第24話 好きな子への束縛は大概にしろ
この度もお読み頂きましてありがとうございます。
あああ!昨日も投稿できなかった。でも今日は投稿できました……。
長くなってしまって申し訳ないですがお楽しみ頂けますと幸いです。
また、3月25日に23話を少し修正しました。鏡の中の女性の容姿について触れてあります(クロケルが絶叫しているあたりです)よろしければ今一度読んでやって下さい。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
穏やかながらも厳しい声に諫められ、あれだけ敵意をむき出しにしていたフクロウの強気と殺気が消え、眉を下げて鏡の中の女性に向き直る。
「で、でもラピュセル」
「でもじゃないの。下がりなさい」
キッパリと言われ、フクロウは一瞬だけ躊躇してから渋々シャルム国王と距離を取り、大人しくなった。
「みなさん。我が友人、ミハイルが無礼を働き誠に申し訳ございません。主として、誠にお詫び申し上げます」
鏡の中の女性は深々と頭を下げた。マイペースかと思いきや、礼儀がしっかりしていることに驚いた。それに毅然とした立ち振る舞いも様になっている。もしかしたら、元は育ちが良いのかもしれない。
俺が考察を始めていると、さっきまで怒り心頭殺戮モード全開だったシャルム国王が深いため息をついた。
「はあ、なんだか興ざめだわ」
吹雪がぱったりと止み、わずかだが室温も上がる。これは、シャルム国王の怒りが治まったってことでいいんだよな。
ああっ!よかった……突発的な争いに巻き込まれなくて本当によかった。最悪凍死するかと思ったぞ。
柄から手を離して戦闘態勢を解いた後、シャルム国王は改めて鏡の中の女性を見据えた。
「こちらの方こそ。見知らぬヒトの前で取り乱したことは謝罪するわ。でも、それとこれとは話は別。アナタはどちら様?」
「ラピュセルがここに居座ったんじゃないぞ。お前のじいさんがここへ閉じ込めたんだ!」
シャルム国王の問いかけに鏡の中の女性ではなく、フクロウが大きな目を吊り上げながら吐き捨てる様に言った。
「もう、そんな言い方をするから誤解されるのよ。ミハイル」
「でも俺は間違ったことは言ってない。俺はお前をここに閉じ込めたセレーニタ家の人間が大嫌いだ」
閉じ込めた、どういうことだ。ふと王族関係者たちの様子を窺えば、わずかながら動揺の色を示していた。
しかし、悪事が露呈したと言うよりは心当たりがないと言った意味合いが強そうな反応だ。どうやらここにいる面々は身に覚えがないらしい。
「どう言うことか説明して頂戴」
眉間に皺を寄せながら腕組みをし、シャルム国王が話の先を要求する。なんか、圧が凄い。先ほどフクロウに挑発された時ほどではないが、身に纏う纏う雰囲気が冷たくなったのが感じ取れた。
「その前に、まずは自己紹介しないとですねぇ。私はラピュセル。ラピュセル・マルグリットと申します。このフクロウは私のお友達のミハイルです。以後、お見知りおきを~」
毅然とフクロウを諫めていた時とは一変。のほほんとした雰囲気に戻ってマイペースな言葉を口にした。
鏡の中でペコリと丁寧に頭を下げるラピュセルさんとは異なり、フクロウは自分が紹介されてもツンとして外方を向いていた。なんでこのフクロウはここまで敵意を向けてくるんだ。
「ご丁寧にどうも。アタシはシャルム・セレーニタ。グラキエス王国の現国王よ」
シャルム国王が毅然と名乗り、それに倣い俺たちは順に名乗った。ラピュセルさんは穏やかに頷きながらそれを聞いていた。
ミハイルと呼ばれたフクロウは興味がないのかずっと目を閉じて明後日の方向を向いていた。
苗字があるってことはやっぱり高貴なお方だったのか。だとしたらなんでこんなところに、しかも鏡の中にいるんだ。
少なくとも2~3年はここに閉じ込められていたのに、衰弱している様子もないところを見るとやっぱり幽霊の類か?
