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第175話 復讐心を捨てる、それはとても困難で勇気がいる決断

この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


年を重ねると痩せにくくなる、とよく言いますが太りにくく……と言うか筋肉もつきにくくなりますよね?タンパク質を取って毎日数時間以上のトレーニングをしているのに一向に筋肉がつく気配がない(泣)


体質なのだろうか……でも学生の頃は結構筋肉ついてたんですけどねぇ……贅肉もありましたが。もしかして脂肪が足りていないのか?鍛えるって難しいなぁ(遠い目)


いつもの如く前書き日記でした。呟く場所が違うと言うツッコミはノーサンキュー!


本日もどうぞよろしくお願いいたします。

「……長様たちも、俺たちと同じ何んな」


「……長様、ライアー」


 違いを思いあう家族が生む複雑な擦れ違いと言う状況を全く予想していなかったっぽい聖への評価を俺が内心で急降下させていると、アンフィニィとフィニィが切なそうに呟いた。


 そうか、2人にとっては血は繋がっていなくともコクリコさんもライアーも家族同然の存在だもんな。


 ……まあ、アンフィニが扱いは悪くなかったとは言えフィニィを騙していたライアーにどんな思いを抱いているか若干気になるところではあるがそれはさて置いて。


 目の前で起ころうとしている切なく複雑な家族の擦れ違いは他人事ではないだろう。アンフィニもフィニィのつい最近まで似たような状況で擦れ違いまくりだったし。思うところがあるのは当然と言える。


 コクリコさんはライアー自身の人生を大切にして欲しいと願ってはいる。俺だって復讐は争いしか生まないし、本人も復讐を成し遂げた後はただ空しいだと思うからやめた方がいいとは思う。だが、それは()()()()()()()()()ライアーの幸せに過ぎない。


 しかし、ライアーの視点から状況を見れば考えも味方も変わる。彼は望みをかなえることが出来ぬまま聖に打ち倒されたコクリコさんの意思を次いでネトワイエ教団などと言う怪しげな組織を立ち上げ、この世界に不満を抱き、壊したいと言う思いを同じくする仲間を集めて来た。


 それを今この瞬間否定されてしまったのだ。つい最近までフィニィとアンフニィもそれが原因で関係がこじれたことを目の当たりにしたからか、そんな感じで2つの視点から物事を見ることが出来る様になった。


 一心一体を繰り返す状況に心身ともに疲労しか感じないし、何にもできていない俺だが色々な角度から物事を捉えることが出来るようになっている辺り、多少は成長してると思いたい。


 素材がないから体力や魔力的なレベルは一向に上がらない分、せめて中身の成長がないと異世界転生の意味がないと言うもの……と頷きかけて俺は大切なことを思い出した。


 そうだよ、俺はレベルを上げるために旅に出てたんだ。聖と異世界で再会して、シルマと出会って俺のレベル上げの物語が始まるかと思いきやなんでこんな事態に巻き込まれてるんだ。


 しかも物語的に言うと恐らくクライマックス寸前じゃね?なんでレベル1のヘッポコのままクライマックスを迎えてるんだ、アホか!?


 って言うかここまで来られたのが奇跡だわ!実力者揃いの仲間たちと何故かあまり戦いにならなかった状況に感謝だわ。俺の隠れステータス、もしかして幸運EXとかじゃないのか。仮にそうだとしたらレベル1でも勝ち組確定の可能性っ!


『クロケル、心の中で話を脱線させるのはよくないよ?』


「うるせぇ、予想外の事態に動揺しまくりな奴に言われたくねぇし、余計なツッコミをするな。ってかお前長モードがいいのか」


 よくわからない興奮から心の中でガッツポーズを決めていると聖から冷静なツッコミが入って急に冷静さを取り戻した俺は数秒前までの暴走が恥ずかしくなって照れ隠しから聖に逆ギレする形で言葉を荒げて小声で反論した。


 今の今まで威圧たっぷりの長モードだったくせに、のんびり辛辣な親友モードに戻ってんじゃねぇよ。そして何度も……何万回も言うが心を読むなっての!


『長モードはまだ継続させるつもりだよ。だから小声で突っ込んでるんじゃん』 


 ああ、長モードをやめるつもりはないわけね、多分長の威厳を作ることに疲れて来たから一旦気を抜いている感じなんだな。しかも俺をディスって。解せぬ、全く以て解せぬ。


「はっ、ダメだ!今はお前の相手をしている場合じゃねぇ」


 いつもの様にコソコソと言い合う俺たちをみた仲間たちから“またか”と言う視線を受けていることに気が付いた俺は聖との漫才を早々に切り上げてコクリコさんとライアーに意識を戻した。


そこにはやはり重く気まずい空気が流れており、しょうもないことで聖とコソコソ言い合っている場合ではないと改めて実感して己を恥じた。


 前言撤回、俺は超絶情けないことに能力・心身共に全く成長していない。寧ろ独り言体質と自虐体質が悪化している気さえする。非常にヤバい。


「お前のために長い間必死で頑張って来た私の行動を、お前は否定するというのかい?」


「否定してるんじゃないよ。お父さんの頑張りを見て来たからこそ、考えが変わったの」


 自分に起きた変化に一喜一憂してまた意識が目の前のシリアスから逸れそうになったが、切なげに言い合う親子の会話に何とか意識が引き戻される。


「最初はね、お父さんが私の意思を継いで動いてくれている姿を見て嬉しいって思ったよ。残留思念になった私の未練が薄まるぐらいにね。でも、でもね……自分の楽しみや将来を全て捨てて私のためだけ

