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第184話 協調性がない奴らが集まるとやっぱり話が脱線する

本日もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


仕事をしているとアレですね、お金かプライベートが天秤にかかりますよね。職種にもよりけりでしょうが良い感じの位になるとお金は貰えますが責任とか、休日出勤とか言い渡されるし……。


かと言って昇進しないで現状維持だとお給料が……ってなるので。生きるって難しい(泣)楽して両方手に入れたぁーい!(強欲)


本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 話が緩やかに脱線し始めてからはいつもの如く、ぐだぐだが急加速。かつての仲間たちに笑われ、最初は何とか耐えていたアストライオスさんだったが、暫く経っても全くと良い程笑いが治まる気配はない。


 寧ろ主にケイオスさんを中心に大爆笑が止まらない状況が続くので我慢の限界がたらしく、青筋を立てて「いい加減にせんか」とブチギレの大絶叫。だが、現在大爆笑中のメンバーにそんな怒鳴り声1つで委縮する者はおらず、笑いは収まらない。


 そして、その騒動の中でもエクラは傷心中のフィニィの前でライアーへの冷遇を平然と口にしたアストライオスさんに対して「まだ話は終わっていない」と更に詰め寄って、それを言われたアストライオスさんがまた言葉を詰まらせ、仲間たちが噴き出す、の繰り返すだった。


 何、コレ。どんな状況。何でこんなに自然な形で話が脱線するんだ。もうコレ才能だよ。なんつー無駄な才能……。


「はあ……。話し合いを始めた時点である程度の予想と覚悟はしていたけれど……どうしてこうなるのかしら。やっぱり協調性がないとおのずと話も脱線してしまうのかしらね」


 俺が眩暈を覚えている以上にシャルム国王もこの状況には相当頭を痛めている様だ。うん、国王もたま~に話を脱線させる一員に加わることはあるけど、比較的真面目に話を進行させてくれるもんな。


「ああ、悪い悪い。だって、いーっつも偉そうにそうにしているアストライオスが孫の尻に敷かれて筋肉ごとしょんぼりしている姿なんて中々見られねぇからツボに入っちゃってさ。話、続けようか。えっと……何の話をどこまでしたっけ」


 一番大ウケしているケイオスさんが目元に溜まった涙を指で拭って緩く謝罪をした。しかも自分が話を脱線させたきっかけのくせに平然と会議を続けようと言っている。掻き乱すだけ掻き乱しておいて平然と話を戻すのか。ホント自由だなこのヒト。


 シャルム国王は反省している風を装いながら全く反省していないアストライオスさんをジロッと睨みながら、足を組み直しうんざりとして言った。


「ライアーをどうするか、アストライオスに判断をまかせるのか。と言うところから話が進んでいないわね」


 若干、いや大分苛立ちながらそう伝えるとケイオスさんは全体体重をソファーの背もたれへ預けてもたれかかり、両手を頭の後ろで組んであっけらかんとして言った。


「ああ~、そうだった。なんだよ、議題が出てから全然話が進んでねぇじゃん」


「ええ、そうね。主にアナタのせいでね!」


 他人事の様なその発言に今度がシャルム国王がブチギレそうになっていたが、ここで文句を重ねてはまた話が脱線してしまうと考えたのか、必要最低限の文句を口にした後は怒りを押し込む様にして口を閉ざした。


「そんなに怒るなよ。意見を出せばいいんだろ。ちょっと待て、今考えるから」


 ケイオスさんは呆れるぐらい超適当な態度でそういうと、目を閉じ、眉間に皺を寄せてうーんと考える素振りを見せた。大分動きがわざとらしいが本当に真面目に意見を出そうと思っているのだろか。


 さっきまでライアーの説得が何度目かのお流れになった時に同じことの繰り返しは良くない的な反応を一番示していたくせに、今後の展望についての話し合いで今一番適当になっている気がするのは何故なのか。


 あー、なんだろうこのグダゆる展開は……何かさっきまでのシリアスが嘘みたいだな。よく考えたら俺は2つの家族の訣別の場に居合わせたことになる。


 1つはコクリコさんとライアー、1つはアンフィニ、フィニィ兄妹。どちらも一度は聖夜たち神子一行によって打ち倒されコクリコさんと事実上の死別。そしてつい先ほど現長である聖のチート的力によって残留思念と言う形で再会し、間もなく別れた。


 もっとお互い伝えたいことがあっただろう。もっと一緒にいたかっただろう。コクリコさんに未練はなくなったようだが、残されたものたちには様々な思いや傷を残す結末だった様にしか思えない。


 今思い返しても中々に重い展開である。こんなおやつを食べながら仲間に苛立ったり、バカにしたりする展開に持っていけるのが不思議なぐらいドシリアスな時間だった。


 こんなことを思うのは不謹慎かもしれないが何故、俺は異世界に転生できたと言うのに、ハードな事情を持つ家族の永訣の別れの場に立ち会うことになっているんだろうと。そんな人生中々ない。いや、あってたまるか。


「はーい、紅茶のお代わりのヒト~」


「あ。俺、お代わりが欲しい」


 緩くなり始めた空気を更に緩くするエクラの言葉に一瞬脱力はしたものの、俺はスマートに挙手をしてお代わりを貰うことにした。


 度重なるシリアスな空気と緊張感に精神が慣れてしまったたのだろうか、モヤモヤムカムカしていた心が自分でも驚くぐらい突然スンッとなって行くのが分かる。


「はいはい、どうぞ~。他の飲み物も用意してあるからね、できる限り答えるからご希望があればどうぞ~。クロケルさんも紅茶以外のものが欲しかったら言ってね」


「いや、紅茶でいいよ。ありがとう」


 エクラは俺のティーカップに紅茶を注ぎながら、周囲に希望を取った。


「じゃあ、俺はアイスフロートがいい~」


「ワシはブラックコーヒーが欲しいのぅ」


「我はレモンスカッシュを所望するぞ。氷は抜きで」


 その言葉に遠慮することなく、ケイオスさん、アストライオスさん、シェロンさんが好き勝手に注文を口にした。ここはレストランかな?


