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第166話  何故、世界を存続させたいのか

この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


まだまだやることが多い状況に置かれているため、投稿頻度がまちまちになりそうで少し焦っております……。


ストックもなくなって来ましたぞ……(震え)でも私は投稿諦めないッ!何とか頑張って時間を作りますので、この物語に出会ってくれた皆さま、どうかお付き合い頂けますと幸いです。


本日もどうぞよろしくお願いいたします。

「互いの正義を放置するってお前……そんなことしたら話合いをしに来たのに話題がなくなるだろ。なんのためにこいつと向かい合ってんだよ。収拾がつかなくなったからって破れかぶれになってないか」


 ケイオスさんがこの場の全員を代表して半ば呆れながら聖にツッコミを入れる。俺も先だっての聖の言葉のはかな~りハチャメチャだと思う。


 俺たちがライアーの元に訪れた目的は世界の命運をかけての話合いと、あわよくば世界を消滅させると言う考えを改めてもらうこと。それを一切やめるなんて思い切り過ぎる決断だ。そんなことをしたらここに来ている意味すらなくなる。


「で、ですがこちらの正義を相手に強要しないと言う考えは良いと思います」


 聖の自信満々な発言が微妙な空気を生み変に凍り付いた現場でシルマが頑張ってフォローを入れるが変に乱れてしまった空気は解消されるわけもなく、気まずい沈黙がその場に流れる。


「正義を置いておく……ですか。まあそうですね、そこのタブレットの言う通り、自分の考えを理解してもらおうとすると意固地になってしまいますものね。わかりました、非常に不本意ですが私も最初から自分の意見を受け入れようと思うのはやめます」


 聖の意見を穏やかに受け入れたのは意外にもライアーだった。まさか敵がまっさきにさきほどの言葉を受け入れるなんて驚きである。味方側は満場一致で「はあ?」って表情と空気を醸し出していると言うのに。


「……それは、話し合いに応じる気があると取っていいのか」


 ライアーの意外な反応に少しだけ戸惑いつつ、ケイオスさんが慎重に聞くと落ち着きがありながらもツンとした反応が返って来た。


「自分の精神衛生上のためですよ。あなたちを見ているだけでイライラが止まらないので自分の心を守るためにここは一旦、そちらの提案に乗ろうと思っただけです。あなたたちの話を聞き入れるつもりは毛頭ございませんよ」


 にっこり笑いながら拒絶をしないで頂きたい。穏やかに微笑みながら殺気全開の黒いオーラを出すって中々器用なことするなァ。


 んで今のところ全然歩み寄れねぇ!フィニィの存在すらも拒絶されたらもう打つ手なしじゃねぇか。うむむ、どうするべきか。


 拒絶の態度を貫くライアーを前に次の行動に頭を悩ませていると聖が話題を切り出す。


「僕たちの話を聞き入れるつもりがないなら、君から僕たちに聞きたいことはない?知りたいことでもいいよ」


「お前、アホなのか。こっちの情報を渡す様なマネしてどーすんだよ」


 自分から話題を取り上げてしまったことを反省してかもしくは何も考えていないのか、聖はまさかの敵に話題を委ねると言う行為に出たのでとりあえず突っ込んでおく。


「いや、こっちの話に答えるつもりがないなら向こうから話してもらった方が逆になにか掴めるものがあるんじゃないかなって思って?」


「なんで疑問系なんだ。そして逆ってなんだ逆って。言葉にこまったらとりあえず逆って言う若者志向どうにかしろ」


 俺と聖がいつもの様にごたごたと会話をしているとライアーが少し思案した後にゆっくりと口を開く。


「あなた方に質問なんてありませんが、かつての神子には伺いたいことがあります」


「……へぇ、なに。何が聞きたいんの?僕、予想は得意だから言ってみなよ」


 かつての神子への質問、と言われて聖が僅かに動揺を見せたが、その動揺をかき消す冷静さでライアーに言葉の続きを促す。そりゃそんな反応になるわな。聖はかつての神子なんだから。ライアーが持っている疑問が気になるのも分かる。


 ライアーはお前に言っても意味がないのだが、と言いたげに聖を見やりそして軽くため息をついて諦めた様に疑問を投げやりに口にする。


「神子は何故娘の命を奪ってまで何故、世界を存続させたいと思ったのか知りたいだけです」


「何故って、単純に世界を守りたいと思ったからじゃないのか」


 反応が数秒遅れた聖の代りに俺が答えるとライアーは首を横に振って淡々と考えを述べた。


「神子は世界を旅して色々なものを見ているはずです。当時の世界は争いが絶えない世界でした。恐らく娘も長として尽力はしていたかと思いますが、間に合わない程荒廃しきっていました」