に動き続けるお父さんを見た時、思ったの。これって、本当は良くないんじゃないかって」


 声を震わせて静かに紡がれた切ない確認の言葉をコクリコさんは首を全力で振って否定し、間髪入れずに懸命に思いの丈を述べる。


 ライアーの心にこれ以上負担をかけまいと言葉を紡ぐコクリコさんだったが、ライアーにとっては最初に受けたショックが大きいかったと推測できる。


 その証拠にどんなに懸命に気遣いが込められた言葉を悲しそうに瞳を揺らし、懇願に近い言葉を紡ぐコクリコさんの言葉に理解を示すこともぜす、何を言われてもただ何度も“どうしてそんなことを言うのだ”と繰り返す。


「ふむぅ、ライアーの奴、娘の言葉ですら、すんなりと受け入れつつもりはないらしいのう」


 最終手段とも言える力を使った割に結局話が進展しないことをもどかしく思ったのか、シェロンさんが腕組みをし、うんざりとした様子でため息交じりに言った。


「それだけ父親(ライアー)からの(コクリコ)への愛が強いってことよ。これは愛情が強い者同士の関係の縺れはつい最近まで目の当たりにしたんだからわかるでしょ」


 シャルム国王は仕方ないことだと言葉では理解を示してはいるが、頭を押さえて眉間に皺を寄らせている辺り、ややこしくなりつつある状況に頭を悩ませている様子が窺える。


「はあ、それってすげぇ面倒くさいじゃん」


 ケイオスさんに至っては面倒くさいとハッキリ明言した。話に進展がなく、苛立つ気持ちはわからなくもないが世界の命運がかかっている状況下と切ない親子の再会を前によくそんな感情が持てるな。と言うか、思っても口にだしちゃいけないヤツですぜ、兄さん。


「先だってそこの兄妹の和解が成立したばかりなのにのぅ。また絆の修復とやらに取りかからんといかんのか。全く、意地の張り合いも大概にしろ。どっちかが折れればそれで済むことじゃろうに」


「うーん、ペセルちゃんAIだからよくわからないけど、やっぱりヒトの感情って複雑なんだねぇ。お互いの想いを正直に伝えあって、妥協案を示し合わせてスパッと解決★って効率よくできないの?」


 アストライオスさんもペセルさんも状況に進展がないことを良しとしていないらしく、このシリアスで複雑な中、巻きに入ろうとしている。


 無理無理、この親子の再会と会話が世界の命運が懸かる岐路かもしれないのに巻くな巻くな。ッというか神子一行、ほぼ全員この状況にイラつきを覚え始めてないか。


 こっちは親子関係の切なさで胸が締め付けられる一方なのに。俺が目の前の親子の必要以上に情を持ってしまったこともあるんだろうけど。


 それにしても2人の過去を知った上で、しかも自分たちも親子の人生に割とガッツリ関わっているのに苛立って巻きを入れようとするのは神経を疑う。


 敵に情をかけることは戦場に生きるものとしての甘さであり、時として危険なことであるとこの世界に来て何度も目の当たりにしたことだが、やっぱり薄情だよなぁ。いや、このヒトたちは割り切っているだけなんだろうけど……。


 俺も戦いを重ねたらそんな価値観を持ってしまうのだろうかだとしたら、ちょっと大分、嫌かもしれない。


「私、ライアーが意固地になる気持ちがわかる。復讐心を捨てることは凄く勇気がいるし、難しいことなんだよ……。


 ライアーの譲らない態度に、数人が苛立ちに近いもどかしさを覚える中、フィニィがポツリとそう呟いたことにより、一瞬時が止まり、彼女に注目が集まる。


 今抱いている感情をどう表現していいのか、なんと伝えればいいのか分からないのか、フィニイは今にも泣きそうな表情でライアーとコクリコさんを交互に見つめて、結局何も発言できずにもどかしそうに視線を下に落とした。


 それは似た様な立場にあった彼女だからこそ言えること。この場で唯一ライアーの気持ちを理解できる人物言葉で、感じることができるもの。


 フィニィの言葉にその場の誰もがずっしりと重みを感じ、現状の複雑さを改めて実感してしまい、面倒くささや苛立ちを覚えていた面々も複雑な表情を浮かべ、全員がほぼ同時に視線を下に落として口を噤んだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!譲れない思い同士の攻防ってどうしてこう、もどかしいんだろうね。アンフィニたちの時も思ったけど、頭と頭を持ってゴチン!ってしたいぐらいだよ。そう思わない?」


クロケル「もどかしいとは思うが暴力に訴えたいとは思わないぞ。お前、段々短気になってきてないか?それとも何か焦っているのか」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第176話『サヨナラのタイムリミット』ご名答~そうだよ僕は今、非常に焦っております」


クロケル「え、マジなのか。何で焦る要素があるんだ」


聖「どんなチート能力も無限じゃないってことだよ」


クロケル「はあ!?具体的に言えよ」


聖「それは次回ってことで」


クロケル「なんじゃそりゃ!気になるだろ、不安になるだろ!!」

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