 まあ、俺もお代わりをこうして貰っているから他人をとやかく言えないが。シルマとシュティレも高紅茶のお代わりを希望し、シュバルツは自分では決めきれなかった様なのでエクラの進めでアイスを貰っていた。


 シャルム国王は緩々の現状に頭を悩ませていてキッパリとお代わりを断り、フィニィは特に希望はぜず、まだ己の気持ちを整理中、アンフィニ、ペセルさん、アムール、ミハイルは飲む必要はないとのことで申し出を辞退した。


「はあ、何か一周回って落ち着いて来たぜ」


 温かい紅茶を口にして気が緩んだのか俺からそんな独り言が漏れた。人間って精神が極限状態になると冷静になれるのかもなぁ。いや、気が抜けた、もしくは諦めの境地と言う奴なのかもしれないが。


 でもよくある“極限状態”って自分のピンチを迎えた時のことを指す気がしなくもない。アニメとか漫画で主人公が覚醒するシュチエーション、なんか、そんなイメージ。


 そう思うと碌に戦いもしていない俺がただ見ているだけで精神をすり減らしただけでスンッてなってる俺、格好悪くね?いや間違いなく格好悪いにも悪いにも程があるよね?この世界に転生してからずーっとカッコ悪い。


 じゃあ戦いに参加しろって言われても、雑魚が出しゃばるのは良くないと思う。二次元の世界でも戦闘能力のないキャラが勇気を出して戦って結果、仲間の足を引っ張る様な展開になったら炎上案件である。


 でも、でもだぞ!?そりゃ弱いのに余計なことをするなとは思わなくもないが、キャラ成なりに頑張ったんだから多少は褒めると言うか見直す場面では?とも思うけど世知辛いな~。多分俺は炎上する側なんだろうなァ。すっごい嫌。


 ……炎上する場所なんてないけど、何となくそう思いう。SNSが発達した社会で生きていた者の性って悲しい。


 かと言ってカリスマ的口上でみんなの精神を支えるなんて言う才能も甲斐性は持ち合わせていない。何故なら元の俺のポテンシャルはモブだから。


 自分が雑魚すぎてすっかり自分の容姿を気にしなくなっていたが、外見が魔族で長身のイケメンであっても中身がモブなら宝の持ち腐れ。外見の無駄遣いなのである。ああ、考えただけでも非常に悲しい事実。


 もうヤダ、こんなの俺の知ってる転生ものじゃない。モブのまま転生して、特に特殊能力にと言うか何故に転生前のモブステータスを転生後にも継いでしまうシステムなんだよ!


 いや、モブがどうのとか以前に高校生までの人生しか知らない俺に“世界の命運”だの“大切なヒトとの永遠別れ”だのと言われても背負いきれるか馬鹿!



 総合的に見てどこまで言ってもレベル1の俺は傍観者に徹するしかないのである。あれ、それってレベル以外は聖とかわらなくね? 


 異世界召喚されたらドキドキワクワクな展開が待っているものなんじゃないのか。別の意味でドキドキだわ。ハラハラしかしねぇわ。


 緩み始めた平和的な空気の中、俺は己のメンタルが木綿豆腐レベルで、心身共にモブ雑魚であることを改めて自覚し、1人情けなさに打ちひしがれて紅茶を持ち上げた状態で項垂れた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!僕たちは!緩いぐらいが丁度いい!やっぱりさ、辛いばかりじゃ精神的にしんどいもんね!自発的に息抜きできる僕たちって偉い、天才!物事のメリハリはとても大事!」


クロケル「その“息抜き”が差すものが“話の脱線”を示すのであれば考えを改めろ。俺たちは集まって話をする度に話が脱線してんだよ。もう意図的かってぐらいになっ!メリもなければハリもない。大問題だわ」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第185 話『脱線は続くよ、どこまでも』せっかく僕がフォローしてあげているのに、そんな目くじら立てなくてもいいじゃないかぁ」


クロケル「イライラもするわ!どうして毎回シリアスからギャグってかユルムードに突入できるんだ。真面目な気持ちをを持続できねぇ奴多すぎだろ!もうツッコミ疲れたわ」


聖「クロケルって生前は細かいことはあんまり気にしないし、イライラした感情もあんまり持たないタイプだった気がするけど……この世界に来てカルシウムが足りなくなったのかな。サプリメントとか買う?」


クロケル「生憎これはいつもの胃痛と同じで薬でどうにかなる様なモンじゃねぇんだよ。精神的なやつだからなっ」


聖「ふぅん、じゃあ精神的に鍛えないとねぇ」


クロケル「簡単に言ってくれるなぁ、オイ」


聖「でも、それしか方法がないじゃない?」


クロケル「そんなすんなり精神が鍛えることが出来る環境ならとっくにレベル1から脱却できとるわ!」

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