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第150話 弱者が意外性を見せられる瞬間、それは根性を出した時である

この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


お話をギャグ路線に戻そうと必死でございます。本来はギャグ中心の小説にしたかったのにシリアスを混ぜ込んでしまうのはどうして……。


もっとこう、わちゃわちゃとしたお話が書きたいんだよ!ですが、ギャグというかテンション高めの内容のお話って意外と表現が難しいんですよね。


いや~創作って奥が深いなぁ(遠い目)


頑張って自分の脳内にあるイメージを形にするぞ!


本日もどうぞよろしくお願いいたします。


「いやだぁぁぁっ!!弱い者いじめはカッコ悪いですよ、あんたらホントに世界を救った英雄かーーーっ」


 転生後、唯一恵まれた長身を活かし、四方から繰り出される様々なえげつない攻撃を大股で逃げながら俺は文句と言う名の絶叫をした。


「いじめじゃないわ、鍛錬よ。アナタもやられたくないなら文句ばかり言っていないで少しは抵抗したらどうなの」


 いつの間にか正面に回っていたシャルム国王が容赦なく手から氷柱を生み出し、それを俺に投げつけながら厳しい口調で説教じみた言葉をぶつけて来る。


「今、抵抗してますぅ~逃げることが最大の抵抗ですぅ~」


 全力疾走していた俺は正面の逃げ道を塞がれてしまったので、慌てて急ブレーキをかけて足元スレスレに飛んできた氷柱をタップダンスの要領で躱す。凄く紙一重だったが全部躱せた。だが、攻撃を躱せたからと喜んでいる暇は残念ながらない。


 進路を塞がれているので前へは進めないため、踵を軸に素早く方向転換をして次の攻撃を仕掛けられる前に逃げ……ようとした時、体がぞわっとして嫌な予感が駆け巡ったので本能的に立ち止まる。


 同時にヒュッと鼻先に風を感じ、はたと前を見ればそこには左足を上げた状態で構えるケイオスさんの姿があった。


「ちっ、勘付いたか。上手いこと隙をつけたと思ったのに。俺の不意打ちの蹴りを躱せるなんてお前、やっぱり目が良いな。それに危機感知能力もある。ヘッポコなのに中々やるな」


 悔しそうに、それでいて楽しそうにケイオスさんが言うが俺は血の気が引いていた。今の蹴り、風を感じた場所的に止まらなかったら顔面に当たってたよな!?鍛錬なのにドコ狙って蹴ってんです!?


 後、へっぽこって何だよ!いや、へっぽこだけど!本人に事実を突きつけないで!いちいち世親攻撃挟むんじゃねーですよ。


「が、顔面を狙って蹴るのは良くないと思いますっ」


「ははは、悪いなぁ。足が長いから持て余してんだよ」


 俺の必死の抗議を適当に笑って流した。この態度、許せない。でも仕返しどころか抵抗もできない悲しみ……しかしそれはそれとしてどうしよう。前後を挟まれたんですけど。


 幸いにしてこの場所には遮蔽物がないため、頑張ったら左右に逃げられないこともなさそうだが下手な動きを見せると前後からまともに攻撃を食らいそうなのでおいそれと動けない。どうしよう、どうすればいいんだっ。


 鍛錬が始まってからまだ数十分も経っていない。まだ攻撃は一度も食らっていないし、怪我もしていないが標的となってしまって既に涙目。今すぐに鍛錬をやめたい。


 ……どうせ標的になってるんだ。このままわざと攻撃を食らってドロップアウトした方が恐怖心と戦わなくてもいいし、楽かも。


 そんな思いが過った時、今度は左右から異常な寒気を感じ、反射的に体を仰け反る様な体制を取った。同時に胸のあたりにゴッと言う爆風が掠る。一瞬腹が熱くなって、それから血の気が引いて冷たくなった。


 両側からの爆風の正体、それはシェロンさんから繰り出された衝撃波とアストライオスさんから放たれたレーザービームだった。威力抜群のそれらが俺を挟み撃ちにする形で飛んできたのだ。


 衝撃波とビームは俺の腹の上で正面からぶつかり合って、火花を散らしそして煙となって蒸発して言った。こわ、腹の上で怖いことが起こっていたヨ?


