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第182話 時には潔さも大切です

この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


本日はバレンタインデーですね!小学生までは意中の相手にチョコ作ってアピールするぞ、ドキドキッ。とか思っていましたが、大人になった今、バレンタインデーは豪華なお菓子を作る日に変わりました……。


お金がかかる。買った方が安くつくわ、絶対。プロでもないのに我ながらようやるなぁと呆れております。なお、今年はオペラ風ケーキとカヌレを作る予定ですがさて上手く作れますかねぇ。


本日もどうぞよろしくお願いいたします。

「はぁ……確かに、状況を見てもここは一旦切り上げるしか方法はなさそうね」


 数秒だけライアーを眺めて大きなため息をついてシャルム国王が話の流れを作った。眉間に皺を寄せてうんざりとしている様子を見るに、国王も行動がパターン化してしまっていることを良く思ってないっぽい。


 この状況を良しと思っていないものの、他に方法がないから仕方ない、と思っていることがありありと伝わってくる。


「あたしもとりあえずはあのヒトを賛成かなぁ。だって、娘さんのことで心も思考も疲弊しちゃってると思うし、必要以上に精神的負担をかけるのも良くないと思う」


 心根の優しいエクラは迷いなくライアーの精神面を優先した方がいいの述べ、同じく優しい性格であるシルマがその意見にコクコクと首を小刻みに上下させて同意する。


「はい、私もエクラさんの意見に賛成です。聖さんの言うように抵抗をされないようにきっちり対策をしていれば、脱走されるようなこともないと思いますし、焦らなくても良いのではないでしょうか」


「ああ、クロケル殿の精神状態も気になるところだが、今のライアーの精神状態ではまともに話を聞けないだろうだからな」


 この意見の提案者シュティレであるシュティレも深々と頷き、国王と彼女らの意見を聞いた渋い顔をしていた面々も納得し始める。


「仕方ないのぅ……まあ、捕虜部屋はまだ余っておるし、ワシが奴に施した魔術はそう簡単には解除できん故、無駄な心配はする必要がないが……全くもって面倒くさい状況になったのぅ」


 アストライオスさんはライアーとの話し合いの場を一旦取り止めにすることを受け入れながら自分の魔術の効果を自画自賛し、最終的にはこの状況を面倒くさがると言う器用な反応を見せた。


 このじいさん、未来視の能力に制限がかかっていても結構余裕だな。レベルの高さは心の余裕ってか。うらやましいわ!


「我も同じことの繰り返しと言う面では容認できんところもあるが……この事態を適切・確実に解決するのであれば、ライアーの精神的な回復を待った方が良いかもしれぬなぁ」


 シェロンさんも顎に手を当てて少し余裕がある様な態度でうんうんと深く頷いていた。ある程度意見を聞いた後、シャルム国王がこくりと小さく首を縦に振り、毅然としてみんなに声をかけた。


「話は決まったわね。ライアーに精神的な休息を与えると言う方向でに同意、と言うことでいいかしら」


 その確認の言葉にケイオスさん以外のほとんどのメンバーが首を縦に振った。


 ちなみに、なぜ“ほとんど”なのかと言うと、シュバルツは相変わらず状況判断ができないようで始終ハテナマークを浮かべていて、俺やシルマが納得しているならいい、と結論付けていたからである。


 更に言えば自分の存在がライアーにバレてしまうと己の存在が消えてしまうリスクがあるので、多少辛辣な言葉を挟んできた場面はあったものの、使い魔的フクロウに徹し、極力大人しくしていたミハイルは好きにしろと言わんばかりにどうでもよさげに首を縦のに振っていた。


 アンフィニはしっかりと同意の意思を示して首を縦に振っていたが、フィニィはコクリコさんが目の前で消滅してしまったことへのショックに耐えきれなくなって、彼女が消えるまで我慢していた涙を溢れさせていたため明確な答えを返せる状況ではなかった。


