第34話 魔法国ヴェレームト!魔法学校で夢と魔法とファンタジー!?
この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。
やった!2日続けて投稿ができました。最近はずっと1日置きだった嬉しいです。この調子で頑張って投稿していきます。
そしてやっぱり腹黒キャラって男女問わず良いですよね。現実の腹黒はちょっと嫌かもしれませんが(笑)
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
文字通りマッハで辿り着いた先はとある建物の敷地内。シャルム国王が先に話をつけていたこともあり、入国審査の手続きも着陸許可も既に済んでいた様で、すんなりと事が進んだ。
ジェットから降りた途端、背後から圧を感じ、視線をそちらに向ければ目に飛び込んできた光景に俺は思わず感嘆した。
「すげぇ……」
俺の目に映ったのは分厚い造りの鉄の門と壁に守られ、頑丈に組まれた石垣の上に佇むレンガ造りの建物の内側に俺たちはいる。
呆ける俺にプロクスさんが一礼をしながら丁寧に言った。
「ヴェレームトが誇る世界最難関にして最優秀の魔法学校、キュルミナ魔法学校でございます」
「ここが、魔法学校……」
アニメやゲームの世界では何度も目にして憧れて来た光景。しかし現実ではテーマパーク以外では全くと言っていいほど馴染みのない光景に思考がまだ追い付かず、ぼんやりとしながらも、もう一度建物を見上げた。
いくつかは塔の様な造りになっていて、学校と言うより城に近い気がする。シャルム国王の住むグラウベン城と似た形をしていて、特に三角屋根の塔になってる部分が城っぽさを引き立てている。
俺がいた世界ではまずありえない存在、魔法学校。夢に見てあこがれ続けたそれが今、目の前にある。これで心が躍らない奴がいるのか。いや、いないだろう。
このお城感がファンタジー性を掻き立て、浮世離れした雰囲気を演出しているんだよな。城って和洋問わず特別感があるし。
敷地内の木々が不自然にねじ曲がっているのも凄く魔法の国っぽい。学校を隠す様に漂う霧が怪しさを掻き立てていてまた良い……。魔法ものにはファンタジー色に加えてミステリアス感も大事だと思う。
だめだ。本来の目的を忘れてずっとワクワクしてしまう自分がいる。落ち着け、観光に来たんじゃないんだそ。しっかりしろ、俺!
しかし、どんなに気合いを入れても目に映る全ての非現実な光景がどうしても心をくすぐり、ふわふわしてしまう。もうドキドキが止まらんですよ。浮足立つってこう言う感覚を言うんだろうな。
「霧、凄く濃くて深いね。ちょっと怖い」
シュバルツが身を屈めながら不安そうに辺りを見回した。
「数メートル先は何も見えませんからね。魔力も含まれている様ですし、少しだけ不気味です」
シルマもシュバルツと同じような感覚を抱いているらしい。と言うかこの霧魔力反応があるのか。気付かなかった……。え、テンション上がってたの俺だけ!?そんなに危機管理能力が低いのか俺っ。
この状況で自分はワクワクしています!なんて言えるわけもなく、余計なことは言うまいと口を噤んだ。
『この霧は一種の結界だよ。侵入者を感知するためのものだ。魔力が混じっているのはそのためだよ』
霧を解析したのか聖が淡々と説明する。なるほど。この霧は意図的なものなのか。なら安心だな。ワクワクしてもいいよな。
「グラキエス王国の氷壁みたいなものか」
『そうだね、似たようなものだと思う。だから思う存分ワクワクしなよ』
「だーかーらー。心読むなって!!」
後半部分は絶対にわざと口にしたであろう聖を睨みつければシルマとシュバルツが首を傾げてキョトンとして言った。
「クロケル様、霧がお好きなのですか」
「ワクワクなの?」
純粋な瞳で疑問をぶつけて来ないで!え、なにコレ、なんて答えればいいの。自分のオタク性をパンピに説明するとか地獄だろ。
「おい、これぐらいではしゃぐな。子供かお前は」
ぐだぐだと話し込んでいる俺たちに辛辣なツッコミが入った。みんなの視線がその声の主を捕える。
そこにいたのは木の上に止まり不機嫌さ全開、イライラ感MAXでこちらを睨む白フクロウ、ミハイルだった。
「わ、悪い。新しい土地に来てちょっとテンションが上がって」
「ふん。気楽なもんだな」
プイッと外方を向いてミハイルは毛づくろいを始めた。
……どうしてミハイルが俺たちといるのかと言うとそれはグラキエス王国を飛び立つ前のことである。
回想・グラキエス王国出立前の会話
「はあ!?なんで俺がこいつらと旅をしなきゃいけないんだ!!」
ミハイルの絶叫が木霊する。それはラピュセルさんに向けてかけられた言葉だった。絶叫を受けてもラピュセルさんは動揺1つ見せずにこにこと笑って答えた。
「だって、お話を聞きくかぎりでは今回の件は一筋縄ではいかなそうよ。力を貸して差し上げなさい」