「……はい、それに関しては同意です。当時の世界はとても怖くて、今以上に生きぬくこおが大変な世界でした」


「私は竜の谷から出ることはあまりなかった故、世界の情勢には疎い方だが……こんなに危険な世界で危うい世界に姿を変えつつあるのに長は何もしてくれないと、どの種族も嘆き、騒いでいたのは知っている」


 ライアーの言葉にシルマとシュティレが暗い表情で同意した。なるほど、ライアーの娘が世界を治めていた当時は治安が良くなかった上に不満も溜まっていたわけか……住みにくい世界だったんだな


「神子の住む異世界がどの様な世界情勢だったかは存じ上げませんが、当時の汚らわしい世界を見て、よく存族させようと思ったものです。私の娘は穢れた世界を一度リセットして新たな作り変えたかったのではないでしょうか」


 かつての神子……聖への嫌味も織り交ぜてライアーは言った。穢れた世界を一度白紙にって二次元でもよくあるって言うか鉄板の展開だとは思うが……今回の場合は本当にそうなのか?


 なんかこう、ライアーの娘は()()()()()が理由ではない気がする、何となく……。根拠はないけど本当になんとなくそう思う。


『……自分で何とかしようと思ったんじゃない?実際、なんとかなってるしね。娘を失った君からすれば素晴らしいとは評価できないだろうけど、前と比べれば世界は住みやすくなったはずだよ』


 聖が差も他人事の様に自分の考えを述べる。この言葉を信じるとするならば聖は荒廃した世界を自分で何とか欲生と頑張っていたんだな。


 前も思ったが自分の世界でもないのによく守ろうと思えたな……仮に生きるため、世界を守って元の世界に帰るためだったとしても世界の平和をるために戦って旅をして見分を深めるなんて最初は良くてもだんだん疲れて来そうだ。


 異世界を旅できると言う喜びはあるかもしれないが、当時の世界は混沌極まっていた様だから、旅を楽しむ余裕はほとんどなかっただろうし、戦闘になることの方が多かっただろうし、辛いことや壁に直面することの方が多かったんだろうな……。


 言葉を噛みしめながらも静かに淡々と言葉を紡いだ聖からそんな過去を感じ取ってしまった。長兼神子モードの聖は俺が知っている親友とは価値観も雰囲気も程遠いので少しだけ寂しくなる。


「そうね、現長に代替わりしてから世界は平和と美しさに色を染めつつあるわ。モンスターの暴走や、強者が弱者を抑圧したり、領土を巡って全面戦争ってのも減ったと思うわ。各国との歪み合いもないし、国王としても外交がやりやすくなったわ」


 親友の知らない一面に妙なモヤモヤを抱えているとシャルム国王が聖の言葉に頷き、世界の治安を比較しする言葉を口にした。


「うんうん、ペセルちゃんも今の世界の方が好き~。前の世界ではライブもまともに開催できなかったもん。延期とか中止の繰り返し。配信ライブとかにチャレンジしてみたけどぁ~ライブはやっぱり生が一番だよね!あの臨場感!歌い手もファンも盛り上がるし、楽しいもん」


 ペセルさんが腕組みをしながら力強く頷いて若干ズレた意見を述べたが、アイドルのライブと言う娯楽すらまともに楽しめない状況であったことは伝わった。


「まあ、その当時は平和を長に臨むこと自体が待合だろ。そもそも、モンスターの暴走は前長が世界を滅ぼすために意図的に作り上げた状況だったからな」


 唐突にさらっと、ケイオスさんはそう言った。世間話っぽく軽い感じで語られた重要かつ衝撃なその言葉に、俺は驚きの言葉すら出ず、その場で固まった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!ケイオスからさらっと語られた衝撃の事実にどよめくクロケルたち。同様と戸惑いが渦巻くこの状況で、本当にこの件は解決に向かうのか……一進一退を繰り返す状況に僕はとってもイライラして来たよ。早く決着つけてね」


クロケル「何でお前がイラついているんだよ。だいたい、衝撃の真実を知るきっかけになる話をライアーに振ったのはお前だろ。と言うか俺だって早くこの話に決着をつけたいわ!」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第167話『世界を蝕んでいたの者は……』君だってカリカリしてるくせに」


クロケル「何で毎回毎回語られる事実が衝撃なんだよ。だから話が進まないんだ。頼むから一回神子一行が知ってることと経験したことを全部話してくれないかなァ!?まとめて知っておいた方が絶対展開もスムーズにいくと思うヨ!?」


聖「そうしたいのは山々だけどぉ……僕たちもそれなりに複雑な経験をして来たから、全部話せって言うならそれなりの場所とか時間が欲しいな」


クロケル「……時間って具体的にはどれぐらいだ」


聖「えーっと、ぎゅって濃縮して話すとしても1ヶ月とか」


クロケル「規格外に長すぎるわ!」

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