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第179話 さようならは晴れやかに

この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


話が、まとまらない!もうどうしましょう。これが碌に設定を決めずに軽い気持ちで書き始めたツツケと言うやつですか。そうですか。辛い!


創作活動をしているとよくありますよね~、技術が自分のイメージに追いついてくれないってやつ(お前に才能がないだけだよ)


何とか形にして物語をかたちにするぞぅ(カラ元気)


本日もどうぞよろしくお願いいたします。

「ヒックッ……そ、そんな!あ、謝らないで下さい。わ、わたし、長様が何をしていても、どんな事実が、ヒックあっても、ううっ、どんな信念があっても、ぜ、絶望も、ショックも……っ、し、しませ……ッヒック」


 世界を消滅させる決定を下していることは伝えていたものの、意図的にモンスターを操り。のフィニィとアンフィニィに黙ってモンスターを操り、それを意図的に早めていた事実を詫びるコクリコさんに向かってフィニィは涙が四方に散る勢いで力いっぱい首を左右に振った。


 事実を知らされたとて怒ってもいないし、嫌ってもいない。それを伝えようとフィニィは懸命に言葉を紡ごうとするが涙と嗚咽がそれを拒み、上手く気持ちが伝えられない様だった。


 自分でもそれがもどかしいのか、フィニィは口元を何度も激しく息を吸っては吐いてを繰り返し、嗚咽に耐えて何とか言葉を発っそうと試みているが、伝えたい言葉は音や形になることはなく、ただ口元がパクパクと開閉するだけだった。


 そんな彼女を見兼ね、その気持ちを代弁すべく同じく“家族”であり、恐らく共通の想いを抱いているであろうアンフィニが代りに自らの気持ちをよく目を凝らさなければ認識できないほど体が透けてしまっているコクリコさんに伝える。


「フィニィもフィニィも長様を軽蔑したりなんかしません。確かに、事実を知ったときは驚きましたが、俺たちは元々世界の消滅に同意していたと同時にそれを望んでもいました。なので、それに基づいた行動を俺たちが否定することや責めることはないし、権利も持ち合わせておりません」


「アンフィニ……」


 この世界の消滅に同意していたこと、それに対して迷いも戸惑いも、そして疑いすらなかったことをハッキリと明言したアンフィニを見て、つい最近まで信念ん違いから対立していた相手だったことを思い知らされた。


 よく考えたらアンフィが俺たち側に付いたのは復讐に全てを捧げて身を滅ぼそうとしていたフィニィを救いたいだけだったもんな。世界の命運と言う側面から見れば、まだ食い違うところもあるのかもしれない。


 うん、ちゃんと話合ったら多分あるんだろうなぁ。今もこうして一緒にいるのもライアーやコクリコさんが絡んでいて、共通する目的があるからなんだろうな……。


 最近は気兼ねなく話せるようになってきたような気がしたんだが、そう言う背景や事情があると思うと、何かちょっと寂しい様な……。


「そう。そう思ってくれているのなら、嬉しいわ」


 ふと感じてしまったアンフィニたち兄妹と俺たち神子一行の関係者側の複雑な心の距離感に何とも言えない寂しさを覚えている俺とは対照的に、“家族”から温かい言葉を向けられたコクリコさんは嬉しそうに微笑んだ。そして直ぐに悲しそうな表情に変わる。


「ああ、でもどうしましょう。そんな優しい言葉を愛する子たちからかけられたらせっかく消える決心がついたのに揺らいでしまうじゃない」


 コクリコさんは嬉しさと悲しみ、そして喜びと寂しさを交互に表してコロコロと心情と表情を変える。色々な感情が入り混じって表現しきれないほど家族に対して複雑な想いと未練を感じていたと言うことが理解できる。


 とても複雑そうな表情を浮かべるコクリコさんに同じく複雑な想いを抱える兄妹は返す言葉も

表せる感情もわからず、黙って彼女の言葉を受け止めることしかできなかった。


 誰も発言することが出来ない、何度目かの重く気まずい沈黙。浅く深呼吸をした後、コクリコさんがゆっくりとした口調で沈黙を破る。


「フィニィ、アンフィニも、こんな形の再会と別れになってごめんね……。でも、あなたたちを家族っだと思っていたのは本当だから。それだけは信じてね」


 彼女は困惑している様にも、はにかんでいる様にも見える感情表現に困った笑みを愛しく思う“子供たち”に向けた。


 それを受けてアンフィニィは切なそうに顔を歪め、言葉を返そうとしていたが、上手く形にできないのか辛そうにそれを飲み込み、フィニィは感情が昂って言葉を紡ぐことができない状態だったが、信じると言う気持ちを伝えたかったのか何度も首を縦に振った。


 返事はできない状態ではあるものの、フィニィとアンフィニからの信頼は失われていないと知って安心したのかコクリコさんは、ホッと胸を撫で下ろしそして、再び度重なる精神的ショックに耐えきれずに項垂れるライアーへと視線を戻した。