「嫌だ!こいつらと一緒にいると知能数が下がる」
すげぇ言われ様だなおい。お前の前でアホみたいな行動とったか?馬鹿にされるようなことは1つもしてないよな。
まあ、このタイプは想い人以外は全員ゴミ以下と思う傾向があるから必然的にそうなるか。
『僕としてはミハイルくんに興味があるし、戦闘としても申し分ないからついて来てもらえると嬉しいけどなぁ』
「お前に喜ばれても俺しくないっ」
ぎょろりとした目で聖を睨み、噛みつくようにミハイルは言った。それをみたラピュセルさんは、ふぅと小さなため息をついて悲しそうに眉を下げた。
「どうしても、ダメかしら」
「う、だ、ダメだ。ラピュセルと離れるなんて絶対嫌だ」
今にも泣きだしそうなラピュセルさんの表情を見て、一瞬揺らぎそうになっていたがミハイルは何とか持ちこたえて自分の意見を曲げなかった。
「ねぇ、ミハイル。この方たちは私を地下のあの部屋から連れ出してくれたヒトたちよ。恩返しがしたいの。でも、鏡の中でしか行動できない私では役に立てない。だから、私の代りに皆さんを助けて欲しいの」
ラピュセルさんは一生懸命に胸の内をミハイルに伝えた。険しい表情をしていたミハイルの表情が段々と緩んで行く。
「あなたは私と契約している以上、鏡から離れても自由に行動できるでしょう」
「で、できるけど…でも」
ミハイルの態度を見て俺は悟った。コレはもう落ちるな。あと一押しで首が縦に動くぞ。
「それにあなたが私の元へ帰って来た時、外の世界のお話が聞けるわ。鏡から出ることができない私に外の世界のこと私に教えて欲しいの。ミハイル」
「……」
回想終了。
と言うわけで、ミハイルは想い人からのお願いに負けて俺たちの旅に同行することになった。ジェットに乗り込んだ後もずっと悪態をついていたので多分納得はしていない。今もずっと不機嫌である。
前途多難だなぁ。いざと言う時、ミハイルは力を貸してくれるのだろうか。不安を募らせていると正面にある木製の校舎の扉が開かれ、黒地に金の糸で月と太陽の刺繍が施されたローブを身に纏った20代後半ぐらいの男性が柔和な笑みを浮かべて現れた。
その人物は俺たちを見て一礼をした後にこちらに向かってゆっくりと歩いて来た。
黄金色に輝く肩まである髪の毛が歩く度にサラサラと揺れ毛質の良さを印象付ける。コツンコツンと黒いブーツを鳴らし、歩みを進め、俺たちの前で立ち止まる。
「お待ちしておりました。クロケル様ご一行ですね」
耳がくすぐったくなる様な少し高めだがどこかハスキーな癒し系ボイスに声フェチ気味な俺は背筋がゾクゾクするのを感じた。我がことながら中々の変態だと思った。
しかし、魅力的なのは声だけではない。それに近くで見るとすごくイケメンだ。同性の俺でも見惚れてしまうぐらいの整った顔立ちだ。瞳の色も黄金色だ。キラキラと輝いていてハチミツみたいでとろけた印象を受ける。
身長もそこそこあるな。177cmぐらいはあるんじゃないか。ローブを羽織っておるからわかりにくいが細身だと思う。
中性的ではあるが、シャルム国王の様な女性らしい感じはなく、しっかり男とわかる。なんて言うかこう……上品な顔立ちの男性?大人しそうな男性?とにかくそんな感じがする。
『何のつもりか校長が直々にお出迎えしてくれたみたいだね』
「えっ」
オタク思考モードに入っていた俺の意識を聖の言葉が引き戻す。驚いて男性を二度見してしまったが、男性は気にする様子もなくにっこりと微笑んだ。
「その通り、私はここで校長として勤めておりますケイオスと申します。ようこそ、キュルミナ魔法学校へ。あなたたちを歓迎いたします」
ケイオスさんは改めて深く礼をした。すごい穏やかで礼儀正しいヒトだな。
シャルム国王はちょっとアレとか言っていたが優しそうだし、物腰も丁寧だし、見た目も立ち振る舞いも完全に王子系だ。アレの意味が分からない。何がどうアレなんだ?
『見た目と外面に騙されちゃダメだよ』
はてなマークを浮かべている俺に聖がボソリと不穏なことを言ったので一気に不安が押し寄せて来る。なになに、ケイオスさん何を隠してるの。
「クロケルさんはどなたでしょうか」
言い知れぬ不安に震えているとケイオスさんが横並びになる俺たちをキョロキョロと見回した。考え事をしていたせいで一瞬反応が遅れたが、慌てて手を上げる。
「はい、俺がクロケルです」
視線を泳がせていたケイオスさんが俺に焦点を合わせ、頭からつま先までじっくりと見た後、俺の隣で浮遊する聖をチラッと見てから口元に手を当てて小さく微笑んで言った。
「へぇ、君が……」
な、なんだ。この意味ありげな言葉と視線は……。雰囲気も少しだけ変わった気がする。声もワントーンぐらい落ちていた。
そう言えばシャルム国王がある程度は事情を話しているって言ってたな。
まさか「あー。こいつが話に聞く高レア低レベルな奴かぁ」みたいな目で見られたのか?