今まで俺が目にしてきたエネミーの幽霊と違って随分ヒトに近いって言うか、鏡の中にいると言うこと以外は寧ろ人そのものだ。
「みなさん素敵なお名前ですねぇ。それに国王様はバチェル様とよく似ていらっしゃいます。お美しいですねぇ」
ラピュセルさんはうっとりとしながらシャルム国王を見つめた。バチェル、と言う名前に聞き覚えはなかったが、シャルム国王には心当たりがあった様だ。
「何故おじい様の名前を知っているのかは気になるところだけど、先にアタシの質問に答えて。セレーニタ家の人間がアナタを閉じ込めたってどういう意味かしら」
ゆったりのんびりとしているラピュセルさんにシャルム国王が少し強めの口調で聞いた。
自分の祖先が監禁事件を起こしていたかもしれないなんて俺でも嫌だよ。状況を理解したくて焦るシャルム国王の気持ちもわかる。ましてや王族だもんな。俺とは比べてのしかかる責任も大きいんだろう。
「そうですねぇ、どこからお話すれば良いのか……。ミハイル、お話して差し上げて」
ラピュセルさんがツンとした姿勢を崩さないミハイルにそう言えば、ぎょっと目を見開いた挙句、見るからに嫌そうに眉間に皺を寄せて言った。
「どうして俺が……」
「私は説明下手なの。ミハイルの方が効率的且つ適切にお話ができるでしょう。ね、お願い」
両手を合わせて微笑むラピュセルさんを見て「ぐぅ……」と唸った後、ミハイルは渋々と俺たちに向き直って話を始めた。このフクロウ、ラピュセルさんに対しては激甘の激弱なんだな。
「ラピュセルの家……マルグリット家は没落貴族なんだ。生活に困窮し、家も故郷も捨てて田舎でひっそりと生活していたんだ」
なんだか重い話になりそうだが、俺たちが聞いていいのか?気まずい視線をラピュセルさんに送れば、柔らかい微笑みが返ってきた。
「ふふ。気にしないで下さい。もう昔のことですし、隠す様なことでもないので」
ものすごくのんびりとお許しが頂けたが、やっぱり気が引けるなぁ。
「最初から鏡の中の住人じゃなかったわけね」
話を聞くつもり満々なシャルム国王の問いにラピュセルさんは笑顔で肯定した。
「はい。自由に草原を駆け巡ることも可能でしたよ」
『じゃあその体は後天性か。なら君のステータスにも納得だ』
ラピュセルさんの答えを聞いて聖が大きく頷いた。俺は1人で納得している聖を見上げた。
「どういうことだよ」
『うん。彼女のことをアナライズした際、レアリティは2のヒト型で元貴族って結果だったんだ。幽霊だという痕跡はどこにもない。レベルも15。よくも悪くも普通だったんだから。特殊な事情が後からついたんだなって思って』
「つまり、ラピュセルさんは幽霊じゃないのか」
『そうだね』
とりあえず霊ではないことに安心しつつ俺は思った。
レベルは15「普通」なんかい。じゃあ俺は現状一般人のラピュセルさんよりも弱いと。腕相撲したら負けるのかな。こんな細身の女性に?はは、笑えるぅ。
『寧ろそっちのフクロウ君が興味深いよ。魔族な上にレアリティ5。レベルも100ジャストなんだもん。そんな強そうなコがなんで動物の姿をしているのか興味深いな。ねぇ、教えてよぉ。君、本来はヒト型でしょ』
「あー!ウルサイ。なんだお前はっ」
タブレットの姿でグイグイとウザ絡みをする聖をミハイルが鬱陶しそうに大きな翼で追い払おうと試みる。
わかるよ、ミハイル。そいつ、ウザいよな。生前からあえて空気読まない奴なんだ。
「話が逸れてるわよ。どうしてアナタは鏡の中の住人になってセレーニタ家と関わり合いができたのかしら」
シャルム国王が話を早く進めようと結論を急げばミハエルが鋭い眼光でシャルム国王を睨む。
「順を追って話す。まずはラピュセルが鏡に入ったきっかけ、それは誘拐をされたからだ」
誘拐。その物騒すぎる言葉にその場の全員が固まり、のほほん笑顔だったラピュセルさんの笑顔も曇る。
