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第148話 敵だった奴が味方になると大概ギャグ落ちする

この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


もうすぐ12月でクリスマスが来てお正月ですか……1年って本当に速いですなぁ。

でも、大人になると年末ってすご~く忙しいですよね。学生時代は年末年始って楽しみだったんですがねぇ……。


今はクリスマスのオードブルの準備やおせちとかお雑煮の準備すら億劫です。大人ってしんどいですね!(やけくそ)


本日もどうぞよろしくお願いいたします。

「うっぷ、ダメだ…やっぱり気持ち悪い」


「私も、無理。ナニコレ、新手の拷問なの?」


 善意から出された鬼のパンケーキを何とか食べきった俺とフィニィはグロッキー状態でテーブルに突っ伏して瀕死になっていた。


 因みに、俺とフィニィ以外の面々はピンピンしている。寧ろ豪華且つ甘くておいしいデザートを胃に収めることが出来てかなり満足している様子だ。


 こいつら絶対胃袋がおかしい、食事も含めてあれだけ食べたのに誰1人として腹が張っていない。一体あの大量に取り込んだ料理はどこへ消えたのか一瞬で消化したとでもいうのか。某ゲームの丸いピンクの主人公と同じ生態系なのかな、コピー技でも使う気かっ。


「……食べ物を食べさせ続ける拷問とか新しいし斬新だが、これはあくまでエクラの善意だからな。お前を苦しめるために開かれたパーティーじゃないぞ」


 フィニィの説得が成功(?)したのはつい数分前だ。まだ俺たちには心を開ききっていないだろうし、唯一心を開き始めているエクラに対してもこんなことで信用を失ってはいけない。そう思ってこれはあくまで善意であることを念押しした。


「わかっているわよ、ちょっと言ってみただけ。味は美味しかったから、拷問なわけないじゃない」


 アイスティーで胃を落ち着かせつつ、ツンとしてフィニィが言った。うわ~素っ気ないなぁ……でもこれだけ自分の敵に囲まれても精神的に落ち着いているのは大きな進歩だ。


 態度は冷たいが殺意が孕んだ敵意は向けていないし、攻撃をしかけてこようともしない。まあ、これについては拘束魔術で力を押さえられているから抵抗ができないだけとも思えるが、暴れる気配もないので恐らく自らの意思で大人しくしているのだろう。


 突き放したり素っ気ない反応をとることに関してはミハイルで慣れているから特に何も思わないし、今のところフィニィとの関係は良好路線で進んでいると思う。


 もう重い展開は精神面も考慮して勘弁して欲しいのでこのまま何事もなくフィニィが仲間になったらいいと切実に思う。俺はリアルでも二次元でもシリアスよりもコメディの方が好きなんだっ!


「みんなが良い食べっぷりだからわたしもサービス精神が疼いちゃった!これは晩御飯も張り切らないとねっ。その時にお料理を教えてあげるから手伝ってね、シェロンさん」


「ああ、是非ともご教示願おう。微力ながら手伝わせてもらう」


 あれ、食べ終わったばっかりなのにもう晩御飯の話をするのは何故?そしてさっきパーティーしたのに夜もこのレベルの料理も出す感じなのか?しかもシェロンに手伝わせようとしている……まさかの拷問続行?嘘だろ。


「やった!これでもっと色んな料理が提供できる~今から腕がなっちゃう!あっ、食材の買い出しに行かないとだね、食べたいものがあるなら今のうちにリクエスト聞くよっ」


 エクラはウキウキと、それはもうウキウキとしてメモをするために端末を取り出して晩御飯のリクエストを取る体制に入った。


 今からオーダー取るんかい!ぶっちゃけ今は満腹感が限界突破しているので食べ物のことは考えたくない。リクエストなんてできるわけなかろうもん。


「あら、リクエストしてもいいの?アタシはやっぱりお肉が良いわ~。ミートローフも良かったけれど、そちらの予算が許せば塊のお肉も頂きたいものね」


「俺はおかずってかデザートをリクエストしたい!さっきのパンケーキも上手かったから、期待しちまうな~。個人的に甘いのが好きだからクリーム系のスイーツを希望っ」


「我は中華系が良いのう。可能ならうんと味が濃いものがいい。とろみがあればなお良しじゃ」


 リクエストなど思いつかない俺とは裏腹にシャルム国王、ケイオスさん、シェロンさんがテンポよく夕食の希望を口にした。


 いたよ、リクエストする奴らが。しかも遠慮する気ゼロだし。あれだけ大量の食べ物を見て食べて、まだ食を楽しもうとするなんて凄いわ、いや引くわ。


 この2人まさかの大食いキャラだったの?そんなギャップいらねぇんですけど。最近の大食いキャラは細身で美形が主流なのかい。


「り、リクエストなんて恐れ多いです。私はお任せでお願いします。えっと量を少な目にして頂ければ嬉しいですけど」


「私は作りながら考えたいので今は希望はないな」


「ぼ、僕はぱん?って言うのが好き。固いのも、柔らかいのも!色んな種類をいっぱい食べたい」


 こっちの面々もリクエストしてるし。でもシルマの意見には激しく同意。最悪種類は多くても量は減らしてくれると非常に助かる。


「お肉に、スイーツに、中華……パンっと!このラインナップだと小麦粉をいっぱい買った方が良さそうだね。予算のことは気にしないでいいから、おじいちゃん結構稼いでるし。あ、国民の税金を使っている訳じゃないから責めないで上げてね。地道に加勢だお金だからノープレだよっ★」


 いや、別に税金を使っているとか疑ってないけど。寧ろお金を払わせてしまう側として申し訳なく思っているぜ、少なくとも俺は。


「フィニィちゃんは希望ある?夜もあなたの歓迎会を続行するつもりだから、何でも好きなものを言ってね!こう見えても大抵のものは作れるから。知らないものでも作り方を調べてできる限り対応するから言うだけ言うのもアリだよん」


 先ほどから満腹のせいで口を開けないフィニィに向かってエクラが眩しい笑顔で言った。普通に聞けばまともで思いやりのある内容の言葉なんだが、お腹が破裂寸前の人間にする質問ではない。純粋な善意って本当に怖い。だって、断りづらいじゃん。


「と、特に希望はないわ。今は食べ物のことはあまり考えたくないの。悪いけど、放っておいてくれるかしら。と言うか、お願いだから暫くそっとしておいて」


 満腹感を我慢し、頑張って善意100パーセントで提供されたパンケーキを食べきると言う頑張りを見せたフィニィだったが。流石にここは断りを入れておかなければヤバいと思ったのかエクラの申し出を取り下げた。


 うん、その対応は正しいと思うぞ、フィニィ。こう言う場合は明確に自分の気持ちを伝えないとマジで伝わらないからな。善意が服を着ている様な人間に中途半端な態度を見せるのはダメ、絶対。


「ええ~、遠慮しなくていいのにぃ。まさか、さっきのご飯じゃ満足できなかったかな」


 フィニィの言葉をマイナスに受け取ったエクラが珍しくしゅんと肩を落とす。基本的に前向き思考の彼女がこんな風にテンションが下がるのは珍しい。料理には自信があるみたいだし、それが気に入ってもらえなかったことがショックなのだろうか。


「え、遠慮とかじゃない!正直な気持ちよ。それと昼食に満足ができなかったわけじゃないから。ちゃんと美味しかったわよ」


 しょんぼりエクラに良心が痛んだのかフィニぃがツンとデレが見え隠れする反応を返した。アッ、今そんな素直な反応をしたらヤバいんじゃないかな。そう思った時には時すでに遅し。エクラの表情がパッと明るくなる。


「そう!ならいいんだっ。晩御飯はも~っと満足させて見せるからね!あっ、そーだ。買い出し付き合ってよ。町も案内してあげるし、好きな食べ物とか教えて欲しい!」


 そう言ってフィニィは有無を言わさずガシッとフィニィの腕を握った。突然強めに触れられたフィニィがぎょっとして掴まれた腕を見る。


「ちょ、ちょっと待って!本当に休ませて欲しんだけど、主に胃袋を!1秒でも動いたら吐きそうってきゃ~」


「えっ、わぁっ!?」


 慌てて断りを入れようとしたフィニィだったが、ウキウキでテンションが頂点に達しているエクアにはその悲痛な叫びは届かず、無情にもそのまま勢いよく引きずって行かれた。


「わわ、危ないっ」


 無理矢理立ち上がらされたせいでフィニィの膝に乗っていたアンフィニが転がり落ち、床にたたきつけられそうになったのをシュバルツが素晴らしい瞬発力で阻止する。


「あっぶな……すまないなシュバルツ」


「ううん、無事でよかった!」


 安心した様子で素直に御礼を言ったアンフィニにシュバルツは誇らしげに微笑みを返していた。予期せぬ事故が起きなくてよかった……と思いつつ、確かにエクラたちがいた方に目を向けるとそこに少女2人の姿はなかった。


「エクラ殿ならフィニィを引きずった状態で町へ出たみたいだぞ」


 一部始終を見ていてシュティレが冷静に状況を伝えてくれた。あの勢いのまま買い出しに行ったのか。フィニィ、大分苦しそうだったけど大丈夫かな。俺もまだ満腹で動けねぇもん。ってか動いたら危ない。リバーズしそう。


「あの女っ、フィニィを振りまわしやがって」


 アンフィニが忌々しそうに歯ぎしりをして呟いたので俺はエクラの評価を下げてはなるまいとフォローを入れる。


「一応、エクラの優しさからの行動なんだ。許してやってくれ。ある意味ではエクラのおかげでフィニィも馴染み始めている気がするし」


『うん、あのぐだぐだとペースを崩されてるのが面白いよね、無事光り堕ちって感じ?』


 聖も深く頷いている様な声色で賛同してくれた。アンフィニは俺たちの言葉に納得できるところもある様でフンッと鼻を鳴らして外方(そっぽ)を向いた。


「和やかな空気に割って入ってしまって申し訳ないのだけれど、ちょっといいかしら。クロケル」


「はい?何か御用でしょうか」


 淡々とした口調でシャルム国王が俺を呼び掛けて割って入って来たので俺は何事かと思って答えると同じく淡々して言葉の続きが返って来た。


「まだきちんと返事を貰えていないのだけれど、食後の特訓、アナタは参加するの?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!無事フィニィも光り堕ちし、このまま緩やかな展開が続く!と思いきやクロケルに訪れた特訓と言う名のピンチ!?また疲労がたまる予感だけど踏ん張れ、クロケル」


クロケル「特訓……あんなクセのある面々と特訓とかやめてくれよ。地獄じゃねぇか。参加しても碌な展開にならねぇよ、踏ん張れるかっ」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第149話『標的はクロケル。特訓なのにフルボッコ!?』」


クロケル「フルボッコ!?なんでっ!?俺、レベル1ぞ。特訓に参加するのは理解……するしかないが、弱者への優しさはどこへっ」


聖「そんなもの、あいつらにある訳ないだろ」


クロケル「ああ、スパルタ軍団目ぇ……」


聖「生きて帰って来てネ」


クロケル「縁起でもないこと言うな」




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