いや、でもそんなことを思うようなヒトには見えないんだが、まさかなぁ。
「あ、あの。俺に何か御用ですか」
勇気を出して訪ねて見ればケイオスさんは何事もなかったかの様に微笑んだ。
「いいえ、なんでもございません。君のことはシャルムくんから聞いています。お話したいことがありますので、そこのAIくんと一緒に私について来てもらえますか」
また内緒のお話か。多分、俺と聖について確認したいことがあるんだろう。シャルム国王の時と同じパターンだ。
「要件はすぐに済みます。他の皆さまはとりあえず応接間でお待ちください。ああ、動物も入校可能ですので、そちらのフクロウくんも遠慮なく」
「ああ、それはどうも」
気を遣ってもらったにも係わらず、ミハイルは素っ気なく礼を述べた。
こうして俺と聖は一旦シルマたちと別れることになった。因みに、エクレールさんとプロクスさんはケイオスさんに挨拶をした後は用事は済んだのでと礼をした後、さっさと帰ってしまった。2人からすれば任務の1つだから仕方がないことだと理解できるが、なんだろう。事務的に対応されるって悲しいよね。
因みに、頂いた御礼の品は荷物になるからと聖が長パワーでデータ化し預かってくれている。異世界ってこういうところ便利だよな。無限にアイテムが入る鞄とか憧れだった。
呑気なことを考えている間に案内された先は校長室。壁が本棚になっていて一面が本で埋め尽くされていた。見たところほとんどが魔術書の様だ。どうやら校長は大層な本好きらしい。
中央には大きく頑丈な木製の机と赤いクッションが縫い付けてある大きな木製の椅子があった。インクと羽ペンもあり、普段はここで仕事をしているのだと言うことがわかる。
「どうぞ、適当に座って」
ローブを木製のポールハンガーに掛けながらケイオスさんが言った。ローブの下は黒のハイネックに白のパンツとシンプルな格好だったが、イケメン効果かすごくおしゃれに見える。イケメン、うらやましい。
邪な感情を抱きながら辺りを見渡すと応接用の椅子と机があったのでそこに座らせてもらった。聖は俺の頭の真横で無言で浮いている。
ローブを脱いで身軽になったケイオスさんは俺の正面に座る。暫くの静寂。話があるといったのに全然口を開かないケイオスさんを不思議に思い、声をかけようとしたその時だった。
「あはははっ、もう限界!無理!我慢できねぇ!タブレットになっているってマジだったんだな」
ケイオスさんが盛大に噴き出した。両手で腹を押さえて足をバタバタとさせながら、大口を開けて笑っている。
さっきまでの落ち着いた上品な雰囲気は見る影もない。心なしか口調も乱暴になっている。
「な、なんだ。急に雰囲気が変わったぞ」
『変わったんじゃないよ。こっちが本性』
「えっ」
うんざりとした聖の言葉に思わず目を見開いてケイオスさんを見れば、笑いすぎたせいで目じりに溜まった涙を指で拭いていた。
まだ笑い足りないのかヒーヒーと息をしながら返答があった。
「くっふふっ。そう言うこと。こっちが本当の俺、よろしくね、無能クン」
わぁ、失礼な仇名つけられた。あの時の視線はホントに内心で俺のこと朝笑ってたんだな。今もお手本の様な暗黒微笑をしていらっしゃる。やだー、性格最悪じゃん。
ちょっとアレってこう言うことか。魔法学校の校長はオネエと同じぐらい人気の高い外面王子系中身腹黒キャラだったのだ。
どうしよう、外見真っ白で中身真っ黒とか、俺の好きなタイプのキャラだ。デレ要素がなくても最終的に主人公に巻き込まれてほだされるタイプ。
あと、この手の腹黒キャラは第三者目線が必要な展開ではメタ的に言うとプレイヤーに心情をわからせるために、心の声が駄々洩れになるから面白いんだよな。
『こいつを目の前にしてまだそんなことが言える君がうらやましいよ』
俺の心を読んだであろう聖が隣で盛大にため息をついた。
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聖「次回予告。腹黒大魔神と関わってしまったクロケル。ケイオスは本当に問題が多い奴だから、今回の件が上手く進むか不安だなぁ」
クロケル「フィニィのこと、工魔術師のこと、あとは俺の魔力のことか。確かにやる事が多いな」
聖「全部タダで受け入れてくれるかな」
クロケル「え、怖い怖い。代償があるってことか?」
聖「次回レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1 第35話 『傍若無人、腹黒校長ケイオス』僕、こいつのこと嫌い」
クロケル「おおよそ世界を救った人物を指すとは思えない四字熟語だな」