「ええ、お買い物に出かけた際に……。昼過ぎではあったのですが、人気がなかったせいか狙われてしまったみたいです。複数人に襲われたので女の身では抵抗できず」
「まあ……なんと言うことでしょう」
シルマが悲しそうに口元を押さえて震える。その反応を見たラピュセルさんは慌てて笑顔を作った。
「あ!別に何かされたわけではないのですよ。単純に人身売買のための誘拐です。積み込まれた馬車には他の女の子たちもいましたから」
そう言う問題ではない。人身売買、それは立派な犯罪です。のんびりキャラかと思いきや、そんな悲しい背景があったなんて。
本人が話すことを許可したとは言え、辛いことを思い出させてしまったことに罪悪感を覚える。
『はぁ。とんだ胸糞世界だね。異世界っていってもロマンの欠片もないんだから』
聖が吐き捨てる様に言った。それは俺も同感だ。異世界は物語を楽しむ分には夢やロマンに溢れている反面、闇を抱える場面も多い。住んでいる国や地域にもよるが、下手をしたら俺たちがいた世界よりも理不尽な世界なのかもしれない。
しかも、そう言う世界に導いたのは前長だってのがまた闇が深い。俺は聖が長になってからの世界しか知らないけど、今までのクレイドルってひどい世界だったんだな。
「アキラがこの世界を救うまではどの地域も治安は最悪だったかね。そういうことがあってもおかしくないわ。でも、どうしてアンタはその時この子を助けなかったの。さっきの感じだとアンタそれなりに戦えるでしょう」
ミハイルを睨みつけてシャルム国王は言った。
確かにそれは俺も思った。こいつの戦闘能力はよくわからないが、気配を消して近づくことができるし、あんなヤバい姿になれるんだから。改めて先ほど自分の足元に転がっていた鋭利な爪の黒い腕を思い出して俺は震えた。
能力はそれなりに持っていそうだし、誘拐犯から救うぐらい容易いよな気もする。ラピュセルさんによると2人は友人なんだよな。戦える力があるのに危険な目に遭っている友人を助けないのは妙だ。
「助けたさ。と言うか俺たちが出会ったのはその誘拐事件の時だし」
「そうなのですか?」
シルマが目を丸くして聞けばミハイルは大きく頷いた。
「俺は元々この鏡の精霊なんだ。ラピュセルを襲ったのは盗賊団で、盗みも働いていてな。俺も盗品だったんだ」
「あの時は驚いたわ。放り込まれた馬車に大きな鏡があったんだもの」
ラピュセルさんはその時を懐かしむように微笑んでいたが俺は疑問を持った。
「自分が盗まれた時には抵抗しなかったのか」
ミハイルには気性が荒く、攻撃的な印象がある。そう思って問いかければミハイルは罰が悪そうな表情を浮かべだ。
「俺たちモノ憑きの精霊は主がいなければ力を開放することはできないんだよ」
「へえ。つまり、主がいなければただの喋る鏡ってわけね。それはそれでおもしろいんじゃない?」
先ほど己の在り方を気持ち悪いと揶揄されたことを根に持っているのか、シャルム国王の言葉が嫌味っぽく刺々しかった。
「うるさいな。精霊と言ったが俺の力は限りなく神霊に近いんだ。力さえ使えればあんな盗賊団なんて根絶やしにできたんだからな」
「はい。そのお話を馬車の中でお聞きしたので、命が助かるのならばと契約することにしてんです」
にっこりのほほんとラピュセルさんは言った。
「精霊との契約ってそんなに簡単にできるものなのか?」
『うーん。微妙なところだな。互いの同意があれば契約は成立するけど、ある程度の魔力は必要になるから』
何となく口にした疑問に聖は言葉を濁した。それに反応したミハイルが大きく丸い目を三角にし、くちばしをカチカチしながら捲し立てた。
「簡単じゃないぞ!契約した精霊は力を維持するために主の魔力をエサにしないと存在し続けることができないんだ。ラピュセルみたいに魔力を持たない人間が精霊と契約すると言うことがどう言う意味かわかるか!?」