 そう言った状況を全部加味して“ほとんど”と表現したのである。でも実質不満や反対意見についてはケイオスさん以外は持っていなさそうだと判断していいだろう。


 ならばケイオスさんを説得しないと、と思っていると俺よりも早く動いたペセルさんがにこにこと眩しいアイドルスマイルを浮かべてケイオスさんの顔を覗き込んで言った。


「ケイくん、そんな渋~い顔しないの。みんなも納得しているみたいだし、ここは一旦退散しよう。ねっ!」


「そうね、納得できない気持ちは理解できるけど……時には状況を見て潔く諦めることも大事よ。と言うか、アンタ1人の感情で決まりかけている話の調和を乱さないで頂戴」


 ペセルさんからは優しく諭され、シャルム国王からは注意が交じった説得の言葉を受け、ケイオスさんは軽く盛大な舌打ちをした。行儀悪いな、不機嫌さMAXじゃんよ。


「あ~、ハイハイ。ワカリマシタ~。みなさんの意見に従いますよ。とりあえず休息できてラッキーだと思っておくさ」


 頭を掻いて面倒くさそうに妥協してますよアピールを盛大に盛り込んだ言葉で合意してくれた。まあこの状況で反対意見をゴリ押しされても困るしビックリだがな。その辺りはちゃんと空気を読んでくれるヒトでよかった。


「さあ、ケイオスも納得したことだし、これ以上時間を無駄にするのも馬鹿らしいから早くこの部屋から出て次の行動に移りましょう。現状がに変化がないのなら、変化が訪れる様に努めないとね」


 何とか話がまとまったのを見計らい、シャルム国王がみんなを見渡してこの部屋から出て行こうと促した。あの思い空気と放心状態のライアーを目の前にしてこの気持ちの切り替え方……しかもちゃんと今後のことを考えて指示を出せる子事の余裕よ。


「変化が訪れる様に努めるって具体的にはどうするつもりだ?」


 面倒臭さが限界を迎えたのかケイオスさんからあくびをしながらの問いかけを受けたシャルム国王は、その適当な態度をジト目で睨みつけてから言葉に詰まることなくさらりと提案をした。

 

「今後を見据えた作戦会議しかないでしょう。説得はもちろんだけれど、今後のライアーの扱いについても考えて行かないとね。あと、彼が作り上げたネトワイエ教団をどうするかも視野に入れて行かないと。団員はライアーがアタシたちに捕らえられた事実をしらないわけだしね」


『うわー、問題山済みじゃん。やっぱりゆっくり1個ずつ問題を解決していかないとだねぇ。こりゃ大変だぁ』


「お前……本当に大変だと思ってるか?」


 シャルム国王が並べた問題の数々に俺が頭を抱えている傍で聖が他人事の様な口調で発言したため、眩暈を覚えていると、エクラの目が突然輝きを見せる。


「作戦会議!じゃあ、またお茶とお菓子を用意しないと!」


 ……こっちにもいたよ。呑気なヒトが。


「ああ、うん。それは有難いが……量はほどほどにしておいてくれよ……」


 これまで提供された食事のボリュームと品数が脳裏にフラッシュバックした俺は、既にウキウキな料理好きでもてなし好きのエクラにやんわりとお願いをした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!一進一退を繰り返す展開。シーソーゲームってまさにこのことだよね。世界を守るって本当に難しいねぇ。作戦会議でいい案が出ればいいんだけど……」


クロケル「凄く今更だとは思うが、俺、世界の命運をかけた戦いって実戦って言うか血で血を争う感じのイメージがあったんだが、戦闘がほぼない対話メインのホワイトな世界の守り方もあるんだな。拍子抜けだわ」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第183話『何十回目の作戦会議』でも、君はレベル1の紙耐久で豆腐メンタルのヘタレくんなんだから、血を見ない戦いの方がいいでしょ。願ったり叶ったりな状況じゃない」


クロケル「なんかすげぇ言われ様な気がするがそれについては一旦置いておくとして……血にまみれた戦いを回避できるのは光栄だが、敵と対話するだけでこんなにじれったいのも何か嫌だなぁと」


聖「もぉ~我儘だなぁ。戦いたくないなら今の状況を素直に受け入れて流されればいいのに」


クロケル「いや、流されるのはよくないだろ」


聖「でも僕が見るに君、めっちゃ流されてるよ。主に不運な運命の渦に」


クロケル「それ、流されているんじゃなくて巻き込まれてるって言うんじゃねぇか?」


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