 あっぶねぇ……良く躱せたな俺、食らってたら消炭だったぞ……そうだよ!消炭になるトコだったよ!?仮にも仲間に向かってなにビーム放ってんだよ。しかも当てる気満々で。馬鹿なの?


「ちょっとぉー!!全力でビーム放ってんですかぁーっ!!躱せたからよかったですけど、当たってたらどうするつもりだったんですっ」


 ほぼブリッジ状態の姿勢から勢いをつけて体制を戻し、俺はさっき以上に猛抗議した。無理に仰け反ったせいで背骨が痛いが、今はそんなことどうでもいい。


 ケイオスさんの顔面物理攻撃は当たっていたとしても鼻が折れるとかで(済めばいいと願いたい)最悪回復術を使えば一命は取り留めそうが、消炭はアカン。体が消し飛んだら元には戻らん。


 俺は一度体を失って特殊な力で魂は取り戻したが、本来の体は取り戻せなかったんだから事の重大さは身を以て体験している。かなーりの死活問題だが、ただの鍛錬で仲間を消炭にしようとする理由はこれ如何に。


「だぁいじょうぶじゃて。さっきの攻撃はワシの本気ではない。当たっても火傷ぐらいじゃよ。それにこの戦に限っては未来視もしておらぬし」


「我も本気で攻撃しておらぬぞ。当たっても体が吹き飛ぶだけじゃ、吹き飛んだ先でキチンと受け身を取れば怪我もせぬよ」


 アストライオスさんとシェロンさんがケロっとしれっと本気ではないことを明言する。嘘だろ、結構威力があったぞ。ホントに火傷ですむのか?ぶっ飛ぶだけで済むのかぁ?めっちゃ熱を感じましたが。


 この英雄たちは俺を集中砲火しながら本気ではないと言い張っている。このヒトたちの言っていることが本当だとしたら、本気を出したらこの場所が全壊するのでは?食後の鍛錬で土地を壊すってどう言う事?


「く、クロケル殿、呆けている場合ではないぞっ」


 恐怖が限界突破でつい現実逃避をしてしまい、数秒シャルム国王たちへの不満に意識を持っていかれていると慌てて注意を促すシュティレの声が聞こえ、ハッとして意識を戻すとケイオスさんが一気に距離を詰めて来ていた。


「俺たちに囲まれているのに考え事か?余裕だなぁッ」


 そう言いながら拳を握り、加速の勢いのままそれを叩きこもうと低い姿勢からボディブローを食らわそうと勢いよく振りかぶっていると言う恐怖の光景が見えた。


「ぎゃあっ!??」


 無理じゃん!俺の人生超終わったよ!攻撃をもう間抜けに叫ぶことしかできない。攻撃をぶち込まれる覚悟を決めて固く瞳を閉じると次の瞬間、痛みではなくギシッと言う鈍い音がした。


「えっ」


 何の音か、そして何故軋みが聞こえたのか、意味が解らずそっと目を開けると視界に映るのはシュティレの背中。そして、彼女の槍がケイオスさんの拳を受け止めている光景だった。


「無事か、クロケル殿」


「しゅ、シュティレ~」


 助かった喜びとシュティレのイケメンぶりに安心とトキメキを覚えて思わず涙目&情けなさ全開の安堵の声で彼女の名前を口にする。


 俺の情けない声を聞き届けたシュティレが首だけで俺を振り返り、鋭く力強い口調で言葉を投げかけて来た。


「しっかりしろ。いくら英雄が相手でももう少し戦えるはずだろう。力はあるのだから、もっと自分に自信をもったらどうなのだ」


「じ、自信を持てって……」


 そうか、シュティレは俺がレベル1であることを知らないんだった……しかも力を使えている場面にしか立ち会っていない。レアリティ5の俺をまだ強いと思っているのか。


 そりゃもう少し頑張って戦えとか言うわな。でもごめん無理です、抵抗しようと近づいたら命が消し飛ぶほど紙耐久なので!……なんてことは情けなすぎて言えずに、俺は罰が悪く目を逸らすしかなかった。


「おい、竜騎士のお嬢さん、これは個人戦だぞ。こいつ(クロケル)を守っている必要はないんだぞ」


「……私を放置して寄ってたかってクロケル殿を攻撃していたからな。流石に理不尽に思ったのと、私もせっかく鍛錬に参加したのだから戦いたいと思ったのだ」


 ケイオスさんの意地悪な口調の言葉にシュティレが淡々と返した。それを聞いたケイオスさんは「ほぉ……」と呟いた後、何を思いついたのか口角を上げ、ものすごく悪~い顔で微笑んで続けた。


「それは建前だろ、だぁい好きなクロケルを守りたかっただけだろ」


「なっ」


「はい?」


 その言葉にシュティレが顔を染め、明らかに動揺してケイオスさんの拳を受け止める槍を握る力が弱まるのが分かった。俺も予想外の言葉の意味が解らず、思わず首を傾げてしまった。


 好き、好きってなんだ……シュティレは俺に淡々とした態度を取ることが多いが意外と仲間意識を持ってくれているってことか?そんなことを考察しているとケイオスさんがまた口を開く。


「ふん、この程度の煽りに動揺するなんて青いな。隙だらけなんだよっ」


「はっ、しまっ……うわああっ!?」


 ケイオスさんは拳を開き、手の甲でシュティレの槍をくるりと回して握りしめ、そのまま勢いよく槍ごとシュティレを一回転させて後方へと頬り投げた。


 すっかり油断していたのかシュティレは槍を握りしめて無抵抗のまま軽々と数十メートルは吹き飛んでそのまま地面に落ちた。


「しゅ、シュティレーーーーーーーーーっ」


 突然の味方消失に心配とショックのあまり全力で叫んでいると、シャルム国王がため息を1つして残念そうに肩を竦めた。


「はぁ。残念、ケイオスにポイントを先取されるなんて」


「はははー。これは俺の勝ちかもなぁ」


 得意げに笑うケイオスさんに続いてシェロンさんもやれやれと首を振った。


「ふむぅ……あれしきのことで意識を逸らされるとはシュティレも未熟者よのう。後でせっきょうじゃな。そしてポイントを取られてしまったのは悔しいのう」


「そんなに落ち込むことはないぞ、まだ容易くポイントをとれるチャンスはここにあるではないか」


 ケイオスさんにポイントを取られ、勝負に負けそうなことを悔しがる2人にアストライオスさんが穏やかな口調で言い、そしてその場の視線がポツンと残された俺に集中する。


 ここって俺のことですかい。はい、そうですよね!わかってましたよ。


「そうね、あなたたちを相手にするのは骨が折れそうだけど、クロケル相手ならポイントを稼げるわ」


「勝負には負けたくない故な。お遊びはやめて我も本気でポイントを取りに行くかの」


「残念だったな、次のポイントも俺が取る!」


「ワシとて負けるつもりはないぞ」


 4人がそれぞれに俺を狙うそぶりのセリフを吐く。しかも全員が俺からポイントを取れることを前提である。


 くっそ、嘗めやがって。理不尽なめに遭い続けたせいで俺もいい加減イライラして来た!そうだよ、俺だって全く魔術が使えないわけじゃないんだ。操り方が分からないだけで、一応それなりに戦闘向きの魔術の持ち主何だぞっ!


「くっそ!こうなったらもう破れかぶれだ。やってやるッ」


 理不尽な英雄をカルテットをボコす!そう決意を固めた俺は瞳を閉じ、集中して魔力回路を巡らせる体制に入った。


 見てろ!目にもの見せてくれるッ!!


 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!ついに腹をくくったクロケル。なけなしで見せた根性は吉と出るか、凶とでるか……お手並み拝見といきましょうか。でも、みんな鍛錬なのにマジで全力出してるのが最高に笑えるww」


クロケル「笑えねぇよ、全然わらえねぇ!草を生やすな、鬱陶しい上に腹立たしい」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第151話『これぞ窮鼠猫を噛む!?クロケル、最大の頑張り』ネズミでも虫でも本気を出したら一矢報いれるところを見せてやれ~」


クロケル「間の抜けた応援ありがとうよ!あとお前の中では俺はネズミと虫と同列何だなっ」


聖「なぁに?クロケル、不満なの?どんな生物でも命は等しく尊いんだから。虫であろうとなんであろうと命を軽んじるのは良くないなぁ」


クロケル「別に虫だからって命を軽く見たことはない、お前の例え方が嫌味っぽいのが腹立たしいだけだ」


聖「嫌味っぽく感じるのは君がひねくれてるからじゃないの」


クロケル「それ!そう言うとこだぞ!!」


クロケル「」






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