 コクリコさんの体はもう目視で認識するのは難しいレベルにまで消えかかっている。いや、ほぼ消えていると言ってもいいだろう。誰が見ても、もうすぐ本当に“最期の別れ”が近付いていることは明白だった。


「ごめんね、お父さん。途中で話が逸れちゃった。でも私も私の家族とちゃんとお別れしたかったから時間を使っちゃったことは許してね。で、最後はお父さんの番だよ」


「最後なんて、言わないでくれ……せっかく再会できたのに、嘘でもフリでも、私と共にあろうとはしてくれないのかっ」


 もうすぐ消える運命を受け入れ、気丈に微笑むコクリコさん見つめてライアーは消え入りそうな声で縋る様に、そして弱々しく言った。消えると分かっていても、それを受けいれたくないと言う感情が伝わって来る。


「うん、本当にごめんなさい。謝ってばかりだけど……これしか言える言葉が見当たらなくて。私が消えるのは決定事項だし、優しい言葉や出来もしない約束の言葉で変な期待とかさせる方が罪悪感があるから」


 コクリコさんはそう言ってまた気まずそうにライアーから視線を外したがそれはほんの一瞬で、直ぐにライアーを見つめ直して力強く真っすぐな言葉を続けた。


「家族には嘘をつきたくない。だから、私は非常かもしれないけど事実しか伝えない」


「……っ」


 きっぱりと強い意志が込められた言葉を投げかけられてしまったライアーは言葉を詰まらせて戸惑っていた。


 消えゆくコクリコさんに伝えたい言葉も想いもあるだろうに、感情がいっぱいいっぱいでまともに言葉を紡げない自分を悔しく、もどかしく思っているのだろう。


 ライアーは懸命に言葉を紡ごうと何度も口を開けては閉めてを繰り返し、やはり想いを言葉にできずに唇を噛みしめ、拳を握りしめてもどかしさから来る怒りの感情をそちらへ流している様にも見えた。


 そんな姿を見せられ、敵ながら見ていられないほど気の毒に感じてしまうが娘であるコクリコさんはその態度すら柔らかく受け止めた。


「突然いなくなって、突然再会が叶って、意味の分からないお願いをされて、理解もできない内に見えて行く親不孝な娘に色んなことを言われて直ぐに納得できないのは分かるよ。でも……でもね」


 コクリコさんは言葉を紡いでいる途中で溢れそうになった悲しみと涙を堪えて一旦言葉を切り、それから勢いをつけて続けた。


「これから私が本当にこの世からいなくなった後お父さんがどんな選択をしても自由だけど“これからは自分のために生きて”って言ったに私の言葉は心のどこかに留めて貰えると嬉しいな」


「コクリコ、コクリコッ」


 返す言葉を形にできない代わりにライアーは掠れた声で繰り返しコクリコさんの名前を口にしていた。


 体が半透明状態のコクリコさんから紡がれる言葉がエコーがかかった様に響き始めていた。恐らくタイムリミットなのだろう。それを悟ってか彼女は最期の力を振り絞って言った。


「お父さんありがとう。大好きだよ、私の魂が消えてもこの気持ちは本心だし、絶対に消えないから。じゃあね、さようなら」


 コクリコさんは最後に晴れやかに笑い、明日また会えるかの様に軽やかな別れの言葉を継げた。同時に一筋の涙を頬につたわせた後に金色の光となって弾ける様に消失した。


「コクリコっ」


 ライアーが手を伸ばすも、僅かにコクリコさんの形を成していた光は無常にも直ぐに掻き消えてしまった。愛娘を求めて伸ばされた手がゆっくりと下ろされ、ライアーは糸が切れた人形の様に力なくガックリと項垂れる。


 また悲しくて切ない空気が空間を支配する。当然のことながら、誰もかける言葉が見つからず、誰も何も言葉を発することもない長い無言の時間がこの空間を支配した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!ねぇねぇ、コクリコの世界に対する未練がなくなったって大きな収穫だよね?ライアーの説得って面では微妙なところだけど、世界を滅ぼそうとした前長を結果的に改心させて成仏させたんだから残留思念を具現化させた成果はあったよねっ、ね!」


クロケル「お前は誰に対して釈明しているんだ」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第180話『シリアス展開の後にグダるのはいい加減やめようぜ』え~別にシリアスからのグダって良くない?重苦しい空気が続くなんて嫌じゃん」


クロケル「状況と温度差の問題だろ。例えるなら目の前で魂が消失しました。さぁ!気持ちを切り替えてご飯だ~とか頭か情緒のおかしいヤツの発言だろ」


聖「僕としてはいつまでも辛い状況を引きずる方が良くないと思うけどなぁ」


クロケル「俺としてはすぐに気持ちを切り替える方が異常だわ!」


聖「うーん、難しいねぇ」


クロケル「これに関しては俺の感覚が一般的だと思いたい……」

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