突然怒りの感情をぶつけられ、俺はたじろいだ。何でこいつこんなに気が短いんだ。何を言ってもキレてきそうな感じがいろんなジャンルにいる過激派みたいで何か嫌。
『与えられる魔力を持たない者はその代わりに魂を分け与えなければならないんだよね。しかも君の場合、レアリティも高そうだし主からのエサはたくさん必要そうだね』
「ああ。その通り。強い力を持つ俺は代償も大きい。だから、俺と契約を結ぼうと申し出る奴なんて1人もいなかった。俺を受け入れてくれたのはラピュセルが初めてだった。俺に自由をくれたのはラピュセルなんだ」
ミハイルはそう言ってラピュセルさんを見つめた。ラピュセルさんはその視線に微笑みを返して言った。
「私もあの時はどうしても助かりたかったから、お互い様よ」
そう言って2人は優しい表情で見つめ合った。
お、なんだこの2人、見えない絆で結ばれている感じか。侍従でもなく、恋でも愛でもないと言う謎の硬い絆がある気がするぞ。
こんな時に不謹慎だとは思うが、あえて言おう。俺、そんな関係大好物なんですが!
「契約は成立。俺はその日から使い魔となった」
「使い魔、ではなくお友達よ。ミハイル」
ぷくっと頬を膨らませながらラピュセルさんが注意すればミハイルは言葉を詰まらせながらも言い直した。
「……友人になった俺は、同じく馬車に積んであった盗品で一気にレベルを上げて盗賊を根絶やしにして、囚われていた奴らも全員解放したんだ」
今、さらっと盗品でレベル上げしてませんでしたか。それはアリなんですか。でもなるほど。貴重な素材なら盗賊がため込んでいる場合もあるのか。……つまり、盗賊を襲撃すればレベル上げが楽に?
『ダメだよ、クロケル。そんなこと考えちゃ』
「本気じゃねし。あと、心読むなし」
正直に言えばちょっと気持ちが揺らいだけど。俺が唇を尖らせて拗ねている間にも話は進んで行く。
「盗賊団から逃れた後、ラピュセルの人生を変える大きな出来事が起こったんだ」
ここまででも十分波乱が起こっているのに更に不運が襲うのか。複雑な気持ちを抱えながらもミハイルの話に耳を傾けた。
「助けたヒトの中に某国の姫君がいたんだ。姫本人から御礼にと国へ招かれたが、魔族である俺を友人と呼んだせいで盗賊団の仲間だったのではと自作自演を疑われた」
ミハイルは悔しそうにくちばしをギリギリと鳴らしながら言った。
「とんだ言いがかりね。姫君が誘拐された事実を隠蔽したかったのかしら。一般人の女性に助けられたなんて、お国にとっては恥ですものね」
シャルム国王が腕組みをして眉間に皺を寄せれば、隣でクラージュが真顔で言った。
「ものすごい貧乏国でラピュセルさんに報酬を払うのが惜しくなったと言う可能性もありますよ」
うん。黒い。どちらにしても背景が黒すぎる。王族ってそんなにプライドが高いのか。怖いなー。関わり合いになりたくねぇ……と思ったがもう関わってたわ。
「ラピュセルが無理やり取り押さえられて、死刑だとか言い出すもんだから、俺はその場で王族たちに攻撃をしてしまった。結果、ラピュセルは危険因子として魔術師の手によって俺と共にこの鏡に封印されたんだ」
「結局、お父様とお母さまの元へ帰ることは叶いませんでした」
ラピュセルは悲しそうに眼を伏せ、ミハイルも辛そうに表情を歪めながら話を続けた。
「封印されている間の意識は正直ない。力も意識も完全に封じ込められていた」
「鏡に閉じ込められた以降は私と言う存在は時空から断絶されてしまったらしく、老いることはなく、ただずっと、眠っておりました。そして、ある時にやってきたのが当時のグラキエス国王のバチェル様でした」
いよいよセレーニタ家の人間のご登場か。バチェル様とやらは現国王の祖父にあたるのだから、先々代と言うことになるな。
「バチェルが封印を解いてくれたおかげで俺たちは目覚めることができた。そして俺たちを封印した国はモンスターの進行によって滅びたと聞かされた。自分は他国の王として調査に来たと言っていた」
「お城の奥に封印されていた私たちは奇跡的に助かったみたいです。調査中に発見して頂けました。そして年月の経過を知ったのです。私たちは廃墟となったお城の中で、長い間鏡の中で過ごしていた様ですね」
ラピュセルさんは穏やかな表情で目を閉じた。そしてゆっくりと目を開けて寂しそうに言った。
「封印は解かれても鏡から出ることは叶いませんでした。長い年月の中で私の魂と鏡がしっかりと結びついてしまったみたいです」
『封印の影響で鏡が本体になったってわけだね』
聖が簡潔にまとめるとのんびりとした肯定の言葉が返って来る。
「はい、その通りです。主を得たことによってミハイルが自由に動けるようになったのは救いですけど」
ラピュセルさん曰く、主を得た精霊は行動制限が解かれ、憑いていたものから離れても問題ないらしい。
自分だけ自由を手に入れてしまったミハイルは複雑そうな表情を浮かべ、そしてシャルム国王を睨んでキツイ口調で言った。
「問題はここからだ!国王は鏡本体とラピュセルに一目惚れ。城に持ち帰ることにした。この鏡を宝石まみれにしたのは国王なんだぞ」
「惚れっぽい上に貢癖があると言うのは実におじい様らしいわね……」
先々代の趣味に心当たりがあるのか、シャルム国王は肩をすくめ、呆れた様子で首を左右に振っていた。
確かに、このギラギラ宝石趣味は俺から見てもちょっと大分キツイ。
「最初はラピュセルに対して友人の様に接していた。鏡を自室に飾ってお茶をしたり、本の話をしたり。和やかなヒトだったから、俺も咎めることはしなかった。俺のせいでまたラピュセルがあらぬ疑いを掛けられてはいけないと、身を潜めていた」
ミハイルは彼なりにラピュセルさんの幸せを願っているんだな。荒っぽくて印象は悪いが、今思えばラピュセルさんを守るような行動と発言が多い気がする。
「だが、ラピュセルに惚れ込んだ国王の独占欲は次第に強くなり、ついにはこのコレクション部屋に鏡をしまい込み、自分以外はラピュセルの姿を見ることができない様にしたんだ」
苛立ちを露わにしながらワナワナと震え、怒りを湧き上がらせてミハイルは言った。シャルム国王の切れ長の目が大きく見開かれる。
「つまり、おじい様がここにアナタたちを閉じ込めた張本人ってわけ」
シャルム国王は綺麗な顔を引きつかせながら事実確認をし、それにミハイルが即答した。
「ああ。その通りだ」
シン、とその場が静まり返り、気まずい空気が流れる。そこにいる誰もが必死で言葉を選んでいた。
ラピュセルさんのことを思えばこの空気も当然だ。だって濡れ衣着せられて封印、からの解放、からの束縛監禁なんて災難どころの騒ぎではない。
なんと、シャルム国王のおじいさんは束縛系な男性だったのだ。いや、誰にも見せたくないからコレクション部屋に閉じ込めるとか大分アウトな犯罪では。
鏡の中の人間に法的ルールが適用されるかは謎だが、これだけは言える。好きな子への愛情表現も大概にしろよ。
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聖「次回予告。ヒロインポジが続々登場なのに、ことごとく他に相手がいてなかなかハーレムできないクロケル。でもトラブルばっかりでレベル上げもできない。そんな主人公に誰がついて行くと言うのか」
クロケル「お前やっぱ俺のバカにしてるな。後、前から思ってたけど毎回次回予告になってないんだよ」
聖「じゃあ、千里眼で未来を見てぇ……うん。クロケルのトラブルは続きます」
クロケル「うぐぅ」
聖「あはは。効果は抜群だ!ってね。次回レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1 第25話 『鏡の姫の新たな居場所』君って本当に面白いねぇ」
クロケル「俺、なんでお前と親友なんだろうな」