぞわする。ヤバい、吐きそう……。
「やるじゃないか、坊主。コピーしか能がないモンスターだとは聞いていたが、潜在能力はある。でも、ちょっと才能がありすぎてこいつの鍛錬のじゃまだな」
こいつ、とは俺のことでしょうか。あ、目が合った。ですよね、俺しかいませんものね。
「過度な補助はクロケルのためにならないからな。俺に鍛錬を希望してもらったのに申し訳ないが、お前はあっちに行ってろ」
そう言ってケイオスさんは勢いに任せてシュバルツをこちらの様子を見守る観戦組に向かってにぶん投げた。
……ぶん投げた!?待て待て、言動と行動が幼いから錯覚してしまうがシュバルツの外見は男子高校生。それに一応170cmはあるんだぞ!コピーの体だから体重はどうなっているか知らんが、そんな軽々と投げるか!?
ボールじゃないんだから。と戸惑っている間にもシュバルツは綺麗な弧を描いて一直線にシルマたちの方へと文字通り飛んで行った。
「うわああああああああああああああっ」
「し、シュバルツーーーーっ」
シュバルツは半泣きで絶叫しながら飛ばされ、俺は無意味に手を伸ばしてその名前を呼んだ。
「わわっ!シュバルツくんがこっちに飛んできますよっ。どどどど、どうしましょう」
『あいつ!前触れもナシにこんなことするなよな。取り合えず受け止めてあげないと。このままじゃ僕たちも危ない』
「あの人間、容赦がないな」
観客組の方からそんな声が聞こえる。もうてんやわんやじゃねぇか。ってそれよかこの状況、本当にシュバルツは大丈夫なのか。地面に激突DEADENDってオチじゃないよな!?シャレにならんぞそんな展開。
「シュバルツくん、今助けますよ。お願いします、ムートンちゃん」
飛ばされたシュバルツを目で追った先でシルマが何とか助け様とキリッとして杖を構え、そして銀色の魔法陣を出現させた。
同時にボンと音がして真っ白で大きい、ふかふかとした何かが現れた。白い、毛玉?それにしてもデカいな。なんか既視感もある。ああ、あれだ!ショッピングモールとかにたまに来てる空気が送り込まれたバルーンの中に入ってピョンピョン跳ねる子供向けのアレ。
俺はケイオスさんが目の前にいることも忘れてソレに釘付けになる。と言うかケイオスさんもあっちの様子が気になって足を止めてシルマたちの方を見ている。
シルマたちとは少し距離があるので目を凝らして白い毛玉を確認する。そして、その正体がわかった。
「んんん?まさか、羊か?」
うん、アレはどう見ても羊だ。バカでかい羊がどこからともなく現れた。
その羊に飛ばされたシュバルツの体が落ちる。
「わああっ、あ、痛くない」
痛くないと言う言葉と、羊の上ですぐに体を起こして辺りを見回したシュバルツを見て大事がないことがわかる。よかった、無事だったか。
あの羊は見た目通りのフカフカの柔らか仕様らしく、ものすごい勢いでぶっ飛ばされたシュバルツのクッションになったみたいだ。
さすがシルマ。あの状況で即座に行動できるサポート能力には感服する。感服はするがそれとは別で、何、あの羊。初めて見たんですけでど。
「ありがとう、ムートンちゃん。助かりました」
「むむーっ」
鳴いた!?今鳴いたよな。うっそアレ生きてんのかよ。あれ、羊の鳴き声って「むむー」だったか?
羊はシュバルツを受け止めた後、御礼を述べたシルマに愛らしく鳴いてポンッと消えた。体を預けている物体がなくなったシュバルツはそのまま地面に尻もちをついていた。
「わっ、いたっ」
「よかった。シュバルツくん、お怪我はございませんか」
地面に座り込んでいるシュバルツをシルマが立たせる。暫く尻をさすっていたシュバルツだったが直ぐに笑顔になった。
「うん、ボクは大丈夫だよ。ありがとう、シルマ」
『うわぁ、シルマちゃん、召喚魔法も使えるの?すごーい!!』
聖の驚きの声が聞こえた。召喚魔法だと……?ここに来てシルマの新能力が判明かよ。あの子どんなポテンシャル秘めてんの。流石レベルカンストだな。
ツッコミどころは多いが、大惨事を免れてホッと胸を撫で下ろす。ごめんな、シュバルツ。俺が不甲斐ないばっかりにぶっ飛ばされて。
シュバルツのことを思い涙を呑んでいると、ザリッザリッと地面を踏むしめる恐怖の足音が近づいて来た。
ギギギッと整備不良のロボの様にそちらを向けば真っ黒い笑顔でやる気満々のケイオスさんがこちらに向かって歩いて来た。
「ひぃっ」
「あんまりおもしろい光景だったから俺もあっちに魅入っちまったが、俺を目の前にしてよそ見は良くねぇよなぁ」
ケイオスさんがバキボキィっと指の骨を鳴らす。ヒトの骨からしてはならない音がしてますよー!あんまりそれやると体に良くないのではー!?
「よ、よそ見と言うかシュバルツのことが心配でっ」
なんで弁解してんだよ俺っ。別に悪いことしてねぇのにぃっ。
泣きたくなるような気持ちをグッと抑えて俺はゆっくり後退る。
「他人の心配をしている場合じゃねぇぞ、坊や」
ギリィッと音がして拳が固く握られる。ヤバい、と思って背を向け全力疾走しようとしたその時、お約束なのか俺は踵に小石を引っかけてその場で尻もちをついてしまった。
はーーーーーーーーーーっ!!アカン、これは詰んだ。もうダメだ、もう超人生終わった。
「待って!降参!降参はなしですかっ」
情けないとはわかっていても俺は全力で命乞いを試みた。死なない程度の鍛錬とは聞かされたが、怪我をしない(させない)とは聞いていない。
実際ケイオスさんの殺る気凄いし。このままでは下手をすると全身包帯だらけのミイラ男コースまっしぐらな未来しか見えない。
俺の懇願を聞いたケイオスさんがにっこりと笑った。それは猫被りモードの時の笑顔にも見えたので、これは聞き入れてもらえたかも!と淡い期待をした瞬間、その笑顔が腹黒い笑みへと変化した。
「鍛錬に降参があるわけねぇだろ。歯ぁ食いしばれっ」
ケイオスさんが尻もちをついたついでに腰も抜けた情けない俺に向かって、情け容赦なく拳を振り上げた。
無常!理不振!こんなのありかよぉぉぉぉぉぉっ!!
「いーやーぁぁぁぁっ」
迫り来る拳がひどくスローモーションに見える。これが、ゾーンと言うやつですか。スローに見えるけど避けられないって不思議デスネ。
とか現実逃避をしている場合ではない。あわわわわ、なんでも良いから開け!俺の魔術回路。何でもいいから俺を助けてくれ!
今の俺には祈りながら迫り来る拳に目を閉じることしかできない。もうダメだ!もう人生終わった!そう思った瞬間、自分の体が熱くなったのを感じた。同時にほんの一瞬だけ体の中に駆け巡っている青色の脈の様な映像が脳裏に浮かんだ気がした。
刹那、ゴイィィィンと言う間の抜けた音が響く。それなりの強度はあるが、弾力がある様な、とにかく形容のし難い変な音だった。
「!?」
ケイオスさんが息を飲む音が聞こえる。数秒経っても拳が届くことがなかったので、ぞっと目を開けて飛び込んできた光景に俺は驚いた。
「えっ、ななな、なんだコレ」
俺の目に映ったのは弾力がある透明な箱に閉じ込められたケイオスさんの姿だった。
「これは防御魔術か?」
ケイオスさんは興味深そうに内側からその箱を触っていた。
「大きな箱ですね。あれがクロケル様の魔術でしょうか」
「うん、あの箱からはクロケルの魔力を感じるよ」
遠くで様子を見守っているシルマとシュバルツの声が聞こえる。えっ、えっ、この謎の箱出したの俺なの?ぜんっぜん自覚ないんですけど。
観客組とケイオスさんが呆然としているけど、魔術を使ったらしい俺も開いた口が塞がらない。心臓がドクドクと脈打って、変な汗も出で来た。今、俺は魔術を発動したのか?ホントに?
『攻撃ができないから守りね……クロケルらしい初魔術じゃないか』
一同がポカンとする中、この状況を楽しむ様な聖の言葉が聞こえた様な気がした。
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聖「次回予告。クロケル、ついに魔法を習得!やったね。おめでとう!これでケイオスの特訓も終わり……と思いきや現実はそんなに甘くはなかった。次なる災難……あっ、試練がクロケルを待ち受ける!」
クロケル「はあ、はあ、こんなに満身創痍な俺にこれ以上なにがあると言うのか」
聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1 第51話『地獄のブートキャンプ!プログラムその2 鍛えよフィジカル、拳こそ正義!!』シルマちゃんに頼んで回復魔法はかけてもらおうか」
クロケル「ああ、頼む、頼むけど……回復魔法って精神疲労には効果ないよな」
聖「ないねー」
クロケル「